舞台作品としては2年ぶり2作目となる『KING OF PRISM –Shiny Rose Stars-』が、2020年2月20日より東京・TOKYO DOME CITY HALLにて公演されました。この舞台『キンプリ』では、橋本祥平さん演じる一条シン、横井翔二郎さん演じる太刀花ユキノジョウらエーデルローズの新たなプリズムスタァたちが脚光を浴びました! ゲネプロレポートをお届けします。
脚本・青葉譲「チヤホヤされて書いちゃった」も嘘ではない!?
“応援上映”という文化を広く知らしめたことでも有名な『KING OF PRISM』(通称・キンプリ)。女児向けTVアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』内で結成された男性プリズムスタァユニット・Over The Rainbow(通称・オバレ)のプリズムショーに感化され、成長していく主人公・一条シンを中心とした物語で、劇場版に留まらずTVアニメ化もされた人気シリーズです。
今作の舞台の脚本を手掛けたのは、『キンプリ』シリーズの脚本を一貫して担当している青葉譲さん。
初日会見では「(オバレの3人だけでなく)候補生の7人もずっと僕のことをチヤホヤしてくれていた。それが嬉しくて、今回は7人が活躍するストーリーを書いちゃいました。」と茶目っ気たっぷりに発言。その言葉に違わず、新たなプリズムスタァたちの“煌めき”と“愛”が詰まった作品でした。
その2時間50分(体感は5分)の熱い舞台の様子をじっくりとお届けします。
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今回の舞台『KING OF PRISM –Shiny Rose Stars-』は2部構成。前半はTVアニメのストーリーの前日譚、後半はTVアニメ全12話分のストーリーを凝縮したプリズムショーとなっていました。
ちなみに、TVアニメ全12話では、一条シンをはじめとしたエーデルローズの“候補生”と謳われていた7人のメンバーが一人前のプリズムスタァとして成長していく姿が描かれています。

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己を高めるストリート系で新たな魅力が開花
舞台前半は、速水ヒロ(杉江大志さん)がプリズムキングになった後のオリジナルストーリー。神浜コウジ(小南光司さん)もハリウッドから戻ってきており、ヒロ、仁科カヅキ(大見拓土さん)とともにOver The Rainbowとして相変わらず活躍しています。
冒頭で繰り広げられるオバレの全力のプリズムショーが、観客の心を“嬉し恥ずかし”な『キンプリ』の世界に誘ってくれました。

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ヒロたちの活躍で盛り上がりを見せる男子プリズムショー競界ですが、さらなる発展に向け、ストリートデュオ大会「KIDUNA climax」が開かれることになり、シン(橋本祥平さん)たちプリズムスタァは2人1組で大会に臨むことに。
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エーデルローズのメンバーは7人なので1人余ってしまう……と思いきや、シンはライバルであるシュワルツローズに所属する如月ルヰ(横田龍儀さん)に誘われ、2人で出場することになります。何やら思惑がある様子のルヰ……今作からの出演となった横田さんがルヰの独特の存在感、そして“ヒロイン”感を体現していました。

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シュワルツローズのメンバーや、先輩であるオバレとも組むことが出来ることに気づいたエーデルローズのメンバーたちは、それぞれ組みたい相手がいる様子です。中でも、カヅキに憧れて上京してきた香賀美タイガ(長江崚行さん)は勇んでカヅキを誘いに行きますが、なんとそこには、シュワルツローズのストリート系・大和アレクサンダー(spiさん)と、仲睦まじい(?)様子のカヅキの姿が……!? 傷心のタイガが、誰と組んでどんなプリズムショーを見せるのかは大きな見どころ。

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お客様をときめかせることに重点を置くアカデミー系プリズムショーに比べ、ストリート系は自らを高めることを目標とするエンターテインメント。組んだパートナーとの相乗効果で自らの限界を超えていくプリズムスタァたちの姿は、彼らの新たな魅力を映し出していました。
また『プリティーリズム・レインボーライブ』シリーズから追っているファンにとっては、手に汗握るどころか、目からも汗が止まらない展開も! 原作者が脚本を担当している舞台ならではの魅力が高まります。
変わらぬ名物シーンと、新たなスタァたち
キンプリと言えば“プリズムショー”、そしてもう1つ欠かせないのが“お風呂シーン”。原作アニメでも大事な話をするときは何故かお風呂で、“脱いでいないとシリアスな話が出来ない”説もありますが、今回の舞台でも青葉さんは「1番初めにお風呂シーンは入れてくださいと発注されました」と明かしています。
ギリギリ限界まで脱いでみせるキャスト陣の役者魂たるや、文字通り、身も心もさらけ出してくれるので、お風呂用の新曲と合わせての名物シーンとなっています!

