ここ数年、『SPY×FAMILY』や『怪獣8号』など「少年ジャンプ+」原作作品がアニメされ、大躍進を遂げています。そんなジャンプ+作品の中でも、比較的初期に話題となった野球マンガがこのほど、ついにアニメ化され、多方面で高く評価されているのです。

それが『忘却バッテリー』です。元プロ野球選手らも絶賛する本作、読み込んでいくとあの大人気バスケ漫画やあの“メジャーリーガー”との共通点なども垣間見える興味深い作品なのです。

『忘却バッテリー』大谷翔平と清峰葉流火には共通点がある? プ...の画像はこちら >>

TVアニメ『忘却バッテリー』公式サイトより

元プロ野球選手、上原浩治さんや古田敦也さんも絶賛

アニメ『忘却バッテリー』は、「少年ジャンプ+」にて、2018年より連載中のみかわ絵子による漫画を原作としています。

中学野球界でその名を轟かせた清峰葉流火と要圭の天才バッテリー。彼らと相対した山田太郎は、その実力を見せつけられ、野球から引退することを決意。野球から距離を置けるはずでしたが、進学先には清峰と要の姿が! しかし、中学時代は“智将”としてならした要の様子がおかしい。実は、彼は記憶喪失になってしまい、一切の記憶を失っていたのです。

もちろん野球に関する知識も…。

『呪術廻戦』や『進撃の巨人』などで知られるMAPPAがアニメーション制作を担当していることから、レベルの高い作画が好印象の本作。随所に織り込まれるギャグマンガのようなコメディ要素や宮野真守さんを初めとした声優陣の好演も相まって、抜群に面白い野球アニメとして話題になっている本作ですが、実は筆者自身は、今回のアニメ化で本作にハマったという経緯があります。

というのも、こういったスポーツ漫画はやはりアニメ化、映像化されてこそ、その魅力を十二分に発揮できるのではないかと思っている節があり、本作は登場人物が野球をプレーしている場面における人間独特の滑らかな動きなどを見事に再現していると感じました。

この点に関しては、元プロ野球選手の上原浩治さんや古田敦也さんも同様のことを「スポルティーバ」の対談動画で語っており(※)、長年、プロ野球界で活躍してきたレジェンド選手から見ても、そのリアリティたるや、凄まじいものがあるようです。古田さんは「今後、大きな影響を与える作品」ともおっしゃっており、野球アニメの新たな定番として定着する可能性も示唆しておりました。

※スポルティーバ公式チャンネル:古田敦也、上原浩治が野球アニメ『忘却バッテリー』に夢中「スタリッシュでカッコいい」「ギャグにハマってます」https://www.youtube.com/watch?v=7MU5qg0v4mE

そんな『忘却バッテリー』ですが、主人公の清峰や要を初め、小手指高校の面々は、野球部特有の坊主頭というわけではありません。

坊主頭(一昔前までは五厘刈りが当たり前)が基本の高校野球において、やれ金髪だ茶髪だの長髪が登場する野球アニメなんて、全然リアルじゃないなんて声が往年の野球ファンからは聴こえてきそうですが、昨年の夏の甲子園で107年ぶりの優勝という快挙を成し遂げた慶應義塾高校野球部の姿からもわかるように、現代では野球部のスタイルも多様性の時代。

今や坊主頭でなくてはならないという決まりはなくなってきているのです。だからこそ、野球部がスタイリッシュであっても問題はない。まさに時代を先取りし、“カッコいい野球部員”の新たなスタイルを確立していると言えるのではないでしょうか。

『SLAM DUNK』を想起させる点。
三井寿と藤堂葵がリンクする

さらに本作は、大人気漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』と重なる点も多いのです。

『スラムダンク』で湘北高校のシューティングガードを担う選手と言えば三井寿ですが、その三井と本作に登場する藤堂葵のストーリーが重なって見えるのです。

三井寿は怪我でバスケから離れ、喧嘩に明け暮れる不良としての日々を送り、その後、バスケ選手としてカムバックを果たすキャラクター。一方の藤堂葵は中学時代に経験した送球ミスからイップスになってしまい、ショート(遊撃)から一塁への送球ができない状態に陥ります。

