鶏皮がパリッと焼けた「チキンソテー」は、ごちそうにもなる一品。調理工程は焼くだけですが、皮を香ばしく、肉をふんわりと仕上げるにはテクニックが必要です。
今回は東京・神楽坂にある「ル・マンジュ・トゥー」のオーナー・谷昇シェフが以前、『きょうの料理』で紹介していたレシピに挑戦!一般的には皮目から焼きますが、肉側から焼くのが谷シェフ流。また、弱めの火加減だと、反り返りも防げてジューシーに焼けるんですって。

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レシピ指南者は東京・神楽坂のフレンチ「ル・マンジュ・トゥー」の谷昇シェフ

以前の『きょうの料理』、”定番料理の黄金レシピ”と題した放送回で、「チキンソテー」を紹介していたのは、谷昇さん。東京・神楽坂にある、フレンチレストラン「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフです。

2度フランスへ渡り、フランス・アルザスの3つ星レストラン「クロコディル」や2つ星レストラン「シリンガー」などで修業した経歴をお持ちとのこと。

皮付きの鶏肉をフライパンで焼く「チキンソテー」は、フレンチに限らず、よく見かける定番料理。皮をパリッとさせつつ、身をふっくらと焼くのが難しい一品です。

谷シェフは、肉側には弱め、皮面には強めの火加減を用い、肉→皮の順で焼いていましたよ。お肉の水分を逃さない焼き方とのことで、さっそく挑戦してみます!

火加減がポイント!「チキンソテー」を作ってみた!

番組の公式サイトでは、2人分の材料を紹介していました。今回は、チキンソテー1人分、付け合わせのほうれん草ソテーは2人分で作ってみます。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


【材料】(1人分)
鶏もも肉…1枚(約300g)
塩…小さじ1/4~1/2(3g)
粗びき黒こしょう…適量
サラダ油…大さじ1/2
オリーブオイル…少々

◆ほうれん草のソテー(2人分) 
ほうれん草…1束(300g)
にんにく…1かけ
無塩バター…20g
塩…1つまみ

【作り方】
1. 鶏肉の全面に塩(小さじ1/4~1/2)を振ってよくなじませ、室温で15分以上置きます。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


鶏肉が冷たいと塩が中心まで浸透しないので、必ず室温でなじませるのがポイントです。
今回は塩3gを両面にすり込んで、15分置きました。

肉が反り返らない焼き方をするので、筋切りの手間を省けるのがうれしい♪

2. ほうれん草の根元を切り落とし、にんにくの皮を剥きます。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


ほうれん草は、軸の部分を半分の長さにカット。葉は大きめのざく切りにしました。

3. バターとにんにくを入れたフライパンを、中火で熱します。バターが溶けたらほうれん草を加え、和えるように炒めて塩を振り、しんなりとする程度に炒めます。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


今回用意したほうれん草は、軸が太めでしっかりとしていたので、先に軸を2分ほど炒めてから葉を加え、さらに2分ほど炒めました。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


炒め終わったら、キッチンペーパーを敷いたザルに上げて、余分な汁気を切ります。

同じフライパンを使う場合は、ここで洗ってから、鶏肉を焼いてくださいね。

4. フライパンにサラダ油を引き、弱めの中火で熱します。最初に肉側を下にして置き、白っぽくなるまで焼きます。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


肉側を軽く焼いておくと、肉の反り返りを防げるそうです。
今回は4分ほど焼きました。

5. 鶏肉をひっくり返し、強めの中火で皮面を焼きます。鶏肉を動かしながら、常に肉の下に油がある状態を保ちます。鶏皮から出てきた脂を肉に回しかけながら、8~10分焼いていきます。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


4分ほど焼いてひっくり返してみると、肉側は白っぽくなっていましたが、もう少し焼いた方がよかったかも。筋切りはしていませんが、肉側は反り返らずに真っすぐに焼けていますよ♪

皮はパリッと仕上げるため、火加減を強めの中火にしました。

ところが…。

レシピには、皮面を焼いている際、鶏皮から出てきた脂を回しかけながら火入れする、フレンチの技法「アロゼ」を用いて焼くと書かれています。それなのに、脂が出てくる前に、焦げっぽい香りが!火加減が、強すぎたのかも。

