ワインといえば、赤・白・ロゼが主流というイメージがあるかもしれません。しかし最近は、その3色に加えて「オレンジ」が注目されています。
オレンジ色のワインができる仕組みや味わいの特徴といった「オレンジワインの基本」を解説したあと、ワインエキスパートの筆者がおすすめするオレンジワインをランキング形式で10本ご紹介します。
日本で手に入りやすいワインを選びましたので、「オレンジワインが気になっている」「おいしいオレンジワインを探している」という方は、ぜひ参考にしてくださいね。
オレンジワインの基礎知識
オレンジワインとは? なぜオレンジ色になるの?
オレンジワインとは、白ぶどうを使って赤ワインのように造るオレンジ色のワインです。
白ワインは通常、白ぶどうを破砕したあとに、果皮や種子を除去して果汁だけを発酵させます。それに対して赤ワインは、黒ぶどうを破砕したあと、果皮や種子も果汁と共に発酵させます。
つまりオレンジワインは、白ぶどうを破砕したあと、果皮や種子も果汁といっしょに発酵させて造るというわけです。すると、果皮や種子から赤ワインの色素成分であるアントシアニンが、種子から渋味成分のタンニンが液体に溶け出します。その結果、オレンジ色をした、少し渋味のあるワインが出来上がるのです。
ちなみに、ワイン造りにおいて、発酵する前の段階で果汁に果皮を漬け込むことを「スキンコンタクト」と呼び、発酵中のワインに果皮や種子を漬け込むことを「醸し」「マセラシオン」といいます。オレンジワインの製造方法でよく見かける用語ですので、覚えておくと役立つでしょう。
オレンジワインの主な産地
ジョージア

オレンジワインの起源は、ジョージアにあります。なんと8000年も前からワイン造りがおこなわれているジョージアは、ワイン発祥の地とも言われているのです。
そのジョージアで伝統的に使われているのが、写真のような「クヴェヴリ」。
ジョージアでは昔から、このクヴェヴリの中で、白ぶどうを果皮や種子ごと発酵させてワインを造ってきたのだそう。

ジョージアでは、この醸し発酵の過程が非常に長いため、出来上がったワインは琥珀のような美しい色をしています。したがってジョージアで造られるオレンジワインは、「アンバーワイン」という名で呼ばれているのです。品種としては、「ルカツィテリ」や「ムツヴァネ」などが使われます。
イタリア
もうひとつ、オレンジワインの重要な産地があります。それはイタリア、特にフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州です。なぜこの場所なのでしょうか?
実は少し前まで、ジョージアワインはほとんど国際市場に出回ることなく、ワイン業界から忘れ去られた存在でした。しかし、そんなジョージアワインを現代に復活させる生産者が表れます。それが、イタリア・フリウリの生産者グラヴネルです。
グラヴネルは、ジョージアを訪れた際に飲んだワインに感銘を受け、自社のワイナリーでもこのようなワインが造れないかと考えたといいます。
そこでジョージアから輸入したアンフォラを使用し、昔ながらのアプローチで醸造を試みました。そして1998年、オレンジワインの醸造に成功したのです。
このオレンジワインがジャーナリストから高く評価され、それをきっかけに、イタリアの自然派生産者たちにオレンジワインが広まっていきました。フリウリのオレンジワインには、「リボッラ・ジャッラ」という品種がよく使われています。
オレンジワインの味わい

オレンジワインにはアロマティックな白ぶどうを使うことが多いので、白桃やアプリコットなどの芳醇な果実味を有する傾向があります。それに加えて、果皮や種子に由来する赤ワインのような渋味と苦味、コクも感じられるが特徴。また、オレンジピールやはちみつ、紅茶のようなニュアンスを持つワインも非常に多いです。
オレンジワインの魅力のひとつは、「フードフレンドリー」であること。白ワイン・赤ワイン両方の良さを併せ持つので、幅広いお料理と合わせやすいのです。
また、スパイスやハーブの香りを持つワインも多いため、エスニック料理とも相性抜群です。
専門家が選ぶ!オレンジワインのおすすめランキングTOP10
第10位 甲州 オランジュ・グリ/マルス山梨ワイナリー
日本の山梨県を代表する品種「甲州」から造られるオレンジワイン「甲州 オランジュ・グリ」。スキンコンタクトと短期の醸し発酵をおこない、ぶどうの果皮に含まれる豊かで複雑な味わいを表現しています。
新鮮な洋梨や白桃のボリューミーな果実感に少しの甘味と心地よい渋味が加わった立体感のある味わい。余韻に残る果皮由来の旨みを楽しんでください。
幅広い食材と合うワインで、特にお鍋料理と合わせるのがおすすめです。

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第9位 ウィマーラ・ピノ・グリ/ローガン・ワインズ
オーストラリアの冷涼な産地、ニュー・サウス・ウェールズにおいて、ピノ・グリで造られる「ウィマーラ・ピノ・グリ」。「ウィマーラ( Weemala )」とは原住民アボリジニの言葉で「絶景」という意味です。
フレッシュな洋梨、香ばしいナッツ、そしてキャンディーを思わせる甘やかなアロマ。味わいにはしっかりと骨格があり、パイナップルや黄りんごのような果実感とスパイス、ミネラル感が心地よく混ざり合いながら余韻にかけて伸びていきます。

