シンガポールスリングというカクテルを飲まれたことがありますか?見た目が美しく、甘くて飲みやすいことから、女性から高い人気を獲得しています。
実は、シンガポールスリングは基本のレシピが2種類存在する珍しいカクテルなんです。
シンガポールスリングとは?
シンガポールスリングとは、シンガポールの「ラッフルズ・ホテル」の中のBar「ロングバー」で働くバーテンダーによって考案されたカクテルです。
シンガポールスリングには有名なレシピが2種類存在します。1つ目がラッフルズ・ホテルで考案されたレシピ、もう1つがそのレシピをよりフルーティにアレンジしたレシピです。
これらの有名な2種類のレシピは、材料もテイストも異なります。
名前の由来
「シンガポールスリング(Singapore Sling)」という名前は、発祥地である「シンガポール」と、ドイツ語の「Schlingen(飲み込む)」に由来しています。
シンガポールスリング以外にも、「ニューヨーク」や「マンハッタン」などといった地名が名前の元になっているカクテルは多いですね。
シンガポールスリングの歴史
先ほど申し上げたように、シンガポールスリングはシンガポールの「ラッフルズ・ホテル」のロングバーで誕生しました。1915年にラッフルズ・ホテルで働くニャン・トン・ブーンというバーテンダーが、女性向けのカクテルとして考案したのがきっかけでした。
彼が考案したのは、ジンとチェリーブランデーを使用した一般的なシンガポールスリングに近いテイストだったと言われています。
その後、彼の甥でもあり1970年~80年代にラッフルズ・ホテルのバー部門責任者でもあったロバート・ブーン氏によって見た目、テイスト共に南国をイメージしたものに変更されました。
現在はその変更後のレシピが、「ラッフルズ・スタイル」のシンガポールスリングとして世界中の人々に親しまれています。
なぜ2つのレシピに別れたのか
シンガポールスリングが誕生した1915年。
当時シンガポールはイギリス領だったこともあり、多くのイギリス人が滞在していました。その中に、ラッフルズ・ホテルを愛した小説家・劇作家の男性がきっかけを作られたと考えられています。
彼の名前はサマセット・モーム。ラッフルズ・ホテルから見える夕日を大変気に入った彼は、ホテルに長期滞在し「ラッフスズ、その名は東洋の神秘に彩られている」という言葉を残しています。
現在でもラッフルズ・ホテルには彼の名前を冠した「サマセット・モーム・スイート」という部屋が設けられていることから、どれだけ彼がラッフルズ・ホテルを気に入っていたかがわかります。
1926年に発表された短編集の中の「手紙」という短編小説の中でシンガポールスリングが登場し、一気に有名になったと言われています。
現在のラッフルズスタイルのシンガポールスリングが出来上がったのは、前述のロバート・ブーン氏が活躍した年代だと想像すると、この「手紙」が発表された当時のレシピが広まり、その後ラッフルズスタイルができたと考えられます。
つまり、元祖のレシピは一般的なテイストのシンガポールスリングで、場所の元祖はラッフルズ・ホテル。ただしレシピ・テイストはラッフルズスタイルの方が後発のレシピである可能性もあります。
ラッフルズ・ホテルについて
現在もホテルとして存在しているラッフルズ・ホテルは、シンガポールスリングファンが世界中から訪れる観光地でもあります。
ちなみにラッフルズホテルは14ヶ国に存在する高級ホテル。2022年までに新たに2つのホテルが、アメリカとサウジアラビアにオープンする予定なんだそう。
宿泊料金は日によって前後しますが、1泊6万円以上とシンガポールの中でも高級ホテルとして宿泊施設としても人気です。ちなみに、ホテルに直接予約すると片道の空港発着のリムジン送迎が無料オプションとしてついてくるとのことなので、人生の大事な節目に行う旅行にもうってつけですね!
バーも3つ併設されており、シンガポール発祥の「ロングバー」だけでなく、屋外バーの「ラッフルズ コートヤード」、滞在していた著名な作家にちなんだ「ライターズ バー」があります。
その中でもシンガポールスリングが誕生したロングバーには、多くの観光客がラッフルズスタイルのシンガポールスリングを求めてやってくるのだそう。
お通し出てくるピーナッツはおかわり自由で、食べた後の空は地面に捨てるスタイルもある意味同ホテルの名物となっています。
シンガポールはポイ捨てに非常に厳しい文化が法律としても浸透しているため、知らずに行ったらびっくりしてしまいますよね。
ここで提供されるシンガポールスリングのグラスはお土産として購入でき、人気を博しています。
シンガポールスリングの作り方