その影響から、野球選手生命の危機に立たされ、喧嘩でストレスを発散する日々を送ることに。しかし、小手指高校で良き仲間と巡り合ったことで、再び、野球選手として再起するというストーリーが繰り広げられます。

三井と藤堂のカムバックを果たすまでのバックグラウンドがとても似通っているように感じてしまったのです。

その他にも清峰葉流火のキャラクター性が流川楓と似ている点やキャラクターを分析する際の語り手が主人公ではない点(山田太郎が『忘却バッテリー』では担っているのに対し、『スラムダンク』では小暮公延が務めている)など、類似点がなかなか多いのです。

そんな『スラムダンク』を敬愛する野球選手と言えば、ご存じ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。先日、集英社のジャンプスポーツ漫画賞の審査員に抜擢されたニュースも話題となりましたが、実はそんな大谷選手と本作の主人公である清峰葉流火には共通点がとても多いのです。

清峰葉流火にはメジャーリーガー大谷翔平との共通点が

血液型がお互いB型である。清峰、大谷選手共に兄がいる。中学時代から体格に恵まれている。

根っからの負けず嫌い。ストイックで努力家。常に野球のことを考え、生活のすべてが野球に直結している…といったように基本情報からすでに共通する部分が多いわけですが、野球のプレースタイルに関しても似通っている部分が多い。

『忘却バッテリー』大谷翔平と清峰葉流火には共通点がある? プレースタイルや“挑戦”を続ける野球道

Blu-ray『忘却バッテリー』第1巻(KADOKAWA)

大谷選手と言えば、投打の二刀流として高校時代から大きな注目を集め、プロ入り後も、不可能と言われた二刀流を見事に継続し、アメリカ・メジャーリーグ(MLB)でも投打で抜群の成績を残し続けています。

一方の清峰葉流火は、大谷選手とは異なり、右投げ右打ちの選手ではあるものの、「俺が投げて、俺が打って、試合に勝利する」という投打の両方で才能に恵まれた選手。劇中でもピッチングで好投後に、ホームランをかっ飛ばすという描写が見て取れました。

加えて、2人とも俊足という非の打ち所のない選手です。

さらに今回のアニメ版における投球フォームに関しては、ほとんど大谷選手を参考にしているのではないかと言っても過言ではありません。ノーワインドアップのオーバースローで、左足を上げてから流れるように軸足に体重を乗せ、力感の無い体重移動、そこからテイクバックを小さく、リリースポイントで一気に出力…MLB挑戦後の右ひじに負担をかけない大谷選手の投球フォームと重なる部分が多いように感じます。

また、ピッチングスタイル(近年ではデザインとも言います)も共通しており、高校時代はストレートとSFF(スプリットフィンガードファストボール)を駆使していましたが、近年は160kmを超える速球と打者の手元で大きく曲がるスライダー(スイーパー)を武器に打者を圧倒している大谷選手。

それに対して、清峰は高校1年生としてはかなり速い140kmの剛速球と打者の手元で鋭く曲がる高速スライダーを武器に打者を抑える組み立て方をしており、ここにもまた大谷選手を彷彿とさせる要素が存在します。

両者ともに“挑戦”を続ける野球道

さらに、本作の大きなテーマとして野球部もなかった弱小校が強豪を相手に立ち向かうというものもあるのですが、大谷選手がこれまで所属してきたチームは常勝軍団というよりも‘‘挑戦者’’という立ち位置のチームが多かったように感じます。

