***
新型コロナウイルスの新規感染者数が東京で拡大傾向を示している。感染と感染確認の間に約2週間のタイムラグがあるとされる。
6月14日の東京都の新規感染確認者数は47人になった。行動抑制緩和の影響で新規感染者数が再び増加傾向を示している。それにもかかわらず、東京都は「東京アラート」解除、営業自粛要請解除を推進している。小池百合子氏のパフォーマンスに市民が振り回されている。
感染拡大抑止が必要であるなら、人々は行動を抑制する。
しかし、一方で感染拡大が深刻化すれば、多くの人命が失われる。医療体制が患者の増加に追い付かなければ、適切な医療が行われないという医療崩壊が発生してしまう。したがって、政府には感染拡大を防ぐために必要な措置を講じることが求められている。感染抑止と経済活動維持のバランスを適正に保つことが求められている。このような困難な事態に直面するなかで適正な行政運営を行うには、施策の正当性、客観性、合理性が強く求められる。
ところが、安倍内閣と小池都知事によるコロナ対策は「でたらめ対策」としか言いようのないものである。
そもそも、1月末には中国で新型コロナウイルス感染拡大が深刻な問題になっていた。近年、訪日外国人が激増してきたが、最大の訪日者は中国人である。安倍首相は中国でコロナウイルス感染拡大が深刻化するなかで、春節の休暇を利用しての中国人の訪日を要請した。日本でのコロナウイルス感染拡大を促進する対応を示していたのだ。ダイヤモンド・プリンセスの悲劇は安倍内閣の対応失敗がもたらした惨事である。
このときから指摘されてきたのが検査妨害の弊害だ。検査を実施しなければ感染の実態を掴めない。感染症対策の基本の基本を、安倍内閣はおろそかにし続けてきた。五輪開催強行と検査利権ムラの利権を守ることが優先され続けてきた。
2月24日に専門家会議が提言を示し「瀬戸際の2週間」の言葉が使われた。この言葉は4週間以上にわたって使われ続けたが、この間に唐突な全国小中高の一斉急行要請も出された。しかし、3月19日の専門家会議を受けて、安倍内閣は全国小中高の学校再開を宣言した。人々の行動抑制は緩和され、再び感染者数の拡大が確認された。
この時点で安倍首相と小池都知事は五輪の20年7月開催をなお強行する構えだった。3月24日に東京五輪延期が正式に決定され、小池都知事は突然「感染爆発重大局面」と言い始めた。小池都知事は風見鶏のように朝令暮改を繰り返してきた。