世の中には、名前も知られず、誰に褒められるわけでもなく、ただ黙々と自分の役割を全うしている部品や道具などがありますが、これもそのひとつではないでしょうか?寒くなると食べたくなる、肉まんやあんまんの下にくっついている、あの薄い”紙”。ただの紙と侮るなかれ、れっきとした名前もあり、特別な役割を担っているのです。
そう、彼の名は…。

【#名前のわからないもの展】蟹の身をほじるコレの名前、知ってる?何と漢字で14文字!でも日本語です

肉まんに敷いてある”紙”の正体は?役割は?

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
肉まん


肉まんやあんまんなどの下に敷いてあるこの紙。ちゃんと名前があって、特別な役割を担っています。そう、そんな彼の名は…「グラシン紙」というそうです!

この紙の役割は、"肉まんを蒸すとき、蒸し器と肉まんがくっつかないようにする"というもの。

これは、想像出来ますよね(笑)。

グラシン紙には耐油性や耐湿性があり、蒸している間に紙がふやけて破れることもないそうです。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
肉まん


では、このグラシン紙について、深掘りしていきましょう。わたしたちの身近な場所でも、いろいろ使われているみたいですよ。

「グラシン紙」とは?

グラシン紙は、原料のパルプを特殊な機械ですりつぶしてドロドロにした後、薄くすいて、高圧のローラーで何度もプレスして作る、繊維が細かくて隙間のない、密度が高い紙だそうです。

高圧ローラーで何度もプレスするので、凸凹がほとんどなくツルツルです。また、隙間がなく密度が高いので、水や油を通しにくく、強度もある。通常の紙に比べ、耐油性・耐水性・強度に優れているとされています。


あくまで、”通常の紙に比べ”という前提みたいですけどね。

名前の由来は、紙の風合いが”すりガラス”に似ていることから、「ガラス(glass)」と「~のような(ine)」を合わせてグラシン(glassine)と呼ばれるようになったそうですよ。

そんなグラシン紙は、肉まんの敷き紙だけでなく、包装材や食品容器、さらには美術用具など、様々な分野で使われています。

例えば、マフィンや蒸しパンを作るときのカップ、薬を包む薬包紙。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
マフィン

画像出典:シモジマオンラインショップ

そして、昔懐かしの紙風船もグラシン紙だそうですよ。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
紙風船

画像出典:photoAC

わが家にもグラシン紙があるか、探してみると…さっそく、発見。

ケーキを作るとき、型に敷く型紙。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?


ちゃんと「グラシン紙」と書いてあります。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
グラシン紙


触ってみると、確かにツルツル。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?


不透明だけどほんのり透けていて、すりガラス風ですね。

ちなみに、食品に使われているグラシン紙は、定められた衛生基準で製造している食品用のものだそうです。

料理に使う”薄い紙”というと、クッキングシートもありますが、調べたところ、クッキングシートは、表面にシリコン加工を施したグラシン紙。
パッケージの材質に「シリコーン樹脂加工グラシン紙」と書いてあるとか。

わが家のクッキングシートを見てみると…。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
クッキングシート


あっ、書いてない(笑)。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
クッキングシート


「シリコーン加工耐油紙」と書いてあります。耐油紙はその名の通り、油や脂肪などの油性物質に対して、強い耐久性を持った紙のことらしいです。調べてみましたが、耐油紙=グラシン紙なのかは、わかりませんでした。

わが家のものは違いましたが、グラシン紙にシリコン加工をしたクッキングシートは確かにあるよう。例えば、LIONの「リード クッキングシート」もそのひとつ。材質には「グラシン紙、シリコーン樹脂」と記載されていました。すべてのクッキングシートがグラシン紙を使っているわけでなく、商品によるみたいですね。

…ということで今回は、肉まんやあんまんなどに敷いてある、あの”薄い紙”について紹介しました。名前もない、ただの”紙”だと思っていましたが、「グラシン紙」という素敵な名前がついているんですね。
おまけに肉まんに敷くだけでなく、包装材や食品容器、さらには美術用具など、様々な分野で活躍している優秀な紙であることがわかりました。

これからは、すりガラスの風合いの紙を見かけるたびに、グラシン紙かどうか、商品の「材質」欄を確かめてしまいそうです(笑)。

ただ、そんなグラシン紙にも値上げの波が押し寄せているとか。ウクライナ情勢と昨今の円安のWパンチで、原材料となるパルプの価格が高騰し、値上げせざるを得ない状況なんだそうです。食品や台所用品などによく使われているので、心配ですよね。

さらに…。
肉まんと底に敷いたグラシン紙の関係といえば、「肉まんから紙を剥がすとき、紙に少しだけ肉まんの皮がくっつく問題」も気になるところ。

【#名前のわからないもの展】ただ黙々と自分の役割を全うしている「肉まんの下の薄い紙」よ、君の名は?
肉まん


どんなに慎重に剥がしても必ず、紙に皮が残るんですよね。別記事ではこの問題を検証しているのでよろしければ、ぜひご覧くださいね。

12月29日公開のこちらの記事をチェックして→【肉まんの裏ワザ】いざ食べる時に「底の敷紙に皮が少しくっつく」ストレスを解消する方法!試してみた!

<参考文献>
WEB

『コシオカ産業~【ノベルティに大活躍】グラシン紙とは?特徴や使い方をご紹介~』
https://www.koshioka.co.jp/column/4624/

『シモジマ~グラシン紙の特徴と使い方~』
https://shimojima.jp/staffblog/blog/b-know-glassinepaper/

『日テレニュース~「中華まん」にも値上げの波 小麦粉や豚肉に”あの紙”も…』
https://news.ntv.co.jp/category/society/cd8bf11fed99466e895a7a8e4c228e77
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