ここでは、シンガポールスリングのレシピを2種類紹介します。
どちらのレシピが正しいといった優劣はありません。お好みや作りやすさを加味してチャレンジしてみてくださいね。
ラッフルズスタイルのシンガポールスリング
ラッフルズスタイルは、材料にパイナップルを使用するため、非常にトロピカルで飲みやすいカクテルです。濃厚な果汁感と複雑に絡むテイストは、ジンベースであることを忘れてしまうくらい飲めてしまいます。
しかし、多くの材料を使用することから価格も少々高くなってしまうため、自宅で作る際などには注意してくださいね。
材料・手順
<材料>
・ドライジン 30ml
・チェリーブランデー 15ml
・パイナップルジュース 120ml
・ライムジュース 15ml
・ベネディクティン 7.5ml
・コアントロー 7.5
・グレナデンシロップ 10ml
・アンゴスチュラビターズ 1dash
・(飾り用)パイナップル
・(飾り用)レッドチェリー
全ての材料をシェイカーに入れて、少し強めにシェイクしましょう。材料を均一に冷やす・混ぜるだけでなく、パイナップルに空気を含ませ軽く泡立てるイメージでシェイクします。
その後、茶こしなどで余分な氷のフレークを取り除きながらグラスに注ぎ、フルーツで飾り付けて完成です。
飾り付けのフルーツは、なくてもテイストに変化はそこまでありませんが、パイナップルを盛り付けることで南国感を演出できるのでおすすめ。
パイナップルを生の果実からジュースにすると更に美味しくなるため、余ったパイナップルを飾り付けにするイメージで使用するのも良いですね。
ジュースで作っても果実感がありジューシーですが、生のフルーツを使用することでフレッシュさや果実の甘さが全く新しい1杯を演出します。
ジンはビーフィーター、チェリーブランデーはヒーリングを使用することで本場のレシピをある程度再現できます。

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自宅で作れない場合には
ラッフルズスタイルのシンガポールスリングは、メジャーなカクテルの中でもとりわけたくさんの材料が使われている1杯。そのため「自宅で気軽に作れます!」とはいい難いのが正直なところです。
もし、気になったらBarでオーダーして、テイストを気に入ってから材料を揃えることをおすすめします。一般的なシンガポールスリングとの違いにびっくりするので、ぜひ頼んでみてくださいね。
一般的なシンガポールスリング
一般的なシンガポールスリングは、ラッフルズスタイルとは材料がまるで違うためテイストも大きく異なります。ラッフルズスタイルと比較してすっきりとしていて飲みやすく、ソーダの炭酸の刺激が程よく喉を刺激するカクテルです。
材料・手順
<材料>
・ドライジン 45ml
・チェリーブランデー 15ml
・レモンジュース 20ml
・砂糖 1tsp(tsp=ティースプーン)
・ソーダ 適量
ソーダ以外の材料をシェークし、氷の入ったグラスに注ぎます。その後静かにソーダを注ぎ、軽くステアして完成です。
お好みでスライスレモンやレッドチェリーを飾ると、見た目も気取りすぎない豪華さを演出できます。
使用する氷は溶けにくい純氷を使用し、グラスや材料を冷やしておくと更にすっきりとしたシンガポールスリングを長く楽しむことができます。
また、ソーダを注いだ後は静かにステアしましょう。
ガシャガシャとステアしてしまうと炭酸が抜けてしまうだけでなく、氷が余分に溶け出し水っぽいシンガポールスリングになってしまいますよ。

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まとめ

2つのレシピがあるシンガポールスリングは、今も世界中の多くの人々に愛されるカクテルです。
ラッフルズスタイルは自宅ではなかなか作りにくいため、Barなどでオーダーすると良いでしょう。
しかし、材料が非常に多いので手間のかかるため、少し周りのお客様が落ち着いた時にオーダーすることをおすすめします。
また、ダイニングバーなどでは材料が揃っていない場合もあるため、オーセンティックなBarでオーダーすることをおすすめします。
運が良ければラッフルズ・ホテルのグラスでサービスされるため、その時はバーテンダーに背景などを詳しく聞いて異国情緒を感じるのも醍醐味の1つです。
びっくりするほどテイストが異なるため、両方を飲み比べてお好きな方を楽しんでくださいね。