え、バンザイができない⁉しゃがめない⁉”できない”子どもが2人に1人らしい…改善策を【看護師が解説】
全国でインフルエンザの流行が「警報」レベル
国立感染症研究所が発表した、全国の1週間(11月20日~11月26日)のインフルエンザ感染者は13万9,914人。新型コロナ流行前の2019年のピーク時(2019年12月 11万5188人)より上回っています。
国立感染症研究所のHPに掲載されている「インフルエンザ流行レベルマップ(11月20日~11月26日)」を見るとご覧のとおり。
国立感染症研究所
インフルエンザ流行レベルマップ
(11月20日~11月26日)

画像出典:国立感染症研究所HP
47都道府県のほとんどがピンクもしくは赤色で塗られ、大きな流行の発生・継続が疑われることを示す「警報レベル」に達していることがわかります。
もう少し詳しく説明すると、過去の患者発生状況をもとに「基準値」を設け、警報の基準値を超えている保健所数の割合が70~100%の都道府県は「赤」、30~70%は「濃いピンク」、0~30%は「薄いピンク」で示しています。関東地方でいうと埼玉県が「赤」で塗られ、かなりインフルエンザが流行しているようです。
インフルエンザは例年12月から3月にかけて流行する傾向にあると聞くので、これからますます感染が広がっていくのかと思うと恐ろしいですよね。
インフルエンザにかからないよう、事前に出来ることといえば予防接種。
そんな中、注射ではなく、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンが登場したそうです。
インフルエンザの予防接種は注射ではなく”噴射”!?

画像出典:いらすとや
それは「フルミスト」というインフルエンザワクチンで、現在、接種可能なのがアストラゼネカ製とのこと。第一三共製のものもすでに国内では販売・製造が承認されていますが、供給体制が整っていないため、こちらは2024年から発売が開始される予定だそうです。
港区のおりつこどもクリニック・折津友隆院長によると、「フルミストは、インフルエンザウイルスを弱毒化して直接鼻に噴霧するワクチン」とのこと。「鼻に軽くインフルエンザにかかってもらって、鼻からのどにかけての粘膜で免疫を獲得すると同時に、疑似感染が起こることで体の中でも抗体が作られる」そうです。
…なんとなくわかったような、わからないような(笑)。
調べてみると、「フルミスト」を接種すると、インフルエンザウイルスの侵入経路となる鼻腔で免疫が作られ、高い発症予防効果が期待出来るそう。同時に、血液内にも免疫を成立させるので、感染してしまった場合でも重症化を抑制する効果が期待出来るらしいです。
「フルミスト」と注射タイプのワクチンとの違いは?
番組によると「フルミスト」と従来の注射タイプのワクチンには、以下のような違いがあるそうです。
【従来の注射タイプのワクチン】
対象年齢:生後6か月~
効果の持続:5か月間
多い副作用:注射部位の腫れ、痛み
費用:3000円~5000円
【フルミスト】
対象年齢:アストラゼネカ製 2歳~49歳・第一三共製 2歳~18歳
効果の持続:1年間
多い副作用:かぜの症状
費用:アストラゼネカ製 7000円~9000円(保険適用外)・第一三共製 未定
来シーズン発売予定の第一三共製の「フルミスト」の対象年齢は、2歳~18歳になるとのこと。この条件で厚労省から承認をされているそうです。
大人は接種出来ないようですね。
気になったのでちょっと調べてみると、「フルミスト」は子供には安定して優れた効果が期待出来る一方、過去にインフルエンザに罹患し一定のインフルエンザ抗体を持っている可能性が高い大人では、効果が弱くなってしまうとのこと。どうやら「フルミスト」は子どもの方が有効性が高いようです。
効果の持続は、注射ワクチンの5か月間に対し「フルミスト」は1年間と、かなり効果が持続するようです。また「フルミスト」は5歳未満で今までに喘鳴を指摘されたことがある人、1年以内に喘息発作のあった人は接種出来ないそうです。
「フルミスト」は痛くない?
番組では、小学2年生の男の子が「フルミスト」を接種する様子を紹介していました。
「フルミスト」は注射針のついていない注射器のような形状で、鼻の穴に入れて、左右の穴に「シュッ」と噴霧。これを2度行って、終了。あっという間に終わります。男の子に感想を聞くと、(匂いは?)→「あまりしなかった」、(痛みは?)→「全然ない」と話していました。
なお、「フルミスト」接種後の何時間かは、鼻をかまないようにとのこと。ワクチンが出てしまうそうです。
また、番組では子どもがインフルエンザに罹患した際に注意すべきことも紹介していました。
インフルエンザに罹患した子どもの「異常行動」に要注意

画像出典:厚生労働省の資料
厚生労働省の資料によると「インフルエンザに罹患したとき、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず、飛び降りなどの”異常行動”をおこすおそれがある」そうです。
小児医療の臨床医を務める、港区「クリニックばんびぃに」の時田章史院長は「インフルエンザウイルスが様々な神経症状を起こす一環として、異常行動などを起こす。(最近の研究では)抗ウイルス薬に関しての異常行動との因果関係はほぼ否定されている」と話していました。
”異常行動”の例は、「突然立ち上がって部屋から出ようとする」「興奮して窓を開けて、飛び降りようとする」「人に襲われる感覚を覚え、外に走り出す」「変なことを言いだし、泣きながら部屋中を動き回る」「話しかけても反応しない」など。

画像出典:厚生労働省の資料
”異常行動”を起こすのは、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多く(女性でも発現する)、発熱から2日間以内に発現することが多いそうです。
インフルエンザに罹患したら、特に発熱から2日間は要注意。就寝中を含め子どもが容易に住居外へ飛び出さないよう、「玄関や子ども部屋など全ての窓を確実に施錠する(内鍵、チェーンロック、補助鍵がある場合はその活用を含む)」など、細心の注意が必要とのことです。
以上、TBS『THE TIME,』で紹介していたことを中心にまとめてみました。
注射より痛みがない「フルミスト」は、注射が苦手な子どもたちにとって、ワクチン接種の選択肢のひとつになりますね。番組の中で、「フルミスト」を接種した男の子のお母さんが、病院に予防接種に行くとき「痛くないよ」と言えるのは大きいと話していたのが印象的でした。注射をすると思うと行きたくないですものね。
<参考文献>
Web
『国立感染症研究所~インフルエンザ流行レベルマップ~』
https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/
Hasseidoko/Levelmap/flu/new_jmap.html
『おりつこどもクリニック~フルミストとは?~』
https://www.oritsu-kids-clinic.jp/flumist
『いわさき小児科トラベルクリニック~フルミストについて詳しく~』
https://www.iwasakiclinic.org/%E3%83%95%E3%
83%AB%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%88/
『東中野セント・アンジェラクリニック~祝!経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト」が承認の見込み!~』
https://st-angela-clinic.jp/blog/613/
『厚生労働省』
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-
kansenshou01/dl/pamphlet181207_01.pdf