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新型コロナウイルスの感染拡大を抑止するために最優先で取り組む課題は広範な検査実施体制の整備だ。感染を確認することによって感染者の行動を抑止することができる。
「軽い症状の人がふだん通り働いて周囲に(ウイルスを)まき散らす。したがって、そういう方々に正確に診断することは本当に大切なこと。」
「高齢の持病をもった方で亡くなっている。弱い患者さんがわかっている。そういう人には早く診断して、早く治療しないといけない。最近になって、効く薬がわかってきている。どうして入院を要する肺炎まで待たなきゃいけないのか。
感染を確認するにはPCR検査を実施すればよい。パーフェクトな検査ではないが、感染を確認する上では最良の方法である。上昌弘氏は次のように指摘する。
「PCR検査というのは古い検査で実は非常に簡単。ウイルス感染を診断するのに必須の検査。民間の検査会社は国内に約100社あって、全体で900くらいラボを持っている。その1つで100個検査をすると、1日で9万件、検査できる。本当にプロの人たちで精度の管理もしっかりしている。そういうところに頼めば本当に簡単に検査ができる。それをなぜしないのか。やはり特殊な事情があるのだと思う。」
国会でもこの点が焦点になった。
2月25日に安倍内閣が示した「基本方針」では、「入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断のためのPCR検査に移行しつつ、国内での流行状況等を把握するためのサーベイランスの仕組みを整備する」とされた。つまり、入院を要する肺炎患者にしかPCR検査を実施しないとしたのである。広範に検査を実施すれば確認される感染者数が爆発的に拡大することになる。この事実を隠ぺいするために検査実施を妨害しようとする意図が丸見えだ。
野党は、広範な検査実施体制整備を安倍内閣に確約させなければ国会での追及の意味がない。公表される感染者数を抑制したい安倍内閣は、検査体制の拡充を求める声を潰すために、御用学者等を活用して、検査体制を拡充しないことを正当化する言説の流布に懸命になっている。
「日本のテレビではクリニックの院長が出演してPCR検査を自由にできるようにして欲しいと話しています」
などの表現を使って、正当な主張を批判する言説の流布に努めているのだ。短時間で検査結果を出すことができる技術も開発されている。検査がパーフェクトでなくても広範に検査を実施できることが必要不可欠なのだ。