また、大きめのフライパンで焼いたからなのか、最初に引いたオリーブオイルと鶏皮から出た少しの脂が、周囲に散ってしまい、スプーンで脂を集めにくい!さらに筆者はIHコンロで焼いたため、フライパンを傾けると火力が消えてしまいます。そんなこんなで、脂をすくい取って、肉面にかける「アロゼ」をすることが出来ませんでした。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


ということで、レシピには8~10分焼くと書かれていますが、今回は4分ほど焼いたところで、ひっくり返してみることに。
すると、皮の周囲は香ばしく焼けているものの、中央には焼き色が付いていません。フライ返しなどで押さえながら、皮面を焼いた方がよかったかもしれませんね。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


今回は、脂を回しかけながら焼く「アロゼ」が出来なかったので、弱めの中火にし、フライ返しで押さえながら肉側を3分ほど焼きました。

6. 肉の表面から透明な肉汁が出てきて、皮にいい焼き色が付いたら、火を止めて裏返します。余熱で肉側を10~20秒焼き、黒こしょうを振ります。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


レシピ通りに焼けていたら、ここでパリッと焼けた鶏皮が上に来るはずでした。

けれど、今回は鶏皮が短時間で焼けてしまい、肉側に「アロゼ」で火入れ出来なかったため、肉側を下にしたままフタをし、火を消して余熱で10分ほど蒸しました。

そして、余熱後にもう一度点火し、強めの中火で皮を1分ほど焼いて、皮をパリッとさせることに。最後に竹串を刺し、肉汁の色を確認してから、黒こしょうを振って、お皿に取り出しました。

7. 焼いた鶏肉から出てきた肉汁とオリーブオイルを混ぜて、ソースにします。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


フライパンに残った肉汁に、適量のオリーブオイルを混ぜてソースにします。

焼いた鶏肉は皮を下にし、4等分に切ってお皿に盛りつけ。
3のソテーを添え、鶏肉にソースを回しかけたら完成です。

皮パリッパリ&お肉はふんわり!塩気がしっかり効いた王道のチキンソテー

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


谷昇シェフ直伝の「チキンソテー」が、完成しました。

今回、鶏皮からそれほど脂が出なかったこともあり、肉側に鶏皮の脂を回しかけながら焼く「アロゼ」をすることが、出来ませんでした。でも、皮はこんがりパリパリ、肉はふっくらとしましたよ!

食べてみると皮がパリパリとして香ばしく、肉はふんわり。でも、ちょっと火入れが甘かったようで、くにゅっとした弾力を感じる部分も。鶏皮の脂を回しかけながら焼けなかったので、上手に火入れ出来なかったようです。

今回、鶏肉300gに対して塩3g、つまり1%量の塩を振りましたが、塩味がお肉の中まで浸透していています。クラシックなフレンチの味わいという印象ですが、筆者には少し塩味が強く感じました。

塩小さじ1が5gなので、小さじ1/4だと1g強、1/2だと2.5g。2gの塩でも、しっかりと塩味が付くんじゃないかしら。

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


付け合わせのほうれん草のソテーは、バターのまろやかな味わい、そして、にんにくの風味がほんのりと広がって、基本のほうれん草のソテーという味わい。

ほうれん草1束を使っても、くったりとカサが減るので、ひとりでも軽くいただけました。


肉→皮の順で弱めから強めの火加減が肝!

【谷昇シェフの料理基本のき】一生使える「チキンソテーの作り方」に挑戦!焼く時は皮から…ではない!?


以前の『きょうの料理』で谷昇シェフが伝授していた、「チキンソテー」。皮をパリパリに焼くチキンソテーは、皮面からこんがりと焼くレシピが多いのですが、谷シェフのレシピは肉、皮の順で焼く作り方でした。

肉の筋切りをせずに反り返らない焼き方で調理しましたが、確かに肉側を焼く時にフライ返しで押さえなくても、ひっくり返すとまっすぐに焼けていましたよ。

小さめのフライパンで焼くと、脂を集めやすく、「アロゼ」もうまくいくんじゃないかなと思います。ぜひ、フレンチの技法「アロゼ」を用いて、鶏もも肉をこんがりと焼いてみてくださいね。
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