今回はPhotoshopで、モチーフの周囲に浮かぶリング状の文字を表現するテクニックを解説します。
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。
Photoshopでリング状の文字を表現:
まずは新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:1200ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ]で作成したら、新規レイヤーを作成して[描画色]を白にし、塗りつぶしツールでカンバス上をクリックしてレイヤーを白く塗りつぶす(図1)。
図1。新規レイヤーを作成して白で塗りつぶしておく続いて、その白く塗りつぶしたレイヤーが選択された状態のまま、レイヤーメニュー→“レイヤースタイル”→“グラデーションオーバーレイ...”を選び、[描画モード:通常]、[不透明度:100%]、[スタイル:線形]、[角度:90°]、[逆方向]はオフに設定(図2)。[グラデーション]のグラデーションサムネールをクリックしてグラデーションエディターを開き、カラー分岐点を編集して青(16進数カラーコード[#5aa0ff])、紫(16進数カラーコード[#ba00ff])、ピンク(16進数カラーコード[#ff98b4])のグラデーションを設定したあと(図3)(図4)、[OK]をクリックして適用する(図5)。
図2。レイヤースタイルの[グラデーションオーバーレイ]を、[描画モード:通常]、[不透明度:100%]、[スタイル:線形]、[角度:90°]、[逆方向]はオフに設定する。赤枠部分のグラデーションサムネールをクリックすると、グラデーションエディターを開いてグラデーションを編集することができる
図3。グラデーションエディターで、バー状のグラデーションサンプルの下辺をクリックするとカラー分岐点(赤丸部分)を追加できる。またカラー分岐点を選択してdeleteキーを押すと、そのカラー分岐点を削除できる。ここでは、両端と中央にカラー分岐点を作り、いちばん左の[カラー]を青(16進数カラーコード[#5aa0ff])、中央を紫(16進数カラーコード[#ba00ff])、右をピンク(16進数カラーコード[#ff98b4])に設定した
図4。グラデーションエディターの編集内容が[グラデーション]のサムネールに反映される
図5。レイヤーにグラデーションが適用される次に横書き文字ツールで元になる文字(ここでは「MUSIC LOVER」)を入力し、文字パネルでフォントやフォントサイズなどを設定する(図6)。
図6。Photoshopでリング状の文字を表現:
文字を加工していく。まず、レイヤーパネルで文字のレイヤーを選択したら、編集メニュー→“変形”→“ワープ...”を選択し(図7)、オプションバーで[ワープ:円柱]に変更する(図8)(図9)。
図7。文字の周囲に青い線(デフォルトの場合)のガイドが表示される
図8。オプションバーで[ワープ:円柱]に設定する
図9。文字が円柱に沿わせたように変形する。図の赤丸部分にある小さな白い四角が遠近調整用のコントロールポイント中央付近にある小さな白い四角(コントロールポイント)をドラッグすると遠近を変更できるので(図10)、イメージに合わせて調整する。ここではコントロールポイントを中心の縦線上に配置し(図11)、オプションバーの[○]ボタンをクリックして変形を確定した(図12)。
図10。コントロールポイントをドラッグすると、遠近を調整することができる
図11。ここでは、コントロールポイントを中心の縦線上に配置した
図12レイヤーパネルでこの文字のレイヤーを複製したら、複製した方のレイヤーをパネル上でドラッグして複製元のレイヤーの背面に配置(図13)。続いて、編集メニュー→“変形”→“ワープ...”を選択し(図14)、上中央にある曲線調整用のコントロールポイントを上方向にドラッグして円弧の形状を調整し(図15)、オプションバーの[○]ボタンをクリックして変形を確定させる(図16)。
図13。
図14。文字の周囲にグリッド状のガイドが表示される
図15。ここでは、上中央にある曲線調整用のコントロールポイント(赤丸部分)を上方向にドラッグして円弧の形状を調整した
図16このレイヤーが選択された状態のまま、レイヤーメニュー→“レイヤースタイル”→“カラーオーバーレイ...”を選び、[描画モード:通常]、[オーバーレイのカラー]を紫(ここでは16進数カラーコード[#9700d3])、[不透明度:100%]に設定して適用する(図17)(図18)。
図17。レイヤースタイルの[カラーオーバーレイ]を、[描画モード:通常]、[オーバーレイのカラー]を紫(ここでは16進数カラーコード[#9700d3])、[不透明度:100%]に設定する
図18Photoshopでリング状の文字を表現:
ビジュアルを仕上げていく。まず、写真素材を用意したら(図19)、モチーフ部分だけを切り抜き、必要に応じてサイズを調整して、前面の文字レイヤーと背面の文字レイヤーの間に配置する(図20)。
図19
図20。この素材のように境界がはっきりしたシンプルなモチーフなら、選択範囲メニュー→“被写体を選択”を実行して被写体の輪郭に沿って選択範囲を作成し、コピー&ペーストで配置すると手軽に切り抜ける。モチーフを切り抜く方法は「Photoshop逆引き辞典:Photoshopで画像を切り抜く」なども参照してみてほしい次に、レイヤーパネルで前面と背面の文字のレイヤーを両方とも選択したら(図21)、移動ツールを選択してバウンディングボックスの四隅にある小さな白い四角(ハンドル)にマウスポインターを近づける。ポインターが双方向の曲線の矢印に変わったら、そのままクリック+ドラッグして文字の角度を調整して(図22)、オプションバーの[○]ボタンをクリックして変形を確定させる(図23)。
図21。
図22。マウスポインターが双方向の曲線の矢印になった状態でクリック+ドラッグすると、文字の角度を調整できる
図23レイヤーパネルで、前面の文字のレイヤーを複製して、複製元とモチーフのレイヤーの間に配置したら(図24)、プロパティパネルで[テキストカラー]を黒に変更。移動ツールでこの複製した文字をドラッグして少しずらす(図25)。
図24。この時点のレイヤーの状態。前面の文字のレイヤーを複製して、複製元とモチーフのレイヤーの間に配置する
図25続いて、レイヤーメニュー→“ラスタライズ”→“テキスト”を実行したあと、フィルターメニュー→“ぼかし”→“ぼかし(ガウス)...”を[半径:10pixel]程度で適用(図26)。これで文字の影を表現できる(図27)。
図26。[半径:10pixel]程度に設定する
図27この文字影のレイヤーが選択された状態のまま、レイヤーメニュー→“クリッピングマスクを作成”を実行すると、モチーフに重なる部分のみに文字影をつけることができる(図28)(図29)。
図28
図29。
図30。完成ビジュアル以上、Photoshopでモチーフの周囲に浮かぶリング状の文字を表現するテクニックでした。
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。
■使用する機能「塗りつぶしツール」「グラデーションオーバーレイ」「横書き文字ツール」「ワープ」「カラーオーバーレイ」「移動ツール」「ぼかし(ガウス)」「クリッピングマスク」
目次Photoshopでリング状の文字を表現:
1.ベースとなる背景と文字を用意する
まずは新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:1200ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ]で作成したら、新規レイヤーを作成して[描画色]を白にし、塗りつぶしツールでカンバス上をクリックしてレイヤーを白く塗りつぶす(図1)。





