野菜のタネの性格を知って、栽培に活かす!野菜別のたねのまき方を解説!ここでは、ウリ科のキュウリ・ゴーヤ・カボチャ・ズッキーニ・スイカ・メロンについて説明します。

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苗同士がぶつかるとケンカする

ウリ科野菜は生育が早く、30~40日程度で苗が育ちます。
キュウリ、ゴーヤ、ズッキーニなどの若採りしていく野菜なら、直まきでも十分に楽しめます。
早くから採っていきたい場合は育苗して、4月下旬頃に定植します。

キュウリは7月下旬までタネまきができます。収穫中のキュウリの株元に追加してタネをまいていくと、秋まで途切れなく楽しむことができます。
カボチャ、スイカ、メロンは実が完熟するまで時間がかかるので、収穫が遅くならないよう育苗します。
ウリ類の中でもズッキーニはタネが充実しづらいため、前年採種した新しいタネでも発芽力は弱めです。ズッキーニはなるべく丸みのあるタネを選ぶといいでしょう。

ポイント① ウリ科はナス科のように、1穴多粒まきは向きません。

ウリ科はナス科のように、1穴多粒まきは向きません。
どれも子葉が大きいうえ、発芽したときに子葉がぶつかると、隣の苗とケンカになります。なぜなら、最初の頃は子葉が開いた方向に側根が伸びるからです。

1粒ずつまくか、大きめのポットにタネとタネの間隔をあけたうえでタネの向きをそろえてまきます。
発芽を促すためには、タネの向きに注意しましょう。
タネは必ず縦に挿します。タネの向きに気をつけるだけで、病気予防にも役立ちます。

ポイント② ウリ類の発芽適温は25~28度温度帯で、高温でよく発芽します。

スイカやメロンは40度でも発芽することがありますが、30度以上が持続されると発芽や生育にはいい影響を与えません。育苗中の温度管理に注意します。

キュウリとゴーヤは乾燥を嫌います。握って団子になる水分量の土壌にタネをまきましょう。反対にカボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロンは乾き気味の土壌が向きます。

キュウリ

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
発芽温度:18~33度
土壌環境:握ると団子になるほどよく湿った土を好む。
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ゴーヤ

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
発芽温度:18~33度
土壌環境:握ると団子になるほどよく湿った土を好む。
夏野菜がおいしく育つタネのまき方!

カボチャ

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
発芽温度:18~33度
土壌環境:握ると団子がやや崩れる乾き気味の土を好む。
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ズッキーニ

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
発芽温度:18~33度
土壌環境:握ると団子がやや崩れる乾き気味の土を好む。
夏野菜がおいしく育つタネのまき方!

スイカ

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
発芽温度:18~33度
土壌環境:握ると団子がやや崩れる乾き気味の土を好む。
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メロン

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
発芽温度:18~33度
土壌環境:握ると団子がやや崩れる乾き気味の土を好む
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スゴ技 ウリ類のタネは〝縦挿し〟まきにする

吸水しやすくなり病気も防ぐことができる!

ウリ科野菜のタネをまくときは、必ず「吸水口」を下にします。
吸水口は「発芽口」ともいわれる部分で、そこから根や芽が出てきます。
トマトなどのナス科のタネやマメ類のタネは、種皮全体から水を吸いますが、キュウリなどのウリ類は吸水口からしか吸いません。

タネは吸水口を真下に向けて縦に挿します。こうすると吸水しやすくなるうえ、種皮を土中にスルリと脱ぎ捨てて発芽することができます。
タネを横にして寝かせてまく人もいますが、種皮がうまく外れないことがあり、そうなると子葉に傷がつき、病気に感染しやすくなります。ウリ科でよく見るべと病や炭疽病は発芽のときに感染することが多いのです。
種皮が残らずにきれいに発芽すれば、かなりの確率で感染を防げます。「ウリ科野菜のタネは吸水口から発根するため、根も下へとスムーズに伸びます。」
夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
吸水口
種皮に小さな穴があり、ウリ類のタネはここから水を吸います。
夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
子葉に種皮がついた苗は病気になりやすい
種皮が子葉についたまま地上に出てくると問題です。種皮が離れないと子葉が傷つくため、病気に感染しやすくなります。タネをじょうずにまけば、種皮を土中に脱ぎ捨てて発芽します。
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タネの吸水口を下にして縦向きに挿す
タネの吸水口を下に向けて、土に挿すことで、水が吸いやすくなります。種皮が子葉から外れやすくなるのもメリットです。直まきのときも同じです。
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スゴ技 定植後の根張りをよくするスイカのロングポット育苗

直根が地中深くまで伸びてくれる!

ウリ科は根を広く伸ばす性質を持っています。スイカも根を横へ広げていきますが、最初に直根を深く伸ばします(イラスト参照)。

生育初期に直根の伸びを抑えてしまうと、地下へ伸びづらくなってしまいます。そこで、スイカを育苗するときは、ロングポットを使うのがおすすめです。根の生育を阻害せずに育苗することができます。


そして、スイカは若苗で植えることも大切です。苗が老化すると直根の伸びが弱くなります。ただし、気温が低いうちに定植しても直根の伸びが悪いので、育苗は4月に入ってから始めるといいでしょう。夏の収穫に十分間に合います。

気温が低いときは畝にマルチを張り、ビニールトンネルやあんどんなどを立て、しっかり保温します。スイカは若苗で定植する
本葉1.5枚のときに定植します。遅くても本葉3枚までに植えないと、苗が老化します。早い時期にまいてしまうと、ビニールトンネルなどの保温が必要になるので、植えつけ時期を考えてタネをまいてください。

ロングポットを使用する
本葉が出ると、直根が伸びだします。深型のポットで育てると、定植後の直根の伸びがよくなります。ポットの長さは15cmぐらいあれば十分です。普通の育苗ポットを2個利用し、ホチキスなどで留めてロングポットを自作することもできます。

夏野菜がおいしく育つタネのまき方!
直根が深く伸ばしてから側根を横へ広げていく
スイカは直根を40cmぐらい地中に伸ばしてから、側根を横へ広く伸ばしていきます。直根が深く伸びると地下水を吸い上げて、生育も味もよくなります。
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