2024年10月にPhotoshopとPremiereの「Elements」の最新版が登場Adobe社が、2024年10月に画像編集ソフト「Adobe Photoshop Elements 2025」と、動画編集ソフト「Adobe Premiere Elements 2025」をリリースしました。この記事では、Adobe Creative Cloudで提供されている上位版との違いを、主にコストや導入スタイルの面から解説していきます。


【目次】

廉価版ながら十分な機能を備えた「Elements」

Adobe社の「Elements」シリーズは、プロ向けのソフトを一般ユーザーにも使いやすくした低価格版です。上位版と比べると機能は大幅に制限されていますが、それであってもなおAdobe社のソフトだけあって安心できる十分な性能を備えています。

Photoshop ElementsやPremiere Elementsのメリットは? 上位版との料金体系などの違いを解説
「Adobe Photoshop Elements 2025」機能の面で特に注意しなければならない違いは「Photoshop」はCMYKモードに対応している一方で、「Photoshop Elements」は非対応であることです。CMYKでの商業印刷に使う写真の補正・加工には、上位版の「Photoshop」を使うことが一般的となっています。

「Premiere Pro」も同様に、複数のプロジェクトを同時に進行させることができたり、プロジェクトで使えるファイル形式が豊富であったりといった多くのメリットがあります。とはいえ、操作の簡単さや便利さでは「Premiere Elements」のほうに分があります。

Photoshop ElementsやPremiere Elementsのメリットは? 上位版との料金体系などの違いを解説
「Adobe Premiere Elements 2025」上位版はとにかく機能が「てんこ盛り」といった状態で、動作も重くなりがちです。実際には日常的な業務では同じような機能しか使わないことも多いため、「どうしても上位版のみで提供されている機能が必須」という環境でなければ、「Elements」シリーズの採用を視野に入れてみるのも良いでしょう。

サブスク方式での導入となる上位版

かつては買い切りのパッケージで販売されていた「Photoshop」ですが、Creative Cloudが登場し、現在では完全にサブスクリプション形式での導入方式へと移行しています。プロ向けの「Photoshop」を使いたい場合には、「Photoshop単体プラン」「フォトプラン」「Creative Cloud コンプリートプラン」のいずれかの契約が必要です。

このうち最も安いのは「フォトプラン」で、本記事の執筆時点での月額は2,380円(税込)です。「Photoshop」のほかに「Lightroom」も使用でき、1TBのクラウドストレージなどが付いてきます。

「Photoshop単体プラン」は月額3,280円(税込)です。そちらのプランでは「Lightroom」は使えず、クラウドストレージ容量は100GBであるため、一見すると「なぜ単体プランのほうが安いの?」という疑問も出てきますが、「Photoshop単体プラン」では豊富な無料テンプレートを利用できる「Adobe Expressプレミアムプラン」が付いてきます。


プランPhotoshop(単体)フォトCreative Cloudコンプリート概要Photoshop+
Adobe Express
プレミアムプランPhotoshopと
Lightroomの完全版の
利用が可能Photoshopのほか
20以上のアプリの
利用が可能月額(税込)3,280円2,380円7,780円クラウド
ストレージ100GB1TB100GB生成クレジット毎月500毎月500毎月1,000Adobe Express
プレミアムプランありなしあり

「どのくらいの期間で使い続ける予定か」もポイント

「Photoshop Elements」は「Photoshop」とは異なり、サブスクリプション形式ではありません。ただし、昔の買い切りパッケージとはまた異なり、いったん購入したら半永久的に使えるわけではなく、ライセンスの有効期間が3年間となっています。

このライセンスに「更新」の概念はなく、引き換えてから3年後に期限切れとなり、その時点でエディターにはアクセスできなくなります。整理パネルには引き続き無制限にアクセスが可能です。

「Photoshop」を使うために最安値の「フォトプラン」を3年にわたり契約し続けたとすると、2,380円×36カ月で必要な金額は85,680円(税込)となります。「Photoshop Elements 2025」の価格は19,580円(税込)なので大きな差です。「Photoshopほどの多くの機能は必要なく、3年間は使い続けたい」というユーザーには「Photoshop Elements 2025」が適しています。

一方で、「Photoshop Elements」は導入のための初期コストの負担が比較的に高く、途中で使用をやめてもお金は返ってこないことには注意が必要です。2,380円(税込)×8カ月=19,040円(税込)なので、「Photoshop Elements 2025」の19,580円(税込)と同じ金額があれば、上位版の「Photoshop」を使える「フォトプラン」の8カ月分に充てることができます。

Photoshop ElementsやPremiere Elementsのメリットは? 上位版との料金体系などの違いを解説
Photoshop製品紹介ページ
URL:https://www.adobe.com/jp/products/photoshop.html

価格の差がさらに大きい「Premiere」

同じように見ていくと、「Premiere Pro」をサブスクリプション方式で利用できるのは、「Premiere Pro単体プラン」もしくは「Creative Cloudコンプリートプラン」です。単体プランの月額は3,280円(税込)で、Adobe Expressプレミアムプランが付いてきます。

「Premiere Elements 2025」は「Photoshop Elements 2025」と全く同じで、ライセンス期限が3年間で、価格は19,580円(税込)です。単体プランを3年間にわたり契約し続けると3,280円(税込)×36カ月で118,080円(税込)となるため、「Photoshop」の場合よりさらに大きな差が生じます。
また、19,580÷3,280=約5.97なので、「Premiere Elements 2025」の金額は「Premiere Pro単体プラン」の約6カ月分(19,680円)に相当します。

Photoshop ElementsやPremiere Elementsのメリットは? 上位版との料金体系などの違いを解説
Premiere Pro製品紹介ページ
URL:https://www.adobe.com/jp/products/premiere.html* * * * * * * * * *

このように、上位版を利用するか「Elements」シリーズを導入するかは、自分の作業に必要な機能に加え、使いたい期間と用意できるコストなども考慮すべきことが分かりました。昨今では、特に若いクリエイターからは「Adobe系のソフトは料金が高くて手が届かない」という声も多く聞かれます。「Elements」シリーズの導入はコストを抑えるための1つの選択肢にはなりそうです。

アドビ株式会社
URL:https://www.adobe.com/jp/

2024/10/11

Photoshop ElementsやPremiere Elementsのメリットは? 上位版との料金体系などの違いを解説
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