フルーティで飲みやすいことから人気を得ている「ファジーネーブル」。女性人気の高いファジーネーブルは、ピーチリキュールとオレンジジュースで作られるカクテルです。
お酒が飲める多くのお店で提供されているため、一度は飲まれたことがある方も多いのではないでしょうか?
今回はそんなファジーネーブルについて、基本的なレシピや美味しく作るための工夫、名前の由来などを詳しく解説します。
記事の最後には、ファジーネーブルと似たレシピで作るカクテルについても紹介しているので、ファジーネーブルがお好きな方はぜひチェックしてみてください。
ファジーネーブルってどんなカクテル?
ファジーネーブルとは、ピーチリキュールをオレンジジュースで割ったカクテルです。
ピーチリキュールの甘みとオレンジジュースの酸味が合わさったフルーティな味わいで、Barや居酒屋などの幅広いお店で提供されている人気カクテルです。
アルコール度数は3~7度程度と低いため、女性の方や普段お酒をあまり飲まれない方であってもジュースのような感覚で飲むことができます。
「ファジーネーブル」という名前の由来は?
ファジーネーブルで使われる材料に由来して名付けられた
ファジー(Fuzzy)の意味を辞書で調べると、「毛羽立った・ぼやけた」などと出てきます。毛羽立ったという意味を用いて、英語では産毛のことを「Peach Fuzz」と呼ぶようです。
これは、桃の表面が産毛で覆われていることに由来しています。
「Fuzzy」は、カクテルの材料である桃(Peach)からできた単語である「Peach Fuzz」にちなんだものです。また、「Navel」は英語の「Navel Orange」からきています。
このように、ファジーネーブルは材料である桃とオレンジを表現する英語を組み合わせて作られたカクテル名であると言われています。
ファジーネーブルの味わいに由来して名付けられた
前述したように、ファジーネーブルはピーチリキュールとオレンジジュースで作られるカクテルです。
フルーティで飲みやすいカクテルではあるのですが「ピーチなのかオレンジなのかよく分からない味」と思われる方もいらっしゃいます。
そういったファジーネーブルの味を「ぼやけた」という意味の「Fuzzy」という単語を用いて表した、というのがもうひとつの説です。
ファジーネーブルの歴史
ファジーネーブルは1980年代にアメリカで考案されたカクテルです。約40年前に誕生し、ここ数十年で一気に人気となった新しいカクテルということでしょう。
ファジーネーブルが作られたきっかけとなったのは、オランダのデ・カイパー社で作られた「ピーチツリー」という名のピーチリキュールでした。
新商品のピーチツリーを効果的に売り出すためにデ・カイパー社が立てた戦略が「ピーチツリー・トニック」というカクテルを提案することでした。ピーチ・ツリートニックというのは、その名の通りピーチツリーをトニックウォーターで割ったものです。
このカクテルがアメリカで人気を獲得し、ピーチツリーは定番のリキュールとして広がりました。その後、アメリカのニュージャージー州で働くバーテンダーであったRay Foley氏によって新たにファジーネーブルが考案されました。
フルーティで飲みやすいことに加え、見た目も映えるファジーネーブルは瞬く間に人気となり、ピーチツリー・トニックを超えるものとなってしまいました。ピーチツリーとトニックウォーターの組み合わせ以上に、ピーチツリーとオレンジジュースの組み合わせの相性がよかった、ということなのでしょう。
カクテル言葉がない?
多くのカクテルには、カクテル言葉というものが存在します。有名なものでいうと、ジンライムの「色あせぬ恋」や、スクリュードライバーの「あなたに心を奪われた」などがあります。
多くのカクテルには、とてもロマンチックな意味が込められているということですね。
しかし、ファジーネーブルにはこういったカクテル言葉が存在しません。その理由としては、やはり歴史が浅いということがあげられるようです。
昔からあるカクテルと比べて、比較的最近考案されたものにはカクテル言葉が存在しないことも多いようです。
リキュールとは?

