カキの実も鮮やかに色づく秋。せっかくなら絶好のタイミングで収穫したいもの。
果樹研究家の大森直樹(おおもり・なおき)さんに収穫する際のポイントと、渋抜きの仕方を教わった。

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■収穫の絶好のタイミングは?

基本は、成熟期の果皮の色や果実の重さをしっかりと覚えておくことです。それに準じて収穫します。その際に気をつけるべき点は次の2点。
1 果皮の色が均一になるまで待つ。
色のムラが続く場合は、果実に日光がよく当たるように周辺の葉を取り、2~3日待ってから収穫します。

2 赤を控えめに判断。
夏至を過ぎると午後の光は赤みが強く見えます。さらに、緑の葉のある樹上の果実を下から見ると実際より赤が強く見えるので、赤色は控えめに見ます。
また、落葉後に収穫する品種は特に、収穫が遅れないよう心がけます。収穫後~休眠までは、春の生育に使われる貯蔵養分の蓄積をしています。収穫が遅れると蓄積を邪魔することになります。


■渋抜きの仕方

【さわしガキ(焼酎などを使って渋を抜くこと)】
1 カキを冷暗所で1週間寝かせる。
2 段ボール箱に大きなポリエチレン袋を入れ、中に1を2~3段重ねに入れる。
3 焼酎(40度程度)を2にふりかけ(果重の約5%)、空気を抜いてゴムバンドで閉める。
4 7~10日ほど冷暗所に置くと、炭酸ガスで袋がふくらむ。ゴムをゆるめてガスを抜き、茶封筒に入れたドライアイス1かけ(20gほど)を入れて再度ゴムバンドで閉める。
5 1~2週間ほどででき上がり。

【干しガキ】
1 果梗部分に枝をつけて収穫し、果皮をきれいにむく。熱湯にさっとさらし殺菌する。
2 果梗部をひもで約10cm間隔で結び、雨の当たらない軒先などに吊るす。
3 3~4週間ででき上がり。途中、何度かもみほぐし、肉質を均一に柔らかくする。
■『NHK趣味の園芸』2013年10月号より