【読めない漢字クイズ】凸む!? 凹む(へこむ)はわかるけど…ちなみに「とつむ」ではありません!何と読む?
日付が苗字の難読漢字クイズ♪
【問題】
「四月一日」という苗字。何と読むのでしょう?
thinking time♪
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正解は…
「わたぬき」さん、でした。
パソコンに「わたぬき」と入力すると、ちゃんと「四月一日」と変換されます。
でも、なぜ、四月一日が「わたぬき」なのでしょう?
なぜ”四月一日”が「わたぬき」なの?
調べてみると、どうやらそのルーツは、平安時代に始まった「衣替え」の習慣にあるみたいです。

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この四月一日、実は、旧暦の4月1日(新暦の5月くらい)のこと。平安時代の貴族は、旧暦の4月1日と10月1日に、年中行事のひとつとして「衣替え」を行っていたそうです。
正確に言うと、当時は衣替えではなく、「更衣(こうい)」と呼んでいたそう。装束はもちろん、調度品なども季節に合わせて入れ替えていたとか。
なんて、雅なんでしょう。
季節を楽しむ、この余裕。
ただ、「衣替え」は、何着も服を持っていないと出来ないので、あくまで貴族限定の習慣だったようです。
そして時代が下り、江戸時代になって、やっと庶民の間でも衣替えをするようになります。
しかし、あくまで、庶民。季節ごとの着物を、何着も持っていたわけではありません。綿(わた)の入った冬の着物から”綿”を”抜き”、薄手の着物に仕立て直して、衣替えをしていたそうです。

画像出典:photoAC
そうなんです!
旧暦の4月1日に、冬用の着物から”綿”を”抜いて”夏用の着物に衣替えすることから、「四月一日=わたぬき」というわけです。
おもしろいですよね。
「綿貫」と書く「わたぬき」さんもいますが、由来は同じみたいです。けれど、よい田畑または土地という意味の”和田”を”綿”に言い換え、”和田を貫ぬく一本の道”が語源となった、という説もあるよう。
そして、日本の苗字の99%を網羅する苗字情報の総合サイト『名字由来net』によると、「四月一日」と書く「わたぬき」さんは、宮崎県日南市に集中し、全国にわずか10人くらいしかいないそうです。
さらに調べてみると、「四月一日」「綿貫」のほか、「四月朔日」と書く「わたぬき」さんもいるんですって。朔日は、「ついたち」または「さくじつ」と読み、毎月の第1日を指す言葉。
「四月朔日」と書く「わたぬき」さんは、「四月一日」の「わたぬき」さんより多くて、全国に200人くらい。宮崎県ではなく、北海道、石川県、富山県、茨城県、京都府と、広い範囲にいらっしゃるとのこと。
そして、「四月朔日」と書いて「わたぬき」と読まず、「つぼみ」と読む苗字もあるそうです。春が訪れ、花のつぼみが膨らみ始める時期であることが、由来になっているらしいです。
「つぼみ」さんかぁ。風情を感じる素敵な苗字ですよね。
でも、名簿に「四月朔日」と書いてあっても、「つぼみ」とは絶対読めませんけどね(笑)。
このように、日付を使った苗字は、その季節の自然や習慣と関連し、ちょっととんちも効いていて、楽しいですよね。
そこで、日付を使った”日付苗字”がほかにもあるか、調べてみることに!
日付を使った苗字を調べてみた!
まずは、「八月一日」さん。
「八月一日」さんは、「ほず(づ)み」さんと読むそう。

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『名字由来net』によると、全国に80人ほどいらっしゃるそうです。
また、「ほず(づ)み」以外に、同じ漢字を書いて「はっさく」「やぶみ」と読む苗字もあるそうですよ。
続いてインパクトがすごいのが、これ!「十一月二十九日」さん。
長っ。
苗字の長さでは、ないですよね(笑)。
「十一月二十九日」と書いて、「つめづめ」さんと読むそうですが、残念ながら由来はもちろん、実在するかさえ不明という、謎の苗字みたいです。ちなみに、『名字由来net』では、「存在しない名字と思われる」と紹介されていました。
そもそも、「十一月二十九日」という苗字は、1963年に出版された『姓氏家系大辞典 大多亮著』に記載されたことで、広く知られるようになったそう。けれど読み方だけが記載され、由来などの情報はなかったみたいです。
1963年の時点では存在する苗字だったものの、それから60年くらい経つので、その間に途絶えてしまったのかもしれませんね。わたしの推測ですが…。
このほか、「五月七日(つゆり)」さんや「六月一日(うりわり)」さんも、いろいろなサイトで見かけました。ただ、「五月七日(つゆり)」は、過去には存在したものの、現在は確認出来ない苗字。また、「六月一日(うりわり)」は世間に広まっているものの根拠がなく、実在がきわめて疑わしい、”幽霊名字”なんだそうです。
珍しい苗字には、由来や語源などにロマンを感じ、人を惹きつける魅力があります。そのため、情報だけが独り歩きしてしまう場合もあるかもしれませんね。
ということで、今回は、「四月一日」という難読日付苗字についてご紹介しました。全国に10人くらいしかいらっしゃらないそうなので、そんなレアな苗字の方と偶然お会い出来たら、めちゃめちゃ喜んじゃいそうです。
ちなみに、わたしの旧姓は、約175万7000人もいるといわれる、全国第2位の”よくある”苗字、鈴木なので、珍しい苗字には人一倍憧れが強いのです。
今でも忘れないのが、高校受験のとき。あいうえお順にテストを受けるクラスが振り分けられたのですが、わたしのクラスは全員(40人くらい)、鈴木だったことを今でも覚えています。あまりに悲しくて…。嫌いな苗字ではありませんが、なんとなく、普通すぎて劣等感があったんですよね(全国の鈴木さん、すみません)。
苗字っておもしろいですね♪
<参考文献>
WEB
『名字由来ネット~四月一日~』
https://myoji-yurai.net/searchResult.htm?myojiKanji=%E5%9B%9B%E6%9C%88%E4%B8%80%E6%97%A5
『石崎功(きもの研究家)note~衣服における季節のバトン~』
https://note.com/kdcplanning/n/nc043aa6b0a6a
『弘前八幡宮~衣替えが六月と十月なのは何故ですか?~』
https://hirosaki-hachimangu.com/info/240531_140805
『山陰中央新報デジタル~ 明窓:「四月朔日」で「つぼみ」~』
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/552481
『日本実業出版社~森岡浩の人名・地名おもしろ雑学:六月一日をなんと読む?~』
https://www.njg.co.jp/column/morioka-482/