【目次】
大切に受け継がれてきた「甲子園文字」の歴史
「甲子園フォント」は、阪神甲子園球場が大切に受け継いできた「甲子園文字」を、現代でも使いやすいようにデジタルフォントとして制作したものです。阪神甲子園球場のスコアボードでは、1983年まで職人が黒い板に毛筆で手書きをした文字が使われ、その独特な字形が「甲子園文字」として親しまれてきました。1984年以降はスコアボードは電光掲示板となりましたが、それ以降も球場の職員が「甲子園文字」を踏襲したオリジナルのビットマップ文字を作って表示していました。新たに開発された「甲子園フォント」のコンセプトは、「甲子園文字」の伝統を次の時代につなぐことです。より多くの人にとっての読みやすさに配慮したユニバーサルデザインのUDフォントがベースになっています。筆書きのニュアンスを取り入れながらも、ビジョンに表示された時の視認性を確保した明朝体です。数字の書体は「甲⼦園⽂字」でゴシック体であったことから、「甲子園フォント」も同様にゴシック体になっています。

ついに球場で披露された「甲子園フォント」
2月27日(木)には、阪神甲子園球場におけるお披露目式が実施されました。事前のレクチャーでプロジェクトメンバーが「甲子園文字」の歴史やフォント制作の背景について詳しく説明し、その後にグラウンドにて動画で甲子園球場の歴史や「甲子園フォント」の制作の舞台裏が紹介された後、実際にスコアボードに「甲子園フォント」が表示されています。


URL:https://note.morisawa.co.jp/n/n50ff2e857ef3
甲子園歴史館の企画展でも4月6日まで公開中
開発された「甲子園フォント」は、2025年春に開幕する新シーズンから阪神甲子園球場のスコアボードで実際に使用されます。ペナントレースに先駆けて、甲子園歴史館の「センバツ企画展2025」でも、4月6日(日)まで「甲子園フォント」に関する特別展示を展開中です。さらに、「甲子園フォント」の誕生を記念したグッズも、甲子園eモールや球場ショップで限定販売が開始されました。フェイスタオルやネックストラップやトートバッグなどのアイテムに加え、受注生産で「甲子園フォント」を使用するシャチハタ印も取り扱われています。3月18日(火)からは、全9種の「シークレットポジション木札」の販売も開始される予定です。

「甲子園フォント」は、阪神甲子園球場の開場100周年と、モリサワ創業者の森澤信夫氏らが「邦文写真植字機」を発明してから100周年を迎えたことを記念して実施された共同プロジェクトです。“伝統と革新の融合” を感じさせるフォントに仕上げられています。モリサワによるnoteでの解説では、試作フォントの段階でビジョン表示テストが行われていたことも明かされており、一般的なフォントとは異なる「使用環境に特化して開発されたフォント」という点でも珍しい事例です。
株式会社モリサワ
URL:http://www.morisawa.co.jp/
2025/03/07
