毎年お伝えしていることですが、確定申告は事業の健全性をチェックする、いわば『事業の健康診断』です。私自身、計算は苦手ですし会計業務は億劫に感じてしまいますが、それでも領収書を整理しデータと向き合っていると、「あの時期は大変だったけれど、よく踏ん張ったな」と、数字を通して1年を振り返る有意義な時間にもなっています。
2025年は、激動の政局の中で税制にも大きな改革がありました。また、公正取引委員会によるフリーランス法の取り締まり強化など、私たちを取り巻く環境も刻々と変化しています。そこで、本記事では、2026年提出(2025年分)の確定申告における変更点や注意点、特に『新基礎控除』について、分かりやすく解説します。
※2025年(2026年提出分)の確定申告期間(所得税)は以下の通りです。
所得税:2026年(令和8年)2月16日(月)~3月16日(月)
消費税:2026年(令和8年)2月16日(月)~3月31日(火)
申告期間については、念のため国税庁の令和7年分確定申告特集特設ページにてご自身でもご確認ください。
目次
主な変更点:基礎控除額の大幅改正
2026年提出(2025年分)の確定申告で大きく変更となる項目の一つが、基礎控除額です。前年度(2024年分)は基礎控除額が48万円でしたが、2025年分から原則58万円(最大95万円)へと引き上げられ、さらに所得水準に応じて控除額が段階的に加算される仕組みが導入されています。▶︎低所得層向けの特例
今回の改正により、合計所得金額132万円以下の場合、基礎控除額が最大95万円(58万円+37万円)となります。 フリーランス・個人事業主として専業で活動している方で合計所得132万円以下というのは限られたケースかもしれませんが、副業として事業を行っている方や、世帯を支えるパートナーの扶養内でパートタイム的に事業所得を得ている方などにとっては、控除額が大きく増える可能性があります。以下は、基礎控除額の早見表になります。正確な情報については、国税庁の該当ページや、令和7年分確定申告特集特設ページをチェックするなど、ご自身でも確認するようにしましょう。
2025年確定申告(2026年度提出分)以降の基礎控除額 早見表
合計所得金額の区分基礎控除額(合計)備考132万円以下95万円(58万円 + 37万円加算)132万円超 ~ 336万円以下88万円※令和9年分以降は58万円336万円超 ~ 489万円以下68万円※令和9年分以降は58万円489万円超 ~ 655万円以下63万円※令和9年分以降は58万円655万円超 ~ 2,350万円以下58万円(改正前の48万円から10万円増)※参照URL:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(国税庁)
▶︎制度の背景と特徴
年収ラインの問題への対応として、低~中所得層にも配慮した形で基礎控除や給与所得控除を調整した結果、所得水準に応じて控除額が段階的に変わる仕組みになっている新制度は、低所得者層の負担を軽減するというメリットがある反面、納税者が自身の正確な控除額を把握しにくくなり、確定申告や年末調整の計算は従来より複雑になってしまっているという大きなデメリットも生んでいます。
そのため、確定申告の際には、自身の所得金額がどの区分に該当し、いくらの加算が受けられるのか、国税庁の解説ページや最新のQ&Aを慎重に確認し、正しい控除額を適用することが不可欠です。
▶︎その他の主な変更点
本記事では、基礎控除に焦点を当てて解説しましたが、以下のような変更点もあります。こちらも、令和7年分確定申告特集特設ページなどで詳細を確認できますので、チェックしておきましょう。
項目変更内容住宅ローン控除省エネ基準適合が必須化。 証明書がない新築住宅は原則控除対象外。医療費控除セルフメディケーション税制の継続。 特定の市販薬購入が対象。ふるさと納税10月よりルール厳格化。 ポイント付与禁止。
税務手続のデジタル化
確定申告に関連した情報として、多くの税務関連の手続きがデジタル化している状況についても確認しておきましょう。▶︎申告がより簡単に:iPhone連携とe-Tax進化
昨年度まではAndroid端末のみの対応だったスマホ用電子証明書搭載サービスがiOSも対応になりました。これにより、iPhoneユーザーも利用者証明用電子証明書に設定したパスワードの代わりに生体認証でのログインが可能になり、e-Taxによる申告作業が大幅に効率化されています(2025年9月開始)。 マイナンバーカード保有者のiPhoneユーザーは、まずiPhoneのWalletアプリにマイナンバーカードを追加し、マイナポータルからスマホ用電子証明書搭載サービスの設定を行っておきましょう。e-Taxやマイナポータルの使い方については、本連載の過去記事などもご活用ください。
※関連記事:Macユーザーがe-Taxで確定申告するために必要な基礎知識(2024年最新版)
※関連記事:e-Taxなどの確定申告前にやっておくべき事前準備「マイナポータル」の基本的な使い方(2024年度版)
▶︎電子帳簿保存法:システム対応の「実質的な最終期限」
これまでは、システム対応が間に合わない場合などに認められていた猶予措置(宥恕措置)もありましたが、2026年1月からは「準備期間は終了した」とみなされ、運用の厳格化が進むでしょう。紙でもらった領収書をスキャンして電子化(スキャナ保存)するかどうかは、まだ任意になっていますが、メールやサイトからダウンロードした領収書等のデータ保存は必須業務となります。領収書データの保管方法や検索要件の確保などを、改めて国税庁の公式情報で確認し、万全の体制を整えておくことが大切です。
また、フリーランスや個人事業主が請求書を発行する場合、必ずしもタイムスタンプが付与できる高額なツールを導入する必要はありません。電子帳簿保存法では、国税庁が認めている『事務処理規程』を整備し、その内容どおりに運用することで、タイムスタンプの付与に代えて『決めたルールに従って正しくデータを管理している』と認められる方法が用意されています。
【手順】
