兼業投資家がさまざまな投資手法を経て「長期株式投資」に行きつ...の画像はこちら >>


債券や投資信託、ETF、REIT(不動産投資信託)などのさまざまな投資商品があり、NISAやiDeCoといった制度もできたため、以前と比べると投資のハードルはぐっと下がった。

ただし、株式投資となると「リスクが大きくて手を出せない…」と感じる人は多いだろう。

しかし、個別株の特徴を捉え、焦らず中長期的な投資を行えば、リスクを抑えることができる。

2000年から株式投資を始め、2017年頃に資産2億円を突破した兼業投資家・SammyFebruaryさんに、これまでの経験や失敗、億り人になれた決め手などについて聞いた。

よくわからずに「高コストの投資」をしていた時期も

Sammyさんが投資を始めたのは、1990年代後半。大学を卒業してすぐのことだった。

「まだ大学生だった1995年に1ドル79円になったことがあって、周りの友人と『いまドルを買ったら儲かるんじゃないか』なんて話をしてたんですよね。でも、当時はドルを買ったり投資をしたりできる場所がわからなかったので、行動に移せなかったんです。社会人になってから証券会社で投資ができることを知って、証券口座をつくりました」(Sammyさん・以下同)

投資を始めた動機のひとつは、お金を貯めたいと思ったから。もうひとつは、当時読んでいたマネー誌に「これからは投資」と書かれていたからだそう。

「当初は何に投資したらいいかわかっていなかったので、証券会社で勧められるまま、国債や社債で構成された公社債投資信託を買ったりしていました。その後、ネット証券が出てきて、そこで推奨されている投資信託も買っていたんですが、いま振り返るとやっちゃいけない投資をしてたなって(苦笑)。推奨されていたアクティブファンドは購入時手数料が3%、信託報酬が2%以上で、コストが大きすぎたんですよね」

投資経験が少ないと「2~3%なら大したことない」と思ってしまうかもしれないが、購入した時点で5%分の元本割れとなり、その後も信託報酬が定期的に発生すると考えると、利益を得づらいことがわかる。

「あんまり儲からないなと感じていた1999年頃に、株式売買委託手数料の完全自由化が行われて、ネット証券を中心に手数料の値下げ合戦が始まったんです。その様子を見ていて、2000年頃から株式投資を始めました」

当時の目標は「資産2億円」。

投資で築いた資産2億円を配当利回り3%で運用することができれば、年間600万円の配当金が入ってくる。約20%の税金を差し引いても480万円を得ることができるため、働かなくても生活できるだろうという算段だった。

「結果的に2017年頃に資産2億円は達成しましたが、いまも仕事は続けています。理由はいくつかありますが、ひとつは結婚したからです。家族ができたので、目標額を上方修正しました。別の理由としては、なんとなく仕事を辞めるきっかけがなかったからです。いざ目標額に達しても、それ以外に辞める理由が見つからなくて、このまま働いていてもいいかなって」

「バリュー投資」から始め、現在は「スクリーニング」を徹底

株式投資を始めて、最初に購入した銘柄は富士ソフト。読んでいたマネー誌や投資関連の書籍に「身近な企業やいいなと思える企業の銘柄がおすすめ」と書いてあったから。

「勤務先の隣の部署が富士ソフトに開発を外注していたこともあり、技術がしっかりしているということは伝え聞いていたんです。富士ソフトのトップと僕の出身大学が同じということも知って親近感が湧き、投資するにはいい会社なのかなと。ちょうどITバブルの時期で結構高値で買ったんですが、その後すぐにITバブルが弾けて元本割れしましたね。そのまま保有していて、2003年か2004年頃に買値くらいまで回復したタイミングで売却しました」

初めての株式投資はうまくいかなかったが、その後も少しずつ株式投資を実践していった。

「2000年代前半は本当に景気がよくなかったので、大きな損はしないけど儲かりもしないって感じでしたね。

2004年頃から雰囲気が変わり始めて、少しずつ上がっていきました。ただ、その頃は長期投資は全然考えていなくて、とりあえず安く買って高く売っていけたらいいなって思っていたんです。いわゆるバリュー投資というか、現金をいっぱい持っている会社を見つけて株を買ってましたね」

Sammyさんが長期投資に目を向けるようになったきっかけは、世界三大投資家の一人であるウォーレン・バフェットの存在を知ったことにあるという。

「その頃のバフェットは『永久保有』という話をしていて、そこに感化されたんです。株式は長く保有したほうがいいんじゃないかと思ったし、スクリーニング(条件を設定し、合致する銘柄を絞り込むこと)で投資できることも知ったので、財務諸表などに出てくる指標や用語を調べて、投資先を選んでいきました」

その時点である程度貯まっていた資産を用い、5つの銘柄を100万円分ずつ購入した。

「当時は『PBR(株価純資産倍率)1倍以下』『PER(株価収益率)15倍以上』『自己資本比率50%以上』『配当利回り2%以上』といった条件で選んでいました。『ROE(自己資本利益率)』という指標があることも知って、少し意識していましたね。投資した5銘柄は成長株というよりはバリュー寄りの銘柄でしたが、成績はそこまで悪くなかったと記憶しています」

そこからはひとつの銘柄を買い増すのではなく、銘柄数を増やしていくスタイルで株式投資を実践していったそう。

「性格的に、順張り(株価が上がっているときに買うこと)の買い増しができないんですよ(苦笑)。最初にバリュー投資から入ったので、下がっている銘柄の底値を目掛けて買う逆張りが自分のベースになっていて。長く持っている銘柄のなかには、買い増していればもっと増やせたものもあるんですけどね」

ちなみに、条件に設定する指標は、株式投資を実践してきたなかで変わってきたという。

「いまは『PBR』はあまり気にせず、『PER』も高すぎなければいいかなという感覚です。

どちらかというと小型株のほうに目が向くタイプで、『ROE』だけを見ていると思いがけず大損することがあるので、『ROA(純資産利益率)』にも注目しています」

理想の保有銘柄数は「国内10」「海外10」

Sammyさんは2025年11月末時点で国内外の37銘柄を保有。全資産の約半分が国内株式、約25%が外国株式とブログなどで公開している。

アベノミクス以降、銘柄数が増えていきました。基本的に銘柄は入れ替えず、買い足していく形なので、どんどん増えていっています。ただ、本当はあまり増やしたくなくて、37銘柄もちょっと多いかなっていう気はしています」

なぜ、あまり増やしたくないかというと、決算のタイミングで財務諸表などを確認する際の手間が増えてしまうからとのこと。

「兼業投資家として働きながら運用しているので、銘柄が増えすぎると単純に大変なんですよね(笑)。理想は国内10銘柄、海外10銘柄くらいかなと思うので、少しずつそのくらいに収めていきたいと考えています」

Sammyさんの株式投資の特徴的な点は、国内株式と海外株式を同等程度に保有していること。

「最初に買った投資信託が外国株で構成されたものだったこともあり、国際分散の意識は当初からあるほうだと感じています。あと、残念ながら円高には戻らないだろうと予想しているので、国内と海外を半分ずつというイメージで運用してきました。現状やや少なめな外国株をもうちょっと増やして資産全体の安定感を増していきたいので、最近は株式にこだわらず、外国株に投資する投資信託やETFも増やしています」

さまざまな投資手法を経て、現在の長期株式投資に至ったSammyさん。最近は再び投資信託やETFも購入し始めているとのことだが、後編ではその理由や、長期投資を安定的に継続するコツについて伺う。

(取材・文/有竹亮介)

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