また、連載を監修している鍼灸院「アキュサリュート高輪」院長・瀬尾港二先生による、中野さんの身体の不調チェックでは、デスクワーカー必見のツボ紹介も。
目次
漫画家のアシスタントや似顔絵描きの経験も
蛙亭・中野周平さんがイラストを描き始めたきっかけは?

中野周平(以下、中野) 父親が器用で絵を描くのが上手かったんですよね。絵を仕事にしているわけではないのですが。それで、幼稚園くらいの頃に、「ポケモン」や「ロックマン」などのゲームの攻略本の挿絵を模写してもらっていたんです。その様子を見ていたり、父親が模写した絵を自分がさらに模写したり……というのが記憶にある最初のきっかけです。
そこからずっと描き続けていて、小学校もイラストクラブに入り、中高は美術部でした。外で遊ぶよりもイラストを描いたり、ゲームをしたり漫画を読んだりと、絵に触れる機会が多かったと思います。
──美術系の学校に通われていたわけではないのですね。
中野 そうなんですよ。中学校くらいでもう芸人になろうと決めていたので、その選択肢はなかったですね。それでも絵は好きで描き続けていました。
──その頃に好きだった作品はどんなものでしょうか?
中野 週刊少年ジャンプは父親が買っていたのでずっと読んでいましたね。「ONE PIECE」や「NARUTO」から入って、そこからいろいろな方向の作品にハマって行って、「機動警察パトレイバー」や、高橋留美子さんの作品も好きでした。
──2022年に開催された中野さんの個展でイラスト作品を拝見していて、作風が幅広いなと感じたのですが、どんなことを意識して創作をされているのでしょうか。
中野 芸人をやっているので、先輩から「単独ライブのポスターを描いて!」とお願いされることが多かったんです。そういうときは、舞台ごとにコンセプトが決まっていて、格ゲーっぽい雰囲気にしたいから「ストリートファイター」みたいにしてくれとか、「サンリオ」っぽくかわいくしてほしいとか、そういう要望を踏まえて描く機会が増えましたね。
これまで「自由に描いていいよ」と言われても、自分の趣味を全開にして描くというよりは、万人が受け取りやすいようなイメージにすることが多かったので、個展ではかなり自由に好きなものを描きました。絵柄がバラバラで、本当は一つに統一してもいいのかなと思いつつ、まだ自分の絵柄というものが固まっていなかったこともあって、あえていろいろなものを描いてみました。とはいえ長年少年漫画を通ってきたので、その要素が強いのかなと思っています。
──毎日放送の「プレバト!!」では、水彩画の腕前も披露されていましたね。
中野 あれはもう学生時代の美術の記憶を呼び起こして、格闘して描きました(笑)。19歳くらいからずっと「CLIP STUDIO」を使っていて、水彩ツールを使うことはあったので、そこでさまざまな描き方に挑戦していたという感じです。
──漫画家の東風孝広さんのアシスタント経験があるそうですが、どのような経緯だったのでしょうか?
中野 まず、事務所の先輩のシャンプーハットの恋さんが、サンデーうぇぶりで「パパは漫才師」という漫画を連載することになり、「芸人でデジタル絵が描ける人いないか?」と声をかけてくれたんです。当時、僕はアシスタント経験がなかったのですが、まだ芸人の中でデジタルイラストを描いている人も少なく、先輩の森本大百科さんと2人でアシスタントをすることになりました。
東風先生のところはすごくアットホームで、楽しい現場でしたね。締め切り間近の無言の時間はありましたけど(笑)。なんだかんだ間に合うのですごかったですよね。先生がとてもお笑い好きな方で、芸人を優先して5~6人雇ってくれていたんですよ。僕は1年くらいお世話になっていました。
──蛙亭としての活動だけでなく、イラストや俳優の仕事もあり、かなり忙しいイメージがあります。仕事の管理や切り替えはどうしていますか?
中野 それぞれの活動が全て地続きなので、それほど切り替えが必要ではないですね。俳優も芸人をやっている延長という感じですし、絵は元からずっと描き続けていたので。
上京する前は大阪の劇場にいたのですが、4~5年ほど毎週土曜に劇場のロビーでお客さんの似顔絵を描いていたんですよ。色紙にミリペンを使って、結構な枚数を描きましたね。
CLIP STUDIO PAINTとワコム「Wacom Cintiq Pro 16」を愛用
イラスト・キャラクター制作のこだわり&イラスト紹介