1.国税庁の参考資料ページから電子取引データの保存に関する『個人事業者用』の事務処理規程サンプルをダウンロード。
2.自分の実際の運用に合わせて内容を確認しつつ、『氏名』と『施行日(運用開始日)』など必要事項を記入。
3.最終版に署名をして、PDFまたは紙で保存しておく。
あとは、この規程に従って、請求書などのPDFファイル名に取引日付・金額・取引先名が分かるように入れて保存し、フォルダやバックアップの方法も含めて規程どおりに管理しておけば、電子取引データの保存要件(真実性・可視性)への対応として、2026年以降も実務上は十分レベルの対策になります。
※参照URL:電子帳簿等保存制度特設サイト(国税庁)
※参照PDF:電子帳簿保存法が改正されました(国税庁)
▶︎会計ソフト連携
昨年度からマイナーポータルの自動入力の拡大により会計ソフトとの連携が強化されていることにより、控除証明書等の自動取込が拡充しています。 弥生・freee・マネーフォーワードなどの主要なSaaS会計ソフトが連携されていますので、これらの会計ソフトユーザーはマイナーポータルから連携しておきましょう。
※参照記事:確定申告スタート 定額減税対応やマイナポータル強化など(Impress Watch)
▶︎申告がより厳格に:国税庁のAI調査始動
クリエイターにとっては著作権の問題が悩みの種となっている生成AIですが、2025年は多くのビジネスパーソンが業務にAIを導入し、本格的な普及が進んだ年となりました。実際、総務省の『令和7年版 情報通信白書』では、日本国内における企業に生成AIの活用が想定される業務に関して活用状況を尋ねたところ、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合が55.2%に達したと報告されています。
こうした積極的な生成AI導入は行政機関も例外ではありません。国税庁においても、AIを活用した税務調査の高度化・効率化を進め、申告データの分析や調査対象選定を強化する方針が公表されています。
この動きは、申告漏れや不自然な経費処理をシステムで効率的に抽出する可能性を示唆しており、これまで以上に正確な申告が求められることを意味します。人手による調査では見落とされがちだったパターンも、AI分析によりチェックしやすくなる時代です。
※参照URL:令和7年版 情報通信白書|企業におけるAI利用の現状(総務省)
※参照記事:法人などへの追徴税額3811億円、3年連続最多 AI活用調査も貢献(日本経済新聞)
※参照PDF:令和6事務年度法人税等の調査事績の概要(国税庁)
インボイス制度:特例終了を見据えた「2025年分の総括」
もう一つ、今期の確定申告で確認しておきたいのがインボイス制度の現況です。フリーランスにとって重大な関心事であるインボイス制度の2割特例(経過措置)は、2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間限定で終了予定です。政府与党内では負担軽減策として『3割特例』への拡充や、免税事業者からの仕入れ控除を『7割』で維持するなどの追加対策も検討されていましたが、急遽実施された解散総選挙に端を発する政治情勢の流動化もあり、これら緩和策が具体的にどう着地するかはいまだ見えないまま、議論は事実上の棚上げ状態にあります。
この特例終了は、適格請求書発行事業者だけでなく、免税事業者にとっても重要な局面となります。私は免税事業者を選択しましたが、すでにクライアントから報酬額見直しの連絡が入っています。公正取引委員会は、免税事業者であることを理由とした一方的な取引終了や報酬の引き下げを「優越的地位の乱用」にあたる恐れがあるとして注視しており、フリーランス法による取り締まりも強化されているため必要以上に不安になる必要はありませんが、取引先との協議の結果、実質的な収入減となる可能性があることは留意しておきましょう。一方で適格請求書発行事業者も特例終了後、消費税全額納付義務が生じ、負担増が確実となります。
物価高や円安が続く構造的不況の中、政府与党内での特例延長議論が進んではいますが、終了前提での準備しておく心構えが必要になるかと思います。そのためにも、2025年事業所得の内訳を確認し、2026年(特例終了後)の事業計画を早めに練っておくことが大切です。
※参照記事:インボイス、特例控除7割に 免税事業者からの仕入れで―政府・与党(時事通信)
まとめ:正確な申告が、あなたの事業の未来を守る
2026年提出(2025年分)の確定申告は、多くのフリーランス・個人事業主にとって、これまで以上に重要な節目となるはずです。特にクリエイターの方々にとっては、生成AIの急速な普及による業務代替への不安に加え、インボイス制度、円安や物価高に伴うコスト増、そして社会保険料の負担増といった、まさに「多重苦」とも言える状況が続いています。しかし、こうした激動の時代だからこそ、確定申告というプロセスを単なる「納税のための事務作業」で終わらせないことが重要です。
一年間の取引を丁寧に振り返ることで、見えてくる未来が必ずあります。 生成AIという大きなパラダイムシフトの中でも、しっかりと業績を維持・向上できている業務は何か。クライアントから支払われる報酬単価の変化や、経費率の推移を詳細に分析することで、今後注力すべき業種や業態のヒントが見つかるでしょう。
また、確定申告で算出した数値データは、自分自身の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を客観的に見つめ直す「SWOT分析」の貴重な材料にもなります。
本記事で解説した新基礎控除などの変更点を踏まえ、早めに確定申告の準備を済ませることは、納税の義務を果たすだけでなく、次の戦略を練るための「時間」を確保することにも繋がります。引き続き変化の激しいと予測される2026年を勝ち抜くために、まずは自身の経営状況を数値で正しく把握することから始めていきましょう。











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