わたしの夫のおばあちゃんは、鹿児島で、畑を耕しながら田舎暮らしをしています。日々の食卓には、収穫した野菜で作った手料理がずらりと並びます。
里芋を「韓国風ピリ辛スープ」に投入した結果…体ポッカポカに♡牛肉&ゴマ油のコクがキク~♪【農家直伝】
収穫した野菜で作るおばあちゃんの手料理は格別
鹿児島県の山間の、のどかな集落で暮らす夫の祖母。
88歳になった今も、畑仕事から料理まで、パワフルにこなします。
畑の様子を見に来たおばあちゃん。
そんなおばあちゃんの自慢は、自家産の野菜で作った手料理。
なかでも「里芋の煮物」は定番で、おばあちゃんの家に遊びに行くと、必ずと言っていいほど食卓にのぼります。
しょうゆと砂糖でコトコト煮た里芋は、甘じょぱい味がよく染みていて、わたしの大好物。
作り方を教えてほしいとお願いしたところ、
「しょうゆ煮もおいしいけど、昔はもっぱらみそ煮だったのよ」と、おばあちゃん。
へぇ~、それもおいしそう~!
というわけで、「しょうゆ煮」と「みそ煮」の作り方を教わることになりました。
まずは食材の里芋を調達しに、冬の畑へレッツゴ~♪
子芋、孫芋がゴロン、ゴロン
おばあちゃんと畑を訪れたのは、年の瀬も押し迫った12月下旬。
この時季は南国・鹿児島も、さすがに寒い!
冷たい冬の風に手がかじかみます。
おばあちゃんは里芋を3月に植えて、9月から収穫を始めるそう。
この時はもう、残りわずかになっていました。
植えているのは、「白芽」と呼ばれる種類で、粘りがあるのが特徴だそう。
「里芋は連作障害が起こるから、一度植えたら5年は同じ場所に植えないようにしているの。毎年植える場所を探すのが大変だけど、いい畑に植えるときれ~いに育つの。芋が土を知っているのよね。今年のは上出来だよ」(おばあちゃん)
それでは、期待に胸を膨らませて、芋掘りしていきましょう♪
まず、里芋の根元から少し離れたところに鍬を入れ、うんとこしょっと持ち上げるようにして芋を掘り起こしていきます。
わたしもやってみた~い!と、鍬を持ち上げてみましたが、これが重たい!!
でも、さすが熟練者のおばあちゃん。
いとも簡単に、里芋を掘り起こしました。
画像ではちょっと分かりづらいですが、大きさの異なる芋がたくさんついています。
なんでも里芋は生えた場所と大きさによって、親芋、子芋、孫芋と名前が付いているそう。
種芋が育つと大きな親芋になり、親芋から子芋が、さらに子芋から孫芋が出てくるんだとか。
たった一つの種芋が、土の中でこんなに立派に成長したなんて、なんだか不思議。
まさに命の力です。
掘り起こした芋は、ひとつひとつばらしていきます。
親芋は、次に植える種芋として取っておくそう。
「前は親芋は捨てて子芋を種芋にしていたんだけど、何年か前の新聞に、親を種芋にすると子がたくさんできるって書いてあって。やってみると、本当にたくさんできたから、それからは親芋を使っているの」(おばあちゃん)
種芋にする親芋は畑に置いておきますが、霜に当たるとダメになってしまうので、枯草と土をのせておきます。
こうすれば親芋が生きていて、春になって畑に植えると芽を出すのだそう。
そんなこんなで、1株からバケツいっぱいの里芋が収穫できました!
ふだんわたしたちが食べているのは、子芋と孫芋がほとんど。
20年愛用の道具「まぜん」で下ごしらえ
里芋を収穫したら、家に持ち帰って洗います。
ここで活躍するのが、こちらの道具。
里芋を洗うための専用の道具で、「まぜん」と呼ぶそうです。
「まぜんは、10月に切った松の木で作るって決まっているの。
これは20年前、今は亡き祖父が作ったもので、それ以来愛用しているのだとか。
里芋をバケツに入れて水をたっぷり注いだら、「まぜん」のたくさん枝分かれしている方を下にして、左右に回しながら上下させます。
収穫したばかりの里芋は皮が柔らかいため、こうして洗うと、薄皮を残して皮の表面だけきれいに剥けるそう。
水を何度か変え、里芋がきれいになるまで繰り返します。
だんだんきれいになってきました!
ここまできれいになればOK!
本来ならこの後、大きいものは食べやすく切り、天日干ししてから煮ます。
ただ、おばあちゃん曰く、12月にもなると里芋からひげが出てくるため、この時季はさらに皮を薄く剥いてから干すそう。