少年野球時代やシニア時代は強いチームに勝つことが快感だったと語っている大谷選手。花巻東高校はれっきとした強豪校ですが、プロ入り後の北海道日本ハムファイターズ、ロサンゼルス・エンゼルスは共に、常に上位争いを繰り広げているチームとは言えません。

現在はロサンゼルス・ドジャースという強豪に移籍しましたが、これまでのキャリアでは強いチームに勝って優勝するからこそ価値があるというマインドの元、‘‘挑戦’’を繰り広げてきたのです。そんな大谷選手と、都立高からの‘‘挑戦’’を目指す清峰葉流火は野球道という点でも似通っていると言えるのかもしれません。

大谷選手をモデルにしているかは定かではありませんが、『忘却バッテリー』とプロ野球パ・リーグのコラボイベントが実施された際には、清峰葉流火がファイターズのユニフォームに身を包んだメインビジュアルが公開されており、そういった意味でも、とてもリンクしているように感じさせるのです。

かつては大谷選手を形容する言葉として「漫画の主人公のような野球選手」と言われてきましたが、これからの時代は「大谷選手のような主人公の漫画」と言われていくのかもしれませんね。

「これから」の野球好きにもオススメ

2023年のWBC世界一以降、野球人気が沸々と盛り上がってきている現在。その人気にさらに拍車をかけるであろうテレビアニメ『忘却バッテリー』は、これから野球好きになろうとしている新規のファンたちにも大変おすすめの作品です。

熱血スポコン系ばかりの野球マンガ界に一石を投じる本作から、一人でも多くの野球ファンが誕生することを切に願っています。

(執筆:zash)

TVアニメ『忘却バッテリー』作品情報

2024年4月9日(火)深夜 24 時よりテレ東系列にて放送開始!

<�放送情報>
テレ東 4 月 9 日から 毎週火曜深夜 24 時 00 分~
テレビ大阪 4 月 9 日から 毎週火曜深夜 24 時 00 分~
テレビ愛知 4 月 9 日から 毎週火曜深夜 24 時 00 分~
テレビせとうち 4 月 9 日から 毎週火曜深夜 24 時 00 分~
テレビ北海道 4 月 9 日から 毎週火曜深夜 24 時 00 分~
TVQ 九州放送 4 月 9 日から 毎週火曜深夜 24 時 00 分~
AT-X 4 月 12 日から 毎週金曜 20 時 00 分~
リピート:毎週火曜 8 時 00 分/毎週木曜 14 時 00 分
※放送日時は予告なく変更になる場合がございます。

<�配信情報>
Prime Video にて毎週火曜 放送直後より最速配信!
さらに、各種配信サービスにて毎週水曜 24:30 より順次配信スタート。
※配信開始日はサービスによって変動する場合がございます。


清峰葉流火...増田俊樹
要 圭...宮野真守
藤堂 葵...阿座上洋平
千早瞬平...島﨑信長
山田太郎...梶 裕貴
土屋和季...山谷祥生
国都英一郎...大塚剛央
巻田広伸...石井マーク
桐島秋斗...河西健吾


原作:みかわ絵子(集英社「少年ジャンプ+」連載)
試合制作:高嶋栄充
監督:中園真登
シリーズ構成:横手美智子
副監督:飯田剛士
キャラクターデザイン:長谷川ひとみ
アクション作画監督:立中順平 / 徳丸昌大
美術監督:船隠雄貴
色彩設計:中野尚美
撮影監督:川下裕樹
3DCG 監督:小川耕平
編集:吉武将人
音楽:菊谷知樹 / 山崎寛子
音響監督:名倉 靖
音響効果:長谷川卓也
制作:MAPPA

オープニング・テーマ:Mrs. GREEN APPLE「ライラック」
エンディング・テーマ:マカロニえんぴつ「忘レナ唄」

公式HP:https://boukyaku-battery.com/
公式X(旧:Twitter):@boukyakubattery
©みかわ絵子/集英社・KADOKAWA・MAPPA