「週刊少年ジャンプ」にて2020年より連載中の『僕とロボコ』。2022年12月よりアニメも放送中の本作、その魅力はどこにあるのでしょうか?

もしも、人々の生活をより良いものにするロボットが完成したら?
これまで人類はそんな未来を夢見て、さまざまなSF作品を世に送り出してきました。

日常の炊事、家事を手伝ってくれるロボット、勉強を教えてくれるロボット、レストランのウェイターやショップの店員として働いてくれるロボット…人間の生活のクオリティを著しく高めてくれるロボットの登場を人々は今か今かと待ちわびているわけです。実際にファミレスなどでは猫型のロボットが給仕している光景を近年は多く見かけるようになりました。
『僕とロボコ』未読の人に教えたい…!オマージュを超えた強烈な...の画像はこちら >>

アニメ『僕とロボコ』キャラクター設定画 画像1

ロボットつまり人工知能(AI)は近い将来、シンギュラリティに到達し、人類の知能を超えるとまことしやかに囁かれているほどです。人類は今まさに、AIによって生活が変化していく転換期に立たされていると言えるのです。

そんなご時世に登場した一本のギャグ漫画が大きな話題となっています。料理、掃除、勉強、おもてなし…何でもお任せの愛されロボットの活躍を描いた『僕とロボコ』です。

まさにジャンプ版『ドラえもん』?随所でのリスペクト

『僕とロボコ』は2020年より「週刊少年ジャンプ」にて連載中の宮崎周平先生によるギャグ漫画。2022年12月からはアニメ化もされており、お茶の間でも視聴者を大いに楽しませている作品です。

時は西暦20XX年。AI搭載超高性能メイド型ロボットOM(オーダーメイド)が全世界で大ヒット。物語の主人公となるどこにでもいるような普通の小学五年生の平凡人(たいらボンド)は、可愛くて有能なオーダーメイドと暮らすことを夢見ていました。ある日、平家にもいよいよオーダーメイドがやってくることになり、喜びに満ち溢れたボンドでしたが、現れたのは料理も家事も何もできない、異様に膝だけが逞しく(ナッパみたいに)設計されたオーダーメイドのロボコだったのです。

【TVアニメ化決定‼】ロボコのトリセツ(取り扱い説明動画)【僕とロボコ/公式PV】

via www.youtube.com
本作は、ボンドとロボコの平凡な日常をギャグたっぷりに描き切った一話完結のストーリーが描かれます。
主にボンドが小学校の友達や家族との生活を通して見えてくる問題を解決しようとする様をコミカルに描く作品なのですが、本作はまさに「ジャンプ版ドラえもん」と言えるような作品なのです。というのも、主人公はごくごく普通のメガネをかけた少年、うだつの上がらない生活を送る彼を手助けするために現れる一体のロボット、しかし、そのロボットは通常モデルとは少し異なる欠陥を持っていて…という根幹にあるテーマが『ドラえもん』と類似。加えて、主人公ボンドの周囲には、良い奴キャラでありながら「ガチゴリラ」や「モツオ」といったボンドよりも優れた個性を持つ「ジャイアン」や「スネ夫」のようなキャラクターが配置され、まるで「しずかちゃん」を彷彿させるクラスのマドンナ的存在である「円ちゅわん」というキャラクターも登場します。

公式には認められていないようですが、これはほぼほぼ間違いなく『ドラえもん』から影響を受けていると言えるのではないでしょうか。
『僕とロボコ』未読の人に教えたい…!オマージュを超えた強烈な個性にハマった

『僕とロボコ』2話 場面カットより

via 『僕とロボコ』2話 場面カットより

出版社の垣根を超えたパロティ!さすがの一言

とはいえ、本作は『ドラえもん』のようなSF日常漫画というわけではなく、あくまでもギャグ漫画。

物語の最終的な着地点としては、ボンドが巻いた種を回収するのではなく、さらに大きな問題にして終了となることが多く、そういった部分は少年誌である「週刊少年ジャンプ」に掲載されるに相応しい内容に仕上がっている印象です。さらに、この『僕とロボコ』には、恐ろしいほどに強烈な個性を放っている要素もあるのです。それは他作品へのオマージュという言葉では収まりきらないほどのパロディが劇中のいたるところに散りばめられている点です。
『僕とロボコ』未読の人に教えたい…!オマージュを超えた強烈な個性にハマった

『僕とロボコ』1話 場面カットより

via 『僕とロボコ』1話 場面カットよりすでにテレビアニメにて放送されている第1話の段階から、もはや把握しきれない量のパロディが作品を彩っており、冒頭からいきなり『ONE PIECE』風のオープニングで幕を開け、ロボコが初登場の際に乗ってくるバイクの柄は『鬼滅の刃』の煉獄さんを想起さえ、背もたれ部分には「滅」の文字が!さらにロボコの髪の毛が上へ上へと伸びていく『HUNTER×HUNTER』の“ゴンさん”のようになってしまう描写も存在します。そのほか『ドラゴンボール』、『銀魂』、『呪術廻戦』といった作品のパロディが登場。「〇〇を駆逐してやる」のセリフでおなじみの『進撃の巨人』へのパロディも散見でき、出版社の垣根を超えたパロディにも驚かされることでしょう。『僕とロボコ』の他作品パロディはアニメや漫画の劇中だけに限った事ではなく、コミックスの表紙にも表れています。現在刊行されている全11巻で、『チェンソーマン』や『僕のヒーローアカデミア』、『DEATH NOTE』といった作品を模した表紙が登場しており、最新の11巻では「週刊少年ジャンプ」にて『HUNTER×HUNTER』が連載再開したことを受けてなのか『HUNTER×HUNTER』にオマージュをささげた表紙になっています。