「里芋は直に触ると、手がかゆくなることがあるから、手袋をするの。包丁の刃を横にすべらせると、皮が薄く剥けるよ」(おばあちゃん)
煮崩れしないよう、一つ一つ丁寧に面取りもします。
皮を剥いた里芋は、水できれいに洗ってから、ざるに広げて天日干しします。
「天気のいい日に、2~3時間干せば十分だよ」(おばあちゃん)
干した里芋は、その時使わない分を袋に入れ、冷凍しておきます。
「里芋の重さをはかって、袋に書いておけば、使う時に便利だよ」(おばあちゃん)
調理するさいは、凍ったまま使用できるそう。
例えば煮物なら、凍ったまま鍋に入れて水と調味料を入れ、火にかければOKとのこと。
家でも簡単!皮剝きの裏ワザ
里芋の準備ができたら、さっそく煮ていきたいのですが…、
おばあちゃんのように包丁で里芋の皮を剥くのは難しいという方もいると思います。
そんな方のために、アルミホイルを使った簡単な方法を紹介します。
アルミホイルを適当な大きさに切ってくしゃくしゃと丸め、里芋の皮をこすります。
すると、「まぜん」で洗った里芋みたいに、皮の表面だけつるんとキレイに剥けました!
ぜひ、試してみてくださいね。
「里芋のしょうゆ煮」と「里芋のみそ煮」の作り方
里芋の下ごしらえを終えたら、いよいよ煮物作りのスタートです!
まずは、しょうゆ煮から!
〇里芋のしょうゆ煮
しょうゆ煮は、数年前に雑誌で見たレシピを参考に、鹿児島の甘いしょうゆに合うよう、おばあちゃん流に分量を調整したそうです。
材料はこちら。分量が多いので、作るさいは調整してくださいね。
材料(約10人分)
里芋(正味)…700g
しょうゆ…大さじ3と1/2
ざらめ…110g
作り方
1.鍋に里芋を入れ、里芋がかぶるくらい水を加えます。
2.しょうゆ、ざらめを加え、強火にかけます。
3.沸騰したら、アクを取って弱火にし、落しブタをして煮汁がほとんどなくなるまで煮ます。
完成です!
照りっ照りのつやっつやに仕上がりました!
おいしそ~!
さっそく食べてみます!
食べ慣れている味ですが、やっぱりおいしい~!!
しょうゆと砂糖のみというシンプルな味付けですが、甘さとしょっぱさのバランスが絶妙!
皮を薄く剥いて干しているからか、食感がしっかりしていて、ほどよくねっとり。
ご飯にもあうし、毎日食べても飽きない味わいです!
〇里芋のみそ煮
みそ煮は、おばあちゃんが子どもの頃から食べていたという昔ながらの味。
大晦日の夜は、このみそ煮を作り、お正月のごちそうにしていたそう。
こちらも、材料はいたってシンプル。
材料(約10人分)
里芋(正味)…700g
みそ…80g
ざらめ…110g
作り方
1.鍋に里芋を入れ、里芋がかぶるくらい水を加えます。
2.みそ、ざらめを加え、強火にかけます。
3.煮立ったらアクを取って弱火にし、落しブタをして、煮汁がほとんどなくなるまで煮ます。
完成です!
しょうゆ煮とは、見た目から違う仕上がりになりました。
食べてみます!
あ、おいし~い!
ねっとりした食感の里芋をかみしめると、みその風味がじんわり。
里芋の味とみその風味がよく合っていて、甘さもちょうどいい~!
みそ煮は初めて食べましたが、とってもおいしかったので、自分でもまた作ってみたいと思いました。
おばあちゃんと一緒に芋掘りから下ごしらえ、調理までを実際にやってみると、煮物が口に入るまでに、こんなにも手間暇がかかっていたのかと、今更ながら驚きました。
その味わいには、「みんなにおいしい料理を食べさせたい」という、おばあちゃんの愛がこもっていたんだなぁと、しみじみ。
そして、畑でたくましく成長した里芋の生命力や、里芋を育てた土の力、自然の力。
一皿の向こうにある、目には見えない世界に感謝したいなぁ…そんな気持ちになりました。
おばあちゃんの素朴で温かい味。みなさんにも、ぜひ楽しんでいただきたいです!
なかでも、わたしが大好きなのが「里芋の煮物」。ねっとりした食感の芋に甘じょっぱい味が染みて、毎日食べても飽きないおいしさなんです。その作り方を教わるべく、おばあちゃんと里芋堀りをしてきましたよ♪
里芋を「韓国風ピリ辛スープ」に投入した結果…体ポッカポカに♡牛肉&ゴマ油のコクがキク~♪【農家直伝】
収穫した野菜で作るおばあちゃんの手料理は格別
鹿児島県の山間の、のどかな集落で暮らす夫の祖母。
88歳になった今も、畑仕事から料理まで、パワフルにこなします。