先ほど「ファジーネーブルを作るにはピーチリキュールを用いる」と説明しましたが、そもそも「リキュール」とは何なのでしょうか?
なんとなく「お酒の1つでしょ?」「甘いお酒?」といったイメージしかもたれていない方も多いのではと思います。
そんな方のために、ここからリキュールについて簡単に解説していきます。
リキュールの基本情報
リキュールとは、蒸留酒(スピリッツ)にハーブやフルーツなどの副材料を加えて香りや味を移し、そのあとでシロップや砂糖を入れて作るお酒(混成種のひとつ)のこと。そのまま飲むことはもちろん、カクテル・料理・スイーツなどに幅広く利用されます。
かつて、リキュールは薬用酒として飲まれているものでした。当初は薬草や香草などを用いて作っていたため、甘さがなく、美味であると認識されていなかったからです。
ハーブや砂糖が流通し使われるようになった大航海時代以降に、嗜好品として飲まれるようになっていきました。
現在では、杏の種子を使って作る「アマレット」やコーヒーを原料とする「カルーア」、イタリアで作られる薬草系リキュールの「カンパリ」など、さまざまなリキュールが販売されています。
「ワインやビールは苦手だけど、甘くて飲みやすいリキュールは好き」といった方もいるので、居酒屋には欠かせない存在となっています。
リキュールについては「リキュールってなに?様々な種類やおすすめ&人気の飲み方を紹介」でご紹介しています。
ピーチリキュールの種類
ここからは、ファジーネーブルで用いる「ピーチリキュール」にスポットを当てて解説していきます。
ピーチリキュールとは、その名の通りピーチのフレーバーや果汁を加えたリキュールのことです。
現在では多くのカクテルを作る際に用いられており、それに伴って数多くの種類のピーチリキュールが存在しています。
「何で割っても美味しい!ピーチリキュール人気おすすめランキングTOP10【専門家監修】」 でご紹介しているので、気になる方はご覧ください。
以下では、ファジーネーブルを作る際におすすめしたいピーチリキュールをご紹介します。
ルジェ クレーム ド ペシェ

「ルジェ クレーム ド ペシェ」は、フランスのルジェ社が手がけるピーチリキュールです。
ルジェのピーチリキュールは多くのバーテンダーが使っているので、見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
カクテル作りで利用するのはもちろん、そのままロックで飲んでも美味しくいただけます。
ボトルの容量は700mlと200mlの2種類が販売されています。
日常的にお酒を飲む方は700mlのボトルを、たまにしか飲まない方は200mlといったように、自分の生活にあった方を購入しましょう。

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デカイパー オリジナル ピーチツリー

先ほども紹介したデ・カイパー社が手がけるピーチリキュール、「オリジナル ピーチツリー」です。
デ・カイパー社はファジーネーブルが作られるきっかけとなったカクテルである「ピーチツリー・トニック」を考案した企業です。
そんなデ・カイパー社の作る「オリジナル ピーチツリー」は黄桃果汁を使用していて、桃そのものの香りが楽しる無色透明なリキュールです。
ピーチリキュールが広まる原因ともなった、世界中で愛されているリキュールの1つです。

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ラフォン クレーム ド・ペシェ

「ラフォン クレーム ド ペシェ」は、 フランスのラフォン社が手がけるピーチリキュールです。
完熟ピーチの豊かな香りと、自然で優しい甘さが特徴です。
価格も比較的リーズナブルでお酒初心者の方にはおすすめなピーチリキュールです。

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ボルス ピーチ

「ボルス ピーチ」は、オランダのボルス社が手がけるピーチリキュールです。
このリキュールは日本のアサヒビールと協力して開発された商品で、ピーチの香りの中にオレンジなど柑橘系の味わいを感じることができます。
ボルス社からは他にも多くのリキュール販売されているので、ぜひ色々とご覧になってみてください。

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ピーチリキュールの歴史
ピーチリキュールは、桃の風味をカクテルに利用するときに使われます。
しかし、もともと桃はお酒世界ではそれほど人気があったわけではありませんでした。
ピーチリキュール人気の火付け役となったのは、先ほどご紹介した「デ・カイパー社」の作る「ピーチツリー・シュナップス」です。
ファジーネーブルが作られるきっかけともなったピーチツリーは、とある人物の思いつきによって生み出されました。
その人物とは、アメリカの「ナショナル・ディスティラリー・プロダクツ社」の研究室長であったアール・G・ラ・ロー氏です。
彼は、木にたわわに実ったフレッシュな香りを漂わせる桃を見たとき、「これをリキュールにしたい」と思ったそうです。
その後、事業提携先のデ・カイパー社に開発を依頼したことで「ピーチツリー」が誕生しました。
当時のデ・カイパー社は「ペパーミント・シュナップス」「ブルーベリー・シュナップス」というリキュールを販売して人気を得ていたこともあって、ピーチツリーも初めは「ピーチツリー・シュナップス」という名前で売られていました。
ちなみに「シュナップス(ドイツ語)」というのは、ドイツで飲まれているアルコール度数の高い無色透明な蒸留酒のことをいいます。
販売後少し経ってからは、ピーチツリーは「ピーチツリー・シュナップス」ではなく「オリジナル・ピーチツリー」という名前で販売されるようになります。
現在でも、デ・カイパー社は「オリジナル・ピーチツリー」を販売し続けています。今回のエピソードを聞いて興味をもたれた方は、ピーチツリーを飲んでみてはいかがでしょうか?
ファジーネーブル基本のレシピ

