マンガやアニメ、ゲームなどの作品を舞台やミュージカルで再現する2.5次元舞台。いま盛隆を極めているジャンルのひとつですが、その2.5次元舞台を中心に活躍する俳優もまた熱狂的な人気を誇っています。

多くの人気俳優が存在するなかでも、2.5次元舞台が流行する初期から舞台に立ち、今ではカリスマ的人気を誇る俳優のひとりが鈴木拡樹さんです。そこで今回は鈴木さんが支持され続ける理由や“すごさ”の理由を探ります。

鈴木拡樹、鬼気迫る演技で圧倒する俳優。穏やかな性格はまるで“...の画像はこちら >>

鈴木拡樹オフィシャルファンクラブ「拡場」より

甘いマスクだけじゃない。観客を圧倒する高い演技力

長年2.5次元舞台を中心に活躍する鈴木拡樹さん。最近ではミュージカル『SPY×FAMILY』のロイド・フォージャー役が記憶に新しいのではないでしょうか。どこか品を感じる甘いマスクが印象的な鈴木さんですが、見る人を圧倒する高い演技力も人気の理由のひとつでしょう。

「彼なくして2.5次元は語れない」と言われるほどの存在感を持つ鈴木拡樹さんは、長いキャリアの中で数々のキャラクターを演じてきました。

なかには『刀剣乱舞』の三日月宗近や、『どろろ』の百鬼丸など“ヒト”を超えた役も少なくありません。『刀剣乱舞』の三日月宗近は、「天下五剣」の中で最も美しいと評される刀剣。平安貴族のような優雅さをたたえる一方で、第一部隊の隊長として刀剣男士たちを率いる強さも併せ持っています。

舞台では当然、殺陣のシーンが登場しますが鈴木さんは全く重心のブレない見事な殺陣を披露。それだけでなく、まさに「天下五剣」に相応しい優美な立ち居振る舞いで「所作が美しすぎて目が離せなかった」と多くの観客を魅了しました。

盲目の役をどう演じる?舞台『どろろ』での演技に絶賛

手塚治虫氏原作のマンガ『どろろ』の2.5次元舞台でも、驚くほどの演技を見せてくれます。演じる役は、魔神に奪われた身体のパーツを取り戻すために妖怪と戦う「百鬼丸」。目が見えず耳も聞こえず、口もきけないという難しい役どころです。

鈴木さんは目が見えない様を表現するため、舞台上で“瞬き”をせずに演技をするという離れ業をやってのけ、ファンからは「セリフも表情もほぼなしで、ここまで演技できるの凄すぎる」と絶賛の声が。さらに、その設定のまま激しい殺陣もこなしてしまいます。

劇団☆新感線の舞台『髑髏城の七人』Season月≪下弦の月≫で「天魔王」を演じた際は、一見彼だとわからないビジュアルにファンも仰天。舞台メイクのせいだけではない禍々しい表情から感じとることができる、三日月宗近を演じているときの優美さとは真逆の鬼気迫る「ラスボス感」が絶賛されていたことも。

そんな再現力を持つ鈴木さんは舞台『幽☆遊☆白書』にて蔵馬役にも抜擢。アニメ版では緒方恵美さんが声を演じた、物腰柔らかで中性的な雰囲気を持つキャラクターです。そのため男性が演じることを不安視するファンも見られましたが、開幕後はその再現力で魅了。観客からは納得の声が多く聞かれました。

プライベートはまるで仙人との声。「ママ」と呼ぶ友人も

そんな鈴木拡樹さんですが、プライベートではまた異なる一面を持つようです。

役者仲間の崎山つばささんは、鈴木さんのことを「優しいからいたずらしても怒らない」「普段の拡樹くんは仙人みたい」と評します(※1)。さらに鈴木さんが座長を務めた映画版『刀剣乱舞』の撮影現場では、「お菓子を配っていた」「夜の現場でホッカイロを配ってくれた」との証言も(※2)。

自身も出演する中で常に周囲の人を気にかける様子から、心のこもった気遣いを感じることができるのではないでしょうか。

鈴木拡樹、鬼気迫る演技で圧倒する俳優。穏やかな性格はまるで“仙人”との声も

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鈴木さんの“いい人”エピソードはまだまだ尽きません。ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」で鈴木さんと主人公・シーモア役でW主演を務めた三浦宏規さんは、鈴木さんとの共演が決まったときに周囲の役者仲間から「(鈴木さんは)本当に仏だよ」と聞いていたそう。そして実際に会い、取材会での会話で「本当に仏だな、と思いました」と実感を述べています(※3)。

※1)WEBザテレビジョン2017年09月09日掲載『鈴木拡樹、崎山つばさのイタズラ予告に「カワいい」』より
※2)2018年12月27日『映画刀剣乱舞』完成披露上映会より
※3)2019年11月27日 ミュージカル「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」合同取材会より

ほかにも、同じく2.5次元舞台で活躍する俳優である鳥越裕貴さんの2019年7月5日のInstagramには、舞台『文豪ストレイドックス』の楽屋に鈴木さんがサプライズで来てくれたとの投稿が。

「ママが来た。サプライズでビックリした」と鈴木さんを「ママ」と呼び、嬉しそうな鳥越さんの笑顔と共にツーショットが投稿されていました。付けられたタグも「#まま」「#時たま仏様」「#もしくはおじいちゃん」「#感謝」と、かなり慕われていることがわかります。

常に観客へ感謝を忘れない真摯な面

高い演技力が注目される鈴木さんですが、業界関係者からは舞台に対して真摯に向き合う面も高評価。自身が主演を務める舞台では客席の拍手が鳴り止むまで、ずっと舞台袖で頭を下げている姿が印象的だとあるライターは話します。

こういった客やファンへの感謝を忘れない面にも、鈴木さんの信頼できる人柄が伺えます。

舞台上で時には威圧されるほどの圧倒的な存在感を放つ役を数多く演じながら、プライベートでは仙人や仏のような穏やかさを持つ。そのギャップが、多くの人を虜にする鈴木拡樹さんの魅力なのかもしれません。