舞台『キンプリ』写真画像 numan 07
また今作から新たに舞台版に登場した2人のキャラクターも見どころ。1人目は元祖ストリートのカリスマ・黒川冷(及川洸さん)! カヅキやアレクサンダー、ストリート系プリズムスタァたちとのやり取りも注目ポイントでしたが、なんといっても氷室聖(栗田学武さん)、法月仁(前内孝文さん)と並んで、伝説のプリズムスタァ3人がそろい踏みとなったことが感慨深いポイント。
黒川冷が体現してみせた“ストリート系”の真骨頂は会場をCOOLに盛り上げました。

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2人目は高田馬場ジョージ(古谷大和さん)の歌声を担当するゴーストシンガー、池袋エィス(小林竜之さん)。ジョージの振付に完璧に合わせて歌ってみせたり、時にはジョージを雑に扱ったり……アニメ版からずっとジョージの歌声を担当している小林さんですが、歌声は勿論、“池袋エィス”としての無邪気な存在感を見せます。
一方で、プライドの高さは勿論、妥協しないプロ意識の高さを見せるジョージの姿もまた魅力的でした。

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ぶっ続けのプリズムショーで煌めきが止まらない
今回の舞台では、お風呂シーンの楽曲と「KIDUNA climax」での楽曲を合わせて新曲が全8曲、舞台全体ではなんと全21曲が披露されているというから驚きです。まるでライブかのような曲数ですが、先述の通り、オリジナルの前半パートでは今までにないキャラクターたちの内面や成長も見られ、それを踏まえた上で、改めて後半のプリズムショーを見ると、胸に迫るものがありました。雅やかなパフォーマンスを見せてくれた太刀花ユキノジョウ(横井翔二郎さん)、アカデミー系のプリズムショーでも魅力を放ったタイガ、沸き立つような熱いショーを見せた十王院カケル(村上喜紀さん)、包み隠さず自分の気持ちを表現した西園寺レオ(星元裕月さん)、姉たちに負けない素敵な仲間たちを得て強くなった涼野ユウ(廣野凌大さん)。
そしてアニメからずっと鷹梁ミナト役として『キンプリ』を牽引している五十嵐雅さんは、ミナトのプリズムショーをほぼほぼ完全再現。文字通り“お腹いっぱい”、観客の心を満腹にしてくれました。

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それぞれが持てる力を出し尽くす中、如月ルヰ、そして一条シンがみせたショーとは……?橋本さんの圧巻のプリズムショーは、スクリーンやTVで見るのとはまた違った、“リアル”な感覚を私たちに味わわせてくれます。まさに鳥肌もので、これこそが2.5次元の魅力! と声を上げたくなるような舞台となっていました。

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まとめ
常に新しいエンターテインメントの形を私たちに示してくれる『キンプリ』シリーズ。2月27日以降の公演開催の自粛が発表されましたが(※1)、キャスト陣とお客様の力が合わさった公演として今後も語り継がれていくことでしょう。
生まれ変わってもまた観たいステージですが、22世紀まで待てないので、また近いうちにプリズムスタァたちと出会えることを祈っています!
(※1)2月26日、新型コロナウイルスの日本国内での感染拡大の影響によって、大規模イベントの中止・延期が政府より要請され、舞台「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」も、公式ページにて自粛が発表されました。
●執筆:通崎千穂(@tsu_otometsu)
公演概要
<舞台「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」>■日 程:2020年2月20日(木)~3月1日(日)
■劇 場:TOKYO DOME CITY HALL(東京都文京区後楽1丁目3−61)
■出演者
橋本祥平(一条シン役)、小南光司(神浜コウジ役)、杉江大志(速水ヒロ役)、大見拓土(仁科カヅキ役)、横井翔二郎(太刀花ユキノジョウ役)、長江崚行(香賀美タイガ役)、村上喜紀(十王院カケル役)、五十嵐雅(鷹梁ミナト役)、星元裕月(西園寺レオ役)、廣野凌大(涼野ユウ役)、spi(大和アレクサンダー役)、古谷大和(高田馬場ジョージ役)、横田龍儀(如月ルヰ役) 、小林竜之(池袋エィス役)、栗田学武(氷室聖役)、前内孝文(法月仁役)、及川洸(黒川冷役)
<アンサンブル>
梅津大輝、佐藤一輝、竹井弘樹、宮越大貴、小林駿太
■スタッフ
脚本:青葉譲 演出:宇治川まさなり 音楽:石塚玲依
原作:T-ARTS/syn Sophia/エイベックス・ピクチャーズ/タツノコプロ
主 催:舞台「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」製作委員会2020
©T-ARTS / syn Sophia / エイベックス・ピクチャーズ / タツノコプロ /「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」製作委員会2020
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