ファジーネーブルの作り方は非常に簡単で、材料も手軽に揃えることができることが魅力です。以下では、ファジーネーブルの基本のレシピを紹介します。
作り方と材料(レシピ)
<材料>
・ピーチリキュール 45ml
・オレンジジュース 適量
①グラスに氷を入れます。
②ピーチリキュール45mlをグラスに入れます。
③オレンジジュースを適量注ぎ入れます。
④バースプーンで材料を混ぜたら完成です。
④のバースプーンで混ぜることは、同時に材料を冷やす役割を果たしています。
材料・作り方どちらもシンプルで炭酸も使わないため、普段お酒を作ることがない方であっても美味しく作ることができます。ピーチリキュールとオレンジジュースの割合を調整することで、自分好みに作ってみてください。
美味しいファジーネーブルを作るコツ

美味しいファジーネーブルを作るために、意識するべきことは「純氷を使って作る・グラスを冷やす・生絞りのオレンジジュースを使う」の3つです。
純氷を使って作る
純氷とは、透明で硬く溶けづらい氷のことです。製氷機で作る氷を使ったときよりも、純氷を使って作ったほうが氷が溶けづらく、ある程度時間が経っても美味しさが保たれます。
せっかく作ってすぐ水っぽくなってしまうことは避けたいので、氷は純氷を使うようにしましょう。氷の専門店でなくとも、コンビニなどで簡単に手に入りますよ!
グラスを冷やす
冷えたグラスを使うと、カクテルがキリッとした仕上がりになります。とはいえ、グラスを前もって冷やしておく必要があるわけではなく、グラスに入れた氷を使ってグラスを冷やすようにしてください。
グラスに氷を入れた後、バースプーンやマドラーで軽くかき回すだけでグラスは冷えます。グラスを冷やしたときに氷が溶けて出る水は、ピーチリキュールをグラスに入れる前に捨てるようにしてください。
生絞りのオレンジジュースを使う
ファジーネーブルで必要なオレンジジュースは、基本的にはスーパーなどで売ってる100%のオレンジジュースを使います。それでも十分に美味しいファジーネーブルができるのですが、より美味しく作りたいと思う方は「生絞りのオレンジジュース」を使ってみましょう。
生絞りオレンジジュースを使うことで、市販のジュースよりもフレッシュな味わいを感じることができます。
市販のジュースで作るよりも高くなってしまいますが、特別な日などにぜひ一度やってみてください。その味わいの違いに、きっと驚くはずですよ!
見た目を整えることも重要
味には影響しませんが、「見た目をキレイに整える」ということも心がけると、お店で提供されるようなクオリティの高いファジーネーブルになります。
ファジーネーブルを作った後、最後にオレンジカットを飾るとお洒落に見えるので、自宅にオレンジがある方はぜひやってみてください。
「料理は見た目が9割」という言葉があるよう、視覚的な情報が人に与える影響は大きいので、見た目にもこだわることをおすすめします。
ファジーネーブルの類似レシピ
ピーチリキュールとオレンジ ジュースを使って作るファジーネーブルですが、ピーチリキュールやオレンジジュースを用いるカクテルは他にも多く存在します。
ファジーネーブルが好きな方であれば、似たようなレシピで作るカクテルは気になるところではないでしょうか?
「ピーチリキュール以外のお酒 とオレンジジュースで作るカクテル」と「ピーチリキュールとオレンジジュース以外のジュースで作るカクテル」をそれぞれご紹介します。
リキュールを変えたレシピ
まず、ピーチリキュールを他のお酒に変えて作るカクテルを4つご紹介します。どれも分量や作り方がファジーネーブルとほぼ同じなので、自宅で簡単に作ることができます。
オレンジ・ブロッサム
オレンジ・ブロッサムは、ジンとオレンジジュースで作るカクテルです。
禁酒法時代のアメリカで誕生したとされるオレンジブロッサムは、ジンの香りとオレンジのフルーティさを感じることができます。
オレンジの花言葉が「純粋」や「花嫁の喜び」ということから、結婚式の食前酒として飲まれる事も多いです。
このカクテルはシェイク(カクテル作りの技法の1つ)で作られることもあるので、シェイクのできる方はそちらの方法でも作ってみてください。
中で材料と空気が混ざり、少しまろやかになったオレンジブロッサムが楽しめます。
スクリュードライバー
スクリュードライバーは、ウォッカとオレンジジュースで作るカクテルです。
アメリカ人労働者が喉を潤すため、その場にあったスクリュードライバー(ねじ回し)を使ってこのカクテルを作ったことが名前の由来だといわれています。
