【防災対策サイト】わが家に必要な「備蓄品目」と「備蓄量」がわかる!『東京備蓄ナビ』で試算してみた!
そもそも「線状降水帯」とは何か
線状降水帯は2014年頃から注目されている気象用語。
積乱雲が線状に連なり、大雨になる状況を指すそうです。
事前に予測することが難しいと言われています。
線状に伸びる積乱雲の連なり、その長さは50~300mに及び、数時間同じ場所に停滞します。
たった1日で1か月分の降水量になることもあり、川の氾濫や土砂崩れ、床上床下浸水など大きな被害が出てしまいます。
これまでも死者が出てしまうような大きな災害になったこともありました。
さらに恐ろしいのが、その正体は分かっていても、発生のメカニズムが分かっていないこと。
予測が大変に難しいそうです。
現在の予報技術とその発展の展望を見ても、予測できるようになるのは2030年ごろではないかとも言われていて、今わたしたちにできるのは、線状降水帯が発生したときに正しく行動できるよう備えることしかないようです。
番組では、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんが解説していました。
その3つの注意点を振り返りましょう。
①車の危険性
車を持っている方は、避難と聞くと真っ先に車で逃げることを想像されるでしょう。
ただし、大雨の場合ではその車への過信が命取りになることもあるそうです。
というのも、あまりにも大雨で水位が高い場合、車のエンジンがストップしてしまうことがあるからです。
大体20~30cmの水位で、エンジン車のマフラーから水が入ってしまう危険性があります。

参考までに筆者の車です。
30cmでマフラーが浸かってしまいます。
目安としては、路面の「停止線」「白線」が見えない状態になったら、車での避難は避けた方が良いとのこと。
そもそも停止線や白線が見えない場合、運転そのものに危険があるので避けたいところです。
緊急時だからこそ、リスクを抑えるようこの目安を覚えておきましょう。
もう1つ、車の危険性として「車が浮いてしまう」ということも挙げられています。
重量配分によっても違うとのことですが、たとえば車の前が浮いてしまったり、後ろが浮いてしまったりということがあるそうです。
車体全体が浮くことはイメージしづらいですが、確かに前方だけとか後方だけが浮くということはありそうな気がしますね。
そして車体がバランスを崩すということは、横転したり、横道に大きく流されたりといった危険も想像に難くありません。
もはや海や湖、大きな川に車で入っていくようなもの、と考えると鳥肌が立つほど恐ろしいです。
さらに、「車の中に閉じ込められてしまう」というリスクもあります。
2014年に実施されたJAFの実験によると、水深60cmの段階でセダンの運転席ドアを開けるのに通常の5倍の力が必要になり、ミニバンの後席スライドドアは開けることができなくなったとされています。

筆者の車では、サイドミラーの高さがおよそ110cm。
ここまで水が来ると、車はほぼ止まっているでしょうし(マフラーは確実に水没しているので)、
何より恐怖ですよね。
水がドアの真ん中あたりまでくると、開けるのにかなりの力が必要になるということのようです。
国土交通省でも、水没車の危険に備えて脱出用のハンマーを車に備えておくよう呼びかけています。
脱出用のハンマーはカーショップやホームセンターなどで購入できるそうなので、お持ちでない方は探してみてください。
番組で伝えられていた「車での避難」の危険性ですが、令和元年の台風19号における屋外での犠牲者について説明がありました。
亡くなった60人のうち、少なくとも半数以上の34人が、車の中で被害にあっていたという事実。
ついつい車で逃げようと考えてしまいがちですが、車での避難を過信してはいけません。
②歩いての避難
歩いて避難する場合は、服装に注意が必要とのことです。
「長袖、長ズボン、運動靴、帽子orヘルメット」が良いそうです。
体の冷えを防ぐ服装ということだそうです。
わかりやすいようイラストにしてみました。

靴は長靴の方が良さそうと思ってしまいますが、長靴は水が入ると動けなくなるとのこと。
紐で縛るタイプの運動靴は脱げにくいんだとか。
帽子は視界確保のためとのことで、ツバのある帽子が良いそうです。
さらに、傘はさすのではなく、水位が高くて前方が見えないときの安全確認に用いるんだそう。
道具の使い方から、普段と違うんですね。
これは知らないとわからないことなので、覚えておきましょう。
和田さんもおっしゃっていましたが、そもそも「早いうちに避難する」というのが大切です。
特に小さなお子さんやお年寄りがいるご家庭は、早め早めの避難を心がけましょう。
1時間前に避難すれば助かっている、というケースもあると言います。
素早い避難のためにも、普段から情報を集め、アンテナを張っておくことが重要と言えます。
③自宅周辺の情報を集める
「ハザードマップ」のことです。
お住まいの地域のリスクの高低差、大小を決めるマップで、自分がどこに避難するのか、避難所はどんなところか、そこに行く前に避難できる高い建物があるかといったことを把握しておくことが重要とのこと。
筆者も思ってしまいがちですが、「うちの避難所は〇〇」という情報だけでは不足しているんですね。
そこにたどり着くまでにどんな道を通るのか、どうやって通るのかということも把握しておくべきです。
和田さんによると、マンションに住んでいるか、平家に住んでいるかでも避難の仕方も変わるとのこと。
自分の暮らしにあった避難方法を調べておく必要があります。
併せて、家の標高や海抜なども調べておきましょう。
マンションの場合、3階以上で頑丈な建物の場合は垂直避難が有効だそうです。
マンションの住民同士でも、いざというときには協力し会えるような関係づくりが必要ですね。
筆者は実家が九州で台風なども多いため、大雨や台風などの報道の際は離れて暮らす家族がとても心配です。
そんなときに役立っているのが、家の近くの河川の監視カメラ。
24時間体制で、川の水位をweb上に公開してくれています。
大雨の通知がきたら、まずはそのページを開き、川の増水状態を把握。
家族にも連絡を取るようにしています。

出典:東京都水防災総合情報システム
たとえば、東京都水防災総合情報システムのページを見ますと、こんなにもたくさんのWebカメラが河川に設置されています。
静止画や、中にはYouTubeでライブ配信をしているところもあります。
こういった情報は離れた土地からの安全確認にも役立ちますが、自身が避難するときにも必要となるでしょう。
ご自宅の近くに川があるという方は、こういったWebカメラのサービスがないか事前に確認しておきましょう。
大雨で増水している時は「今どういう状況か」、様子を見に行くこと自体が大変危険です。
「見に行かなくても様子がわかる」ものが何か、日頃からチェックしておくと良いと思います。
ちょっと出遅れただけでもリスクが上がる!素早い判断ができるように備えを!
大雨災害の避難について考えているうちに思ったのは「ちょっとの出遅れが命取りになる」ということです。
道路の停止線や白線が見えなくなる前に避難する、前方の確認ができる段階で避難する。
避難をするかしないかの判断は難しいものですが、日頃から情報を集め、どの程度になると危険なのかをイメージしておくことも助けになります。
車を過信せず、自分は大丈夫と思わず、日頃から備えておきましょう。