畑の様子を見に来たおばあちゃん。
そんなおばあちゃんの自慢は、自家産の野菜で作った手料理。
なかでも「里芋の煮物」は定番で、おばあちゃんの家に遊びに行くと、必ずと言っていいほど食卓にのぼります。
しょうゆと砂糖でコトコト煮た里芋は、甘じょぱい味がよく染みていて、わたしの大好物。
作り方を教えてほしいとお願いしたところ、
「しょうゆ煮もおいしいけど、昔はもっぱらみそ煮だったのよ」と、おばあちゃん。
へぇ~、それもおいしそう~!
というわけで、「しょうゆ煮」と「みそ煮」の作り方を教わることになりました。
まずは食材の里芋を調達しに、冬の畑へレッツゴ~♪
子芋、孫芋がゴロン、ゴロン
おばあちゃんと畑を訪れたのは、年の瀬も押し迫った12月下旬。
この時季は南国・鹿児島も、さすがに寒い!
冷たい冬の風に手がかじかみます。
おばあちゃんは里芋を3月に植えて、9月から収穫を始めるそう。
この時はもう、残りわずかになっていました。
植えているのは、「白芽」と呼ばれる種類で、粘りがあるのが特徴だそう。

「里芋は連作障害が起こるから、一度植えたら5年は同じ場所に植えないようにしているの。毎年植える場所を探すのが大変だけど、いい畑に植えるときれ~いに育つの。芋が土を知っているのよね。今年のは上出来だよ」(おばあちゃん)
それでは、期待に胸を膨らませて、芋掘りしていきましょう♪
まず、里芋の根元から少し離れたところに鍬を入れ、うんとこしょっと持ち上げるようにして芋を掘り起こしていきます。

わたしもやってみた~い!と、鍬を持ち上げてみましたが、これが重たい!!
でも、さすが熟練者のおばあちゃん。
いとも簡単に、里芋を掘り起こしました。

画像ではちょっと分かりづらいですが、大きさの異なる芋がたくさんついています。
なんでも里芋は生えた場所と大きさによって、親芋、子芋、孫芋と名前が付いているそう。
種芋が育つと大きな親芋になり、親芋から子芋が、さらに子芋から孫芋が出てくるんだとか。
たった一つの種芋が、土の中でこんなに立派に成長したなんて、なんだか不思議。
まさに命の力です。
掘り起こした芋は、ひとつひとつばらしていきます。

親芋は、次に植える種芋として取っておくそう。
「前は親芋は捨てて子芋を種芋にしていたんだけど、何年か前の新聞に、親を種芋にすると子がたくさんできるって書いてあって。やってみると、本当にたくさんできたから、それからは親芋を使っているの」(おばあちゃん)
種芋にする親芋は畑に置いておきますが、霜に当たるとダメになってしまうので、枯草と土をのせておきます。
こうすれば親芋が生きていて、春になって畑に植えると芽を出すのだそう。

そんなこんなで、1株からバケツいっぱいの里芋が収穫できました!

ふだんわたしたちが食べているのは、子芋と孫芋がほとんど。
20年愛用の道具「まぜん」で下ごしらえ
里芋を収穫したら、家に持ち帰って洗います。
ここで活躍するのが、こちらの道具。

里芋を洗うための専用の道具で、「まぜん」と呼ぶそうです。
「まぜんは、10月に切った松の木で作るって決まっているの。
その頃は松の成長が止まって、硬くなっているから、丈夫なまぜんになるんだよ」と、おばあちゃん。
これは20年前、今は亡き祖父が作ったもので、それ以来愛用しているのだとか。
里芋をバケツに入れて水をたっぷり注いだら、「まぜん」のたくさん枝分かれしている方を下にして、左右に回しながら上下させます。
収穫したばかりの里芋は皮が柔らかいため、こうして洗うと、薄皮を残して皮の表面だけきれいに剥けるそう。

水を何度か変え、里芋がきれいになるまで繰り返します。
だんだんきれいになってきました!