中野 当時、ニコニコ生放送で顔出しの雑談生配信をしていたんです。そこでお絵描き配信みたいなものをしようと思い、そこで「IllustStudio」と板タブを買いました。インターネットが好きだったので、「ニコニコ静画」にイラストを投稿したり、「2ちゃんねる」にスレを立ててお題に応える企画を自分でやったりしていましたね。タブレットは液晶に進化しましたが、IllustStudioが「CLIP STUDIO PAINT」に機能を引き継いで、その頃から今もずっと使い続けています。
──CLIP STUDIO PAINT ではどのようなブラシを使っていますか?
中野 手描きのような線にしたいので「リアルGペン」というブラシを線画に使っています。絵本のような絵を描く時は「ざらつきペン」で描いています。ふたつともダウンロードして使っています。
──イラスト制作にあたり、使用している機材はなんでしょうか?
中野 ワコムの「Wacom Cintiq Pro 16」という液タブを使っています。今まではワコムの板タブを使っていたので、憧れの液タブを一昨年に買いました。思い通りに線が描けてすごく楽しいです!
──イラスト制作では、どのようにキャラクターを生み出していますか?
中野 個展で展示した《前髪》は、Tシャツにプリントしたいというところからスタートしました。
《チャイナパンク》(下に掲載している紫と黄緑のイラスト)は、2色刷りのグッズを作りたかったので、2色で描くことが先に決まっていました。「奥さんに何がいいかな?」と聞いたら、チャイナ風のデザインが好きだったので、チャイナと何かを組み合わせようと考えて浮かんだものです。そういうふうに何かの要素から浮かんでくるものもあれば、いきなり描き始めて形を作っていくこともありますね。
──キャラクターを描く際はどこから描き始めますか?
中野 目ですね。目を描き始めてから、「この子は快活な表情をしているな」とか、イメージを膨らませていきます。
■イラスト展「お初です、わこつ!」で展示されたものを一部ご紹介します!






連載で生まれたももちゃん&みみちゃんのことも
キャラクターの誕生や色使いなど、挿絵制作の秘話

中野 コロナと同時に上京してきて、引っ越し後すぐに緊急事態宣言で外に出られない状況だったんです。その時、以前お世話になっていたディレクターさんから、芸人の日常4コマ漫画を描く仕事をいただいて、1年ほど制作していました。その後も単発でのイラスト依頼はありますが、連載になったのはMdNさんが初めてでした。連載はすごく楽しいです。毎回、メインになるイラストを描いているときがいちばん楽しい!
──挿絵は依頼の内容に沿うので、自主制作に比べると自由度は少ないと思いますが、どのようなことを意識されていますか?
中野 イラストの依頼がある時点では、文章が全て揃っているわけではないので、リクエストいただいた内容がキャラクターの表情、特に目で伝わるように意識して描いていますね。



中野 「気功なので中華風にしたい」というご依頼を受け、新幹線での移動中に考えていたことは覚えています。気功の「き」を取ってカタカナで「キキちゃん」ってメモ用紙に走り書きをして、それをお送りしたら編集担当さんから「ももちゃんかわいいですね!」ってお返事が返ってきて(笑)。その時点のラフでは白黒だったんですが、せっかくなので名前に合わせてキャラクターのメインカラーをピンク系の紫にしました。
──編集担当の勘違いによる名前だったんですね……!(笑)
中野 「すみません、キキちゃんです」って言おうかと思ったんですけど、僕も熟考して作った名前ではなかったので(笑)。
──中野さんのイラストには、独自の色彩センスやバランス感覚を感じます。珍しい組み合わせのようでいて、調和が取れていますね。
中野 色については独学ですね。デジタルイラストを描くようになってから特に、「こういう絵はどうやって描くのかな?」と調べていくと、自然と明度や彩度という概念には出会うので、自然に意識するようになりました。
連載中は「気功」というカラーパレットを作って、ベースの白と黒、キーカラーの黄色とピンク紫と青を入れていました。同じ色が隣り合わないように描いていましたね。彩度が近いのでまとまりよく見えているのかもしれません。



中野 気功連載のキャラクターであるももちゃんより、少しだけ大人っぽくなったかと思います。名前はみみちゃんです。とはいえ僕の表情の引き出しが少ないのもあって、もうすでに少しずつ性格が似てきてしまいました(笑)。もしかしたら姉妹かも。相棒にうさぎのキャラクターが横にいてくれています。名前募集中です。
──それでは最後に、連載を通してどんなところに注目してほしいですか?
中野 東洋医学って難しそうですが、知らないと損なことばかりでした。みみちゃんを通して知っていただけたら嬉しいです!
腰痛、肩こり……、デスクワーカーにもおすすめのツボを紹介
鍼灸師・瀬尾港二先生が中野さんをその場でチェック

中野 コロナ禍もあり、この3年で20キロ増えていて、今ちょうど100キロなんです。身長は175センチ。90キロ台のときは何もなかったのですが、100キロになったら朝起きたときに腰に違和感を感じることも……。あとは制作していると肩は凝りやすいですね。
瀬尾 (先生がすぐに脈をチェック) 腎が弱いかもしれないですね。弱ると老化につながりますし、腰痛にも影響します。
(身体を触ってのチェックではやや反り腰気味なことが気になるポイントに)足裏で重心をしっかり取って、普段より少し前のめりな姿勢を意識してもいいかもしれません。腰痛と肩こりが特に気になるということで、簡単にできるセルフケアとしてツボ押しと気功をレクチャーしますね。
■デスクワーカーにもおすすめ!中野さんのお悩み解消のためのセルフケア


ツボ押し(3)養老(ようろう)手首の外側で、中心よりやや外の位置にあるツボ。首肩の凝りや腰の痛み、眼精疲労にも。
気功 スワイショウ気功の連載で何度も出てきたスワイショウがおすすめ。3分くらい続けて行なう。「気(ストレス)」を外に放り出すようなイメージで腕を振ることで、背骨の周りをほぐし、自律神経を整えます。
「デスクワーカーのための東洋医学×お悩み解決術」は、デスクワーカーのみなさんに寄り添い、心身のお悩みを解消法を紹介していきます。中野さんのかわいいイラストもぜひご期待ください!
