※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2022年1月25日に掲載した記事の再掲載です。
株式会社タカトリ
代表取締役社長 増田誠
ニッチトップを進む産業機械メーカー
―奈良県― 株式会社タカトリ
奈良県橿原市に本社・工場を持ち、半導体製造機器や精密加工機器の製造・販売を行う株式会社タカトリ。
SiCを切断するワイヤーソーは世界トップシェア
――様々な事業を手掛けられていますが、コアとなる技術について教えてください。

――最近、「切断加工装置」の大型受注を公表されていますが、これはどのようなものでしょうか。

常にニッチなエリアでの頂点を目指す精神を継承
――エレクトロニクス分野には1980年代に進出されています。どのようにして全く新しい領域へ進出されたのでしょうか。
増田社長 1960年代まではパンティストッキングの縫製機を世界64カ国に納入し、「小さな巨人」と称されるほどでした。しかし、繊維業界の不況、パンストの需要減、特許切れにより類似の機械が各地でつくられ始めることを見込んで、1980年代に方向転換をします。当社の重役が大手電機メーカーの当時の副社長とつながりがあり、また、私たちの工場はそのメーカーの工場に囲まれたロケーションにあったこともあり、エレクトロニクス分野のものづくりに参画したいと相談し、アライアンスを結びました。そこで学ばせていただきながら蓄積した技術が、今の主力事業につながっています。
――「創造と開拓」を社是として掲げておられます。そこに込められた思いや、どのように実践されているのかを教えてください。

地元中心の雇用や仕入れで地域経済に貢献
――奈良県で創業されたのはどのような経緯だったのですか。
増田社長 創業者の高鳥の出身は新潟でしたが、家族で満州に渡り、そこで育ちました。日本に戻ってからは刀鍛冶屋で丁稚奉公として働いた後、機械の開発を夢見て、当時、繊維産業が盛んだった奈良県を創業の地と選び、針工具店から始めます。そして1950年に、奈良県工業試験場から資金援助や、場所や工作機械を使わせてもらいながら奈良県の特産物、葛の粉砕装置を開発したところ、それが大量の受注につながり、その資金を元手に繊維機械を次々と開発、奈良を中心とした繊維産業の発展に貢献しました。
――現在、地域社会との関わりで力を入れていることがあれば教えてください。

――毎年、社員の方々が国道24号線の清掃ボランティアを行っているそうですね。
増田社長 地域環境の美化とさらなる地域密着を目指すものですが、清掃に取り組む社員たちの姿は企業姿勢の何よりの発信であり、人材確保にもつながるものだと考えています。
日本企業の競争力強化につながる製造プロセスを創造
――日本の産業や技術革新に向けた思いをお聞かせください。
増田社長 現在、私たちが参画している電子エレクトロニクス分野のプロセス領域と新素材分野では、日本企業の競争力が海外企業に比べて低下しているように感じています。加速し続ける技術革新のロードマップに対応し、お客様企業との情報共有を密にして、これからも日本企業の競争力強化につながる製品製造プロセスを私たちから創造し、開拓し、提案していきます。お客様が厳しいエレクトロニクス市場で勝つための武器の供給者でありたいと思います。日本企業の皆様と新たな産業を築き上げることができる「日本株式会社」の一員として貢献したいと考えています。
「この世にないモノを造るのがタカトリである」を目指す
――将来を見据えて、さらに新しい分野への挑戦も継続されているのでしょうか。
増田社長 まず2015年から医療機器分野に参入しています。がん患者の腹水の濃縮還元分離装置を開発しました。それを聞きつけた医療機器メーカーから各種医療機器の相談をいただくようになり、OEM、ODMで製品供給をする事業が拡大し始めています。二つ目は、蓄電池(バッテリー)分野です。2020年6月に戦略的基盤支援事業に採択いただき、「全個体電池」の完成度の高い製造プロセスの構築をテーマとして開発を進めています。自動車メーカー、バッテリーメーカー、バッテリー開発技術研究団体の方々との親交を深め、新事業の方向付けをしています。
――新しい開拓分野を見つけるために取り組まれていることはありますか。