ここまできれいになればOK!

本来ならこの後、大きいものは食べやすく切り、天日干ししてから煮ます。
ただ、おばあちゃん曰く、12月にもなると里芋からひげが出てくるため、この時季はさらに皮を薄く剥いてから干すそう。
「里芋は直に触ると、手がかゆくなることがあるから、手袋をするの。包丁の刃を横にすべらせると、皮が薄く剥けるよ」(おばあちゃん)
煮崩れしないよう、一つ一つ丁寧に面取りもします。

皮を剥いた里芋は、水できれいに洗ってから、ざるに広げて天日干しします。

「天気のいい日に、2~3時間干せば十分だよ」(おばあちゃん)

干した里芋は、その時使わない分を袋に入れ、冷凍しておきます。

「里芋の重さをはかって、袋に書いておけば、使う時に便利だよ」(おばあちゃん)
調理するさいは、凍ったまま使用できるそう。
例えば煮物なら、凍ったまま鍋に入れて水と調味料を入れ、火にかければOKとのこと。
家でも簡単!皮剝きの裏ワザ
里芋の準備ができたら、さっそく煮ていきたいのですが…、
おばあちゃんのように包丁で里芋の皮を剥くのは難しいという方もいると思います。
そんな方のために、アルミホイルを使った簡単な方法を紹介します。
アルミホイルを適当な大きさに切ってくしゃくしゃと丸め、里芋の皮をこすります。

すると、「まぜん」で洗った里芋みたいに、皮の表面だけつるんとキレイに剥けました!

ぜひ、試してみてくださいね。
「里芋のしょうゆ煮」と「里芋のみそ煮」の作り方
里芋の下ごしらえを終えたら、いよいよ煮物作りのスタートです!
まずは、しょうゆ煮から!
〇里芋のしょうゆ煮
しょうゆ煮は、数年前に雑誌で見たレシピを参考に、鹿児島の甘いしょうゆに合うよう、おばあちゃん流に分量を調整したそうです。
材料はこちら。分量が多いので、作るさいは調整してくださいね。

材料(約10人分)
里芋(正味)…700g
しょうゆ…大さじ3と1/2
ざらめ…110g
作り方
1.鍋に里芋を入れ、里芋がかぶるくらい水を加えます。

2.しょうゆ、ざらめを加え、強火にかけます。

3.沸騰したら、アクを取って弱火にし、落しブタをして煮汁がほとんどなくなるまで煮ます。


完成です!

照りっ照りのつやっつやに仕上がりました!
おいしそ~!
さっそく食べてみます!

食べ慣れている味ですが、やっぱりおいしい~!!
しょうゆと砂糖のみというシンプルな味付けですが、甘さとしょっぱさのバランスが絶妙!
皮を薄く剥いて干しているからか、食感がしっかりしていて、ほどよくねっとり。
ご飯にもあうし、毎日食べても飽きない味わいです!
〇里芋のみそ煮
みそ煮は、おばあちゃんが子どもの頃から食べていたという昔ながらの味。
大晦日の夜は、このみそ煮を作り、お正月のごちそうにしていたそう。
こちらも、材料はいたってシンプル。

材料(約10人分)
里芋(正味)…700g
みそ…80g
ざらめ…110g
作り方
1.鍋に里芋を入れ、里芋がかぶるくらい水を加えます。

2.みそ、ざらめを加え、強火にかけます。

3.煮立ったらアクを取って弱火にし、落しブタをして、煮汁がほとんどなくなるまで煮ます。

完成です!
しょうゆ煮とは、見た目から違う仕上がりになりました。

食べてみます!

あ、おいし~い!
ねっとりした食感の里芋をかみしめると、みその風味がじんわり。
里芋の味とみその風味がよく合っていて、甘さもちょうどいい~!
みそ煮は初めて食べましたが、とってもおいしかったので、自分でもまた作ってみたいと思いました。
おばあちゃんと一緒に芋掘りから下ごしらえ、調理までを実際にやってみると、煮物が口に入るまでに、こんなにも手間暇がかかっていたのかと、今更ながら驚きました。
その味わいには、「みんなにおいしい料理を食べさせたい」という、おばあちゃんの愛がこもっていたんだなぁと、しみじみ。
そして、畑でたくましく成長した里芋の生命力や、里芋を育てた土の力、自然の力。
一皿の向こうにある、目には見えない世界に感謝したいなぁ…そんな気持ちになりました。
おばあちゃんの素朴で温かい味。みなさんにも、ぜひ楽しんでいただきたいです!
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