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第8位 コス/ラミ
「コス」は、イタリアはシチリア島の南端で、自然なワイン造りに力を注ぐ生産者が造るワインです。品種には、レモンのような酸を持つ「インツォリア」と、熟成にも耐えられる「グレカニコ」が約半分ずつ使用されています。
10日間の醸し発酵によって生まれる、リッチな香りと味わいが魅力。エキゾチックフルーツのアロマと土壌からの力強いミネラル感を併せ持つ、くせになるワイン。
牡蠣などのシーフードやエスニック料理と相性抜群です。

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第7位 キシ/フェザンツ・ティアーズ
こちらは、ジョージアのワイン。「キシ」という品種をクヴェヴリで発酵・熟成させて造られています。造り手はジョージアワインを世界に広めた第一人者であり、アメリカからジョージアに移住した画家でもあります。彼の作品は、水彩画のように何層にも色を重ねる手法で生み出されるのだそう。
彼の絵画作品同様、このワインも、たくさんの色が重なり合って生まれるような深みが感じられる1本。オレンジピールや砂糖菓子のような芳しさと、どっしりとした旨みとコクが味わえます。

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第6位 笛吹甲州 グリ・ド・グリ /シャトー・メルシャン
第10位と同じく、日本の山梨県において造られた「甲州」のワイン「笛吹甲州 グリ・ド・グリ」。生産者は、日本ワインのパイオニアとも言えるシャトー・メルシャンです。
アプリコットやりんごのコンポートを思わせるふくよかな果実感、優しい花のような香り、樽由来のヴァニラのニュアンス。
そこに、醸し発酵やスキンコンタクトに由来する複雑な味わいとタンニンの厚みが立体感を与えます。

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第5位 ルカツィテリ/フェザンツ・ティアーズ
第7位でご紹介したフェザンツ・ティアーズによるワインの品種違いをご紹介。「赤い茎」を意味する「ルカツィテリ」という名のぶどう品種を使っており、こちらもクヴェヴリでの発酵・熟成です。
オレンジやアプリコットの砂糖漬けに加えて、レーズンやいちじくのような赤紫の果実、ナッツのはちみつがけのような甘やかな香ばしさも感じられます。
果皮からの渋味によって、燻したようなスモーキーさや紅茶のようなニュアンスも表現されています。

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第4位 マドロバ・ホワイト/ドメーヌ・デ・ミケット
フランス・ローヌ地方の高い台地にある、小さな村で造られるワイン「マドロバ・ホワイト」。「マドロバ」とは、ジョージア語で「ありがとう」という意味。
このワインは、造り手がジョージアを訪れた際に学んだ製法にならって、クヴェヴリで発酵・熟成させています。彼は、先ほどご紹介したフェザンツ・ティアーズでも造り方を学んでいるそうです。
品種は「マルサンヌ」と「ヴィオニエ」。ベルガモットやレモンなどの柑橘類のフレッシュジュースのような新鮮な果実感に、果皮由来のタンニンがアクセントを添えます。

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第3位 リボッラ・ジャッラ/ロンコ・セヴェロ
イタリアのフリウリにて、「リボッラ・ジャッラ」というぶどうから造られていますワインをご紹介。60日間の醸し発酵により、果皮や種子から旨みを引き出します。
パイナップルやマンゴーの豊かな果実味とミントような爽やかでさ、スモーキーなニュアンス。はっきりとした輪郭と濃密さ、そして立体感を持つハイクオリティなワインです。

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第2位 リボッラ・グラヴネル/グラヴネル
冒頭で説明したイタリア・フリウリの生産者、グラヴネルのオレンジワイン「リボッラ・グラヴネル」。このワインはイタリアにおけるオレンジワインの元祖と言えるでしょう。たくさんのワイン生産者がグラヴネルのオレンジワインから影響を受けました。
アンフォラを用いて発酵・熟成させたあと、大樽でなんと6年も熟成させたあとボトリングしています。香りには、アプリコットやきんかん、紅茶、ナッツ、はちみつ、シナモンやスターアニスなどたくさんの要素が感じられ、複雑で豊か。
味わいはドライで、シェリーのような熟成感に心地よい塩味と苦味が加わり、滋味深さを感じます。

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第1位 ムツヴァネ/チョティアシュヴィリ
第1位としてご紹介するのは、「若々しい」という意味の「ムツヴァネ」というぶどうを用いて造られるジョージアワイン。樹齢が高めのぶどうを100%手摘みで収穫し、クヴェヴリで房ごと発酵・熟成しています。
オレンジやカリン、紅茶やナッツのアロマ。レモングラスなどのハーブや山椒や白胡椒のようなスパイスのニュアンスもあり、ボリューミーなお肉料理にもぴったりです。
アフターに向かうにつれてまったりと馴染んでいく心地よいタンニンを楽しみましょう。

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オレンジワインの複雑な味わいを楽しもう

近年、オレンジワインへの注目はどんどん高まっています。
とは言え、オレンジワインの品揃えが豊かな店舗はまだまだ少数派。「いろいろなオレンジワインを試してみたい」という方は、この記事を参考に、ぜひおうちでオレンジワインの複雑な香りや味わいを楽しんでみてくださいね。