ここでは、フォントに可読性の高い縦長のサンセリフ体「DIN Condenced Bold」(Paratype)を、フォントカラーを白に設定した
Photoshopでリング状の文字を表現:
2.テキストをリング状に変形させる
文字を加工していく。まず、レイヤーパネルで文字のレイヤーを選択したら、編集メニュー→“変形”→“ワープ...”を選択し(図7)、オプションバーで[ワープ:円柱]に変更する(図8)(図9)。






この時点のレイヤーの状態。文字のレイヤーを複製して、複製元の背面(レイヤーパネル上では下)に配置しておく





Photoshopでリング状の文字を表現:
3.モチーフの周囲に文字をあしらいビジュアルを仕上げる
ビジュアルを仕上げていく。まず、写真素材を用意したら(図19)、モチーフ部分だけを切り抜き、必要に応じてサイズを調整して、前面の文字レイヤーと背面の文字レイヤーの間に配置する(図20)。


この時点のレイヤーの状態。レイヤーパネルでcommandキー(Macの場合。WindowsではCtrlキー)を押しながら、前面と背面の文字のレイヤーをクリックして両方とも選択する








この時点のレイヤーの状態ここでは、さらに背景にグリッド状のパターンを敷いたり、文字要素を配置したりして完成とした(図30)。


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