【アニメ『美味しんぼ』で夏の自由研究】戦後の貧しい時代…「小麦粉からガム」を作った!?試してみたら…!
本当に溶けないのか
このテーマについては、これに尽きます。本当に溶けないのか。
大抵のことは疑ってかかる筆者としては、あんな薄っぺらなビニールが炙っても溶けないなんて信じられません。
溶けないどころか、燃えるんじゃないのか。

用意したのは、水、ビニール袋(今回は100均やスーパーによく売っている取っ手付きのもの)、ライター。
これは最低限の装備です。
実際に実験する時には軍手や耐熱グローブがあると安心です。
そして重要なのは、実験する場所。
風通しがよく、周りに燃えるもののない屋外がおすすめ。
筆者は風呂場の浴槽に水を溜め、家族にサポートをお願いして行いました。
とにかく、万が一のことを考えてご準備ください。
もちろん、必ず、大人と一緒に実験してくださいね。
というわけで、実際に炙ってみた。


いかがでしょうか。
溶けない。
燃えない。
水が漏れない。
なぜ!?
黒くなっている部分は焦げているように見えますが、実はススが付着しているだけのようです。

手で触るとこの通り。
焦げてないんですよ。そもそも燃えてないんですから。
ここで少々ひねくれ者の筆者、「炭酸水ならどうなるわけ?」と思い、炭酸水で同じ実験をしてみました。

すぐ穴が空いて水が漏れました!!
炭酸水じゃ、溶けるってこと!?
ますますよくわからなくなりました。
なぜ水が入っているとビニール袋は溶けなかったのか
気になることがあると眠れなくなる筆者、すぐさまネットで理由を検索しました。
あらゆるサイトで語られていた、その理由を要約すると……
「袋の中の水が熱を吸収し、ビニール袋の温度が溶けるほどには上がらない」ためだそうです。
ちなみに、ビニール袋が溶ける温度はおよそ90℃。
ライターの火の温度は大体800~1000℃だそうなので、水がかなり効率よく熱を吸収してくれていることがわかりますね。
そして炭酸水が溶けて水が漏れた現象ですが、炭酸の気泡の部分は水が当たっていないため、その部分の温度が上がるから溶けたということだそうです。
炭酸の泡ごときでビニール袋が溶けるか溶けないかが決まるとは……
泡、侮りがたし。
人生も、一瞬の隙が大きな破綻を招くことがあるということを思うと、非常に示唆に富んだ実験です。
ちなみに、筆者はもし自分が歴史上の偉人だったなら「溶けぬなら、溶かしてみせようビニール袋」と詠むタイプの人間ですので「これならどうだ!」という実験を試みました。

そう、線香です。
線香の火で直接熱を与えればさすがに溶けるはず。

溶けました。
なぜか線香の火も消えたけど。
線香の燃焼部分の温度は700~800℃だそうです。
ライターより温度は低いのに、線香(燃焼部分)では溶けて、ライター(炎)では溶けない…。
新たな疑問が芽吹きそうですね。
意外と日常に応用されている物理
実はこの「水が入っているビニール袋が溶けない」現象の仕組み、例えば旅館のご飯などで時々見かける「紙鍋」などにも利用されています。
紙が燃え始める温度は200℃以上ですが、中に水があるため、温度は100℃以上にはなりません(水が全部蒸発したら多分燃えるのでしょうが)。
キーワードは「比熱(物質1gの温度を1℃上昇させるのに必要な熱量)」。
水の比熱は非常に高く、効率よく熱を吸収するため、周囲の温度上昇を抑えます。
こういった比熱を利用したものが日常には意外と潜んでいます。
それを調べてまとめてみても面白い研究になりそう。
夏休みの自由研究にする場合、いろんな本やサイトで調べたことをそのままコピペするのではなく、自分の言葉でまとめてみてくださいね!