近年、スタートアップ業界で増えているのが「社外同期」。
大企業は何十人、多いと100人規模で新卒を採用しますが、スタートアップでは採用数が1~2人の企業もあり、社内に同期が少ない状況が生まれやすいです。
新卒入社した会社の同期は特別なもの。何もわからない状況から苦楽をともにして切磋琢磨する「戦友」とも言える同期は、一生の付き合いになるはず。

こうしたかけがえのない「同期」がいないことを解消するために取り組んでいるのが、キャリアSNS「YOUTRUST」を開発・運営する株式会社YOUTRUST。YOUTRUST主催で、「スタートアップ新卒合同入社式」を開催。今年で5回目を迎えたそうです。


「スタートアップ新卒合同入社式」は、本年度スタートアップに入社する新卒社員が「社外同期」と出会い、切磋琢磨できる関係を築くことを目的とした入社式イベントです。

この入社式を始めたきっかけは、株式会社YOUTRUST代表の岩崎氏が、同期に助けられたり、実際に同期と起業されたりと、「同期の重要性」を強く感じているからだそうです。

2012年に新卒で株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社された岩崎氏は、同期は非常に多く、YOUTRUSTを起業した共同創業者も新卒同期エンジニアで、他起業の同期にも「資金調達について教えてほしい」といった相談をするなど、仲が良い悪いではなく「同期」という事実だけで困っていたら助け合う、こうした環境にあったそうです。

自身のこうした経験を踏まえ、岩崎氏は以下のように話しています。
『「同期」という事実が今後その人のピンチを救ったりするように思います。自分が同期という腐れ縁に助けられてきたからこそ、同期がいることのありがたみを知っているつもりですし、若い人こそその恩恵をたっぷり受けてほしいと思ってしまう。
一方で現実は、スタートアップを選んだ新卒には社内同期はほぼいません。
せっかくリスクをとってスタートアップを選んでくれたのに、そのために同期という人生で一度しかない腐れ縁を作るチャンスを逃すというのはあまりにも代償が大きすぎる気がしてならなかったのです。
「じゃあ同期を作ればいいじゃない」というのが本イベントの趣旨です。言われてみれば同期って別に絶対に同じ会社である必要はないのかもしれませんし、本人たちが「私達は同期だ」と思えるならそれは十分に同期であって、作り出せるものなのではないでしょうか』

こうした思いから、2019年から始まった「スタートアップ新卒合同入社式」は、2024年は50社・86名が参加、今年は約60社・90名ほどが参加しました。‭


まず、入社式では、席は完全にバラバラ。
会場には多くの机と椅子が整然と配置され、参加したスタートアップ企業の新入社員がランダムに6名ずつのグループに分かれ着席。緊張感が見受けられることはなく、席に着くとすぐに軽い会話が始まり、リラックスした雰囲気が広がっていました。
まさに、ビジネス交流会のように、新卒たちが話し合っています。


まずは自己紹介を行い、各チームでチーム名を決定。
参加者同士の距離が縮まり、早速コミュニケーションが活発に行われている様子が伺えました。
 

主催である、岩崎氏の挨拶。


『皆さんの今日のミッションは、とにかく同期を作って帰る。友達を作って帰る。
それだけです。なので、いわゆる形式ばった入社式はしません。
なので、どんだけ楽しんで友達作ったもの勝ちです。
今日は楽しんで同期仲間、腐れ縁を大切に作っていってください』


さらに、「アイスブレイクコンテンツ」として、あの「QuizKnock」を運営する株式会社batonと入社式プロジェクトチームが作った11問のクイズでバトル。各テーブルごとにチームで解答。内容はビジネスメールの間違い探しや、スタートアップ関連の用語に関する問題など。優勝したチームには表彰も。

 


この後も、協賛企業のNO WALLs株式会社によるセルフマネジメントプログラム研修や、懇親会が続き、新入社員の交流は続きました。


改めて、岩崎代表に話を聞きました。

—-以前いた会社の入社式はどんな様子?
人数は、90-100名程度で、内容は形式的なものが多く、会社説明や部門説明、入社以降のスケジュールなど事務的な連絡が多かったです。
今日の「合同入社式」とは目的が違います。今日の入社式の目的は、仲良くなってもらうこと。
会社の同期なら、時間が経てば自然に仲良くなっていくと思うが、今日のイベントは今日限り。どれだけ濃密な時間が過ごせるかを目標にコンテンツを作っています。

—-大手企業とスタートアップの違いは?
「新卒」でいうと、大手と比較してスタートアップは、多くて10人、せいぜい2・3人の新卒で、地方勢からすると友達が作りづらい環境。厳しい状況になった時に、心が折れるか折れないかの境目に必要な存在がいない。
利害関係のないシンプルでフラットな友達、仕事の悩みが共有できる人がいるというのは稀有だと思う。先輩や上司には言えないことも話せる。
そういった状況を前職で1人の同期に支えられて乗り越えられたこともありました。


—-新入社員に求めることは
大手に就職せず、スタートアップを選んだという時点で、「何者か」になりたいはず。企業に食べさせてもらって安定した暮らしを望んではいなくて、「この会社をどうにかしてみせる」と思っているはず。そういった人たちが2.3年後には会社の屋台骨を支えてくれているのではないかと思う。新卒は本当に特別な存在です。
YOUTRUSTの新入社員には、会社の大黒柱を担っていってほしいです。


—-合同入社式、今後は?
この合同入社式は今後も続けていくつもり。今後の運営は今年入った自社の新入社員はもとより、今日きている他社の新入社員の中からも回していってほしいと思っています。


この入社式のユニークな点は、前年度新入社員側で参加していた‬‭先輩社員が運営を行っていることです。岩崎代表が話すように、今年の新入社員が来年は運営を担当し、その先もどんどん続いていく。ここでできた企業の壁を超えた「同期」という「腐れ縁」が新たなスタートアップを起業し、日本を変えていく可能性もあります。
若者たちの無限の可能性に期待したいですね。




 

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