クセの少ないウォッカがベースのスクリュードライバーは、アルコール度数が12~13度もあるにも関わらず、非常に飲みやすいです。
そのため、女性がいつの間にか飲み過ぎて酔ってしまうカクテルだとして、「レディーキラー」と呼ばれることもあります。
スクリュードライバーについては「カクテル「スクリュードライバー」とは?美味しい飲み方、作り方徹底解説」で詳しく解説しています。
カシスオレンジ
カシスオレンジは、カシスリキュールとオレンジジュースで作るカクテルです。
そもそもカシスとは、ブルーベリーやストロベリーなどのベリー類の一種で、リキュール以外にもデザートなどに用いられています。
カシスの程よい甘さとオレンジジュースの酸味が組み合わさったカシスオレンジは、アルコール度数が5%程度なため女性であっても飲みやすいです。
居酒屋でも人気の定番カクテルなので、飲まれたことがある方も多いのではないでしょうか?
カシスオレンジについては「カクテルの定番!カシスリキュールの美味しい楽しみ方【レシピあり】」 で詳しく解説しています。
テキーラ・サンライズ
テキーラ・サンライズは、テキーラ・オレンジジュース・グレナデンシロップで作るカクテルです。
グレナデンシロップとは、ザクロから作られるノンアルコールの赤いシロップのことです。
テキーラサンライズの作り方は、テキーラをオレンジジュースで割った後に、グレナデンシロップを上から静かに少量注ぐだけです。
朝日をイメージして作られたカクテルで、とあるロックバンドの曲名としても使われたことがあります。
見た目も美しいカクテルなので、お洒落な気分に浸りたい方はぜひ作ってみてください。
テキーラサンライズについては「女性でも飲みやすい!テキーラを使ったカクテル「テキーラサンライズ」」で詳しく解説しています。
オレンジジュースを別のソフトドリンクに変えたレシピ
次は、オレンジジュースを他のジュースに変えて作るカクテルを4つご紹介します。ファジーネーブルの他に、ピーチリキュールを使ったカクテルを飲んでみたい方はぜひ参考にしてください。
レゲエパンチ
レゲエパンチとは、ピーチリキュールとウーロン茶で作るカクテルです。
レゲエパンチは、地域によって様々な呼ばれ方をしています。関東では「ピーチウーロン」関西では「上海ピーチ」北海道では「クーニャン」などと呼ばれることも。
ピーチリキュールがウーロン茶の苦味を緩和しているため、人を選ばない味のカクテルとなっています。アルコール度数は4%程度でとても飲みやすい部類なので、お酒が強くない方にもおすすめです。
ピーチミルク
ピーチミルクとは、ピーチリキュールとミルクを使って作るカクテルです。
カルーアミルクに代表されるように、もともと甘いテイストのリキュールと牛乳は相性がいいです。
ピーチミルクも、ピーチリキュールとミルクの組み合わせで、口当たりの良い甘さを味わうことができます。
甘いお酒が好きな方には、ぜひ飲んでいただきたいカクテルです。
逆に、甘いお酒が苦手な方にとっては、リキュールとミルクの組み合わせは甘すぎると感じられるかもしれません。
ピーチフィズ
ピーチフィズとは、ピーチリキュール・レモンジュース・シュガー・ソーダを使って作るカクテルです。
ピーチリキュールによる甘さだけでなく、レモンジュースによる酸味も加えられているので、甘いお酒が苦手な方でも飲むことができます。
炭酸が入りですっきりとした爽快感があるので、喉の潤すための一杯目として飲むこともおすすめです。
作り方は「ピーチリキュール・レモンジュース・シュガーシロップ」をシェイカーに入れてシェイクした後、グラスに注ぎ入れ、最後にソーダで割ります。
名前に「フィズ」が含まれるカクテルは、基本的にはシェイクという技法で作るものが多いです。
しかしこのピーチフィズは、アルコール度数がそれほど高くない「リキュール」がベースとなっているため、ビルドで作るレシピも存在します。
また、ピーチフィズは、シュガーシロップのかわりにグレナデンシロップを使ったレシピもあるので、気に入った方はそちらのレシピも試してみてください。
まとめ

アルコール度数が低く飲みやすいファジーネーブルは、女性に限らず、幅広い層の方に愛されています。
ピーチリキュールの甘みと、オレンジジュースの酸味が組み合わさったフルーティな味わいを感じることができます。
作り方も簡単なので、自宅で作るにしてはぴったりなお酒です。
また比較的最近できたカクテルでもあり、色々と工夫してみることで、これまでにない「あなただけのファジーネーブル」を作り出せるかもしれません。
ビールやワインなどではなく、「オシャレなカクテルを飲みたいな」と思ったときは、ぜひお家で作ってみてください。