表紙にカタカナで「スティルグッド」と表示されたアルバム。日本にルーツを持ちながらニューヨークで生まれ育ったLisa Remar(リサ・レマー)のデビューアルバムだ。
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ーLisaさんの子ども時代について教えてくださいニューヨークシティーで生まれ育った日系アメリカ人として、子ども時代、周りのクラスメイトと比べると変わった経験をしたと思います。いろいろなことがあったけど、大人になってから過去のことを考えると、「恵まれていた」と感じることができるようになりました。学校に行き始めた頃は、日本語しか理解できなくて、自分は恐ろしく周りより劣っているのだと信じていて、恥ずかしくて、他の子と接するきっかけを探すのが難しく、最初は恐かったですね。でも偶然に、もう一人日本語が話せる日本人の子が同じクラスにいて、その子が初めての友達になってくれたことが本当に助けになりました。今でも家族みたいな存在です。結局、心配していたけれど、英語をしっかり学んだ後、一年飛び級しました。そのお陰で、一年先に高校を卒業して大学に入学したので、その年の新入生で一番若い生徒でした。
Lisa Remerー日本にルーツを持ちながらアメリカで暮らすことによって感じた悩みや葛藤はどのようなものでしたか。ニューヨークはアメリカの中でも最も人種に富んだ街です。
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ー他の曲も「Fell Into」のように自身の体験をもとに作られることが多いですか。「スティルグッド」の曲は全て人生の経験をもとにして作りました。インパクトが大きかった出来事をきっかけにして、その瞬間に溢れ出た気持ちを、消える前に書き出して編集しながら作り上げました。

ーFEMALE MAGAZINEのインタビューで、自身のセクシュアリティの流動性について話していましたが、その流動性を受け入れることで作品作りにどのような変化がありましたか。「流動性」自体は人生全てに関わると思っていて、変化を受け入れることでしがらみがなくなると感じています。周りへの偏見もなくなり、世界が突然広く感じました。いろんな経験と人々に出会い、新しい自分自身を見つけることができたと思います。作品作りに変化を与えたというより、音楽を作ることで自分のセクシュアリティの流動性を受け入れられたのかもしれません。作詞作曲やパフォーマンスを通して自分の気持ちを表現する、言葉にすることが私にとって最も自然でそれ以外にアウトプットすることの方が難しいのです。なので、本当に音楽と出会えてよかった。ープレスリリースで「言語の壁や文化の障壁だと思っていたことは新しい世界への扉だった」とおっしゃっていたことが印象的でした。同じ悩みを持つ人たちに向けて、立ちはだかる壁を新しい世界へ繋げるためのアドバイスはありますか。

ニューヨーク生まれ、日本にルーツを持つのシンガーソングライタープロデューサー。センチメンタルだがソウルフルな歌声、ユニークなソニックの感性が特徴。レマーの音楽はリスナーをどこか親近感のある場所へと連れていってくれる。本国アメリカではすでにEarmilkやWonderland, Rolling Stone India, Billboard, Ladygunnなどがら注目を得ている。彼女のサイケデリックなサウンドスケープはアルバム全体にいき渡るメランコリーな感情を帯びさせる、Fiona AppleやLana Del Reyを初めて耳にしたときのようなエキサイトメントを思い起こさせる。レマーの音楽は、多文化背景からの影響を受け、彼女のルーツを象徴するものなのである。▷Website/Instagram

ニューヨーク育ちのシンガーソングライター兼プロデューサーのLisa Remar(リサ・レマー)がLAND Inc./FRIENDSHIPとパートナーのもとデビューアルバムプロジェクト「Still Good」を2021年8月18日にリリースした。今回の日本限定リリースには、本人がファンでもあるMiyaviの「Holy Nights」の日本語カバーが収録されている。▷Streaming