1. TOPIXは2025年7月に史上最高値を更新した
日米関税交渉が急転直下で合意にたどり着いたことを好感し、7月23~24日にかけて日本株式市場は急騰しました。この急騰により、TOPIX(東証株価指数)は2024年7月に付けた史上最高値を更新するなど、先高観が高まりました。
図表1は今年4月にもご紹介したもので、過去12年程度の「TOPIXと予想EPSに基づく妥当レンジ(赤線と青線)の推移」です。
[図表1] TOPIXと予想EPSに基づく妥当レンジの推移

期間(予想EPS):2012年12月~2025年7月、月次
・予想EPS(1株当たり利益):野村證券が集計。自社アナリスト予想を優先し、東洋経済新報社予想で補完、時価総額ベース、向こう12ヵ月予想ベース(月次更新)
・妥当レンジ:グラフ期間の平均PERは約14.2倍なので(コロナショックで業績が大幅に悪化した時期(2020年5月~2021年3月)を除く)、予想EPSを14倍した水準を妥当水準の中心とし、13~15倍のレンジを妥当レンジとした。
(出所)野村證券およびBloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
2. 2025年度の業績予想は減益予想だが、26、27年度は増益に転じる予想
米関税問題などで業績予想が下方修正された影響なども受け、2025年度の業績予想は全般では減益見込みとなっています。
図表2は、Russell/Nomura Large Cap インデックス・ベースでの経常利益(増減益率)の推移です。米関税や円高の影響などにより、2025年度の経常利益は全体では減益予想となっており、製造業および非製造業ともに減益予想となっています。一方、26年度については、米関税や円高による落ち込みの反動などから増益転換が予想されており、特に製造業の増益率が高い予想になっています。また、翌27年度についても増益が続く見通しです。
2026~27年度の業績がこのような格好で伸びていけば、TOPIXの1年後の妥当レンジは10%程度上昇することが見込まれるため、上述した割高感はなくなり、更なる高値追いは難しいにしても、相場は高値を維持できる可能性もあると考えており、割高なので即弱気とも見ておりません。今後の業績動向に注目していこうと思います。
[図表2] Russell/Nomura Large Cap インデックス・ベースの業績予想(経常利益)

・Russell/Nomura Large Cap インデックス:日本株全上場銘柄の累積浮動株調整時価総額上位98%の銘柄からなるRussell/Nomura Total Market インデックスの上位約85%の銘柄からなるインデックス
(出所)野村證券のデータを基に野村アセットマネジメント作成
3. 日経平均株価もほぼ同じ状況にある
個人投資家の皆さんにはTOPIXは水準感的に馴染みでない方が多いと思うので、日経平均株価でも水準感を確認してみましょう。
図表3は図表1と全く同じ考え方に基づいて日経平均株価ベースで描いたものです。7月28日現在の株価はTOPIX同様に妥当レンジを大きく上抜けており、割高な水準で推移しています。7月28日の妥当レンジ上限値(赤線)は38,324円なので、割高度合いは7%程度です。
日経平均株価の妥当レンジは、TOPIXに対してN/T倍率(日経平均株価÷TOPIX)で算出しているので、今後どのような物色になるかによってTOPIXからの乖離も生じます。具体的には、半導体関連株のような値嵩株が買われればN/T倍率は上昇するので、日経平均株価はTOPIXよりも優位になる一方、銀行株や自動車株が物色されるとN/T倍率が低下するので、劣位になります。この辺りの影響も勘案しながら見定めていく必要がありますが、基本的にはTOPIX同様に業績改善が進めばポジティブな見方になっていくでしょう。
[図表3] 日経平均株価と予想EPSに基づく妥当レンジの推移

期間(予想EPS):2012年12月~2025年7月、月次
・予想EPSと妥当レンジは図表1と同じ
(出所)野村證券およびBloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
<関連銘柄>
NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(証券コード:1306)
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(証券コード:1321)
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(提供元:野村アセットマネジメント)