今年で設立10周年を迎えたEVIL LINE RECORDS(以下、ELR)。

ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」(以下、『ヒプノシスマイク』)や「カリスマ」「ももいろクローバーZ」(以下、ももクロ)でその名を耳にしたことがある人は多いと察するが、そのほかのアーティストはどうだろう。

2024年5月4日(日)に東京ガーデンシアターで開催された「EVIL LINE RECORDS 10th Anniversary FES.“EVIL A LIVE” 2024」(以下「ELRフェス2024」)では、声優、バンド、アイドル、ラッパーなどさまざまな領域で活躍する“個性豊かな”12組の所属アーティストが出演。

4時間にもわたるライブでは、「キングレコード、金返せ!」という前代未聞のコールアンドレスポンスが爆誕したり、ロックバンド×アイドル声優という摩訶不思議なコラボレーションが生まれたり……予想だにしなかった、異様な光景が広がった。

さらに、後半ではあの「ヒプカリバトル」も勃発し、先輩VS後輩という熱い展開も!

複数のカオスが混ざり合い、個性が溢れて止まらなかった当日の様子をお届けする。

白スーツ姿のカリスマ達に、開幕早々「凡人」大歓喜!

開演時間の少し前に席に着くと、ステージの両サイドのスクリーンから<♪セクシーに~な~るなら~こういう具合にしやしゃんせ><お尻!乳首!>という、不思議なワードが聞こえてきた。

そう、凡人(超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』ファン)にはお馴染みの「セクシー野球拳」だ。どうやら新アルバムの告知ムービーらしい。

観客席からはクスクスと笑い声が聞こえ、<ヨヨイノヨイ!>という合図で各キャラが決め台詞を放つと、観客からは悲鳴にも似た声が上がる。

初っ端からシュールな光景だ。しばらくそれを眺めていると、あっという間に開演のアナウンスが。『ヒプノシスマイク』で白膠木 簓を演じる岩崎諒太と、イヤホンズ・長久友紀の関西出身コンビが務め、「それでは開演です!」という一言で開幕。

トップバッターは「七人のカリスマ声優」。白いスーツに身を包み、担当カラーのネクタイを締めてビシっと決めた7つの影がステージ上に映し出されると、途端に黄色い歓声が上がる。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレ...の画像はこちら >>

(左から順に)橋詰知久、細田健太、福原かつみ、小野友樹山中真尋、日向朔公、大河元気

二次元キャラクタープロジェクト「超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』」から生まれたこのグループは、小野友樹(伊藤ふみや役)、山中真尋(草薙理解役)、福原かつみ(本橋依央利役)、細田健太(猿川 慧役)、日向朔公(湊 大瀬役)、大河元気(テラ役)、橋詰知久(天堂天彦役)の7人で構成される。

2021年秋に本格始動して今年で3年目を迎えるが、レーベル内ではまだまだ末っ子的な立ち位置だ。そんな彼らが先陣を切るとは、一体誰が予測できたのだろうか。

1曲目の「カリスマピクニック」では、<♪ランララランラ ラーラー!>という歌い出しとともに個性的な振り付けを披露。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

初っ端から繰り広げられる“カリスマ”全開なステージに、凡人も非凡人も一体化して盛り上がる。

自己紹介後のMCでは、小野が「末っ子が一番風呂、いただきました」「トンチキな楽曲と、トンチキな振り付けを楽しんでください。みなさん大丈夫ですか?」とコール。

魅力ある低音ボイスで観客を沸かせると、続いて新曲「カリスマジャンボリー」へ。

つい先月に発売されたアルバムのタイトル曲で、この日がライブ初披露。それにもかかわらず、“トンチキな”パフォーマンスで最後まで観客のボルテージを上げ続けることができたのは、まさにカリスマだからこそなせる技だろう。

曲が終わると、息つく間もなく「以上、俺たちがカリスマでした」とステージを去っていく7人。

一瞬の出来事に「あれは一体……何だったんだ?」と動揺していると、続いて「イヤホンズ」が登場。

2015年放送のアニメ『それが声優!』で結成された高野麻里佳高橋李依、長久友紀の3人からなる声優ユニットだ。

一見お揃いの白いロングワンピースを着ているように見えるが、それぞれの個性に合わせてディティールが異なる。青いステージライトに照らされた3人の姿が、眩しいほどに美しい。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

(左から順に)高橋李依、高野麻里佳、長久友紀

デビューシングル「耳の中へ!!!」をのびやかに歌い上げた後、2曲目には今年4月にリリースされたアルバム『手紙』から「リクエスト」を歌唱。

デビュー9周年の歴史を感じさせるような選曲に、ファンの心をグッと掴んできた。

3組目のアーティストは「月蝕會議」。スクリーンに名前が映し出されてステージを注視していると、舞台袖ではなくステージの奥から登場。

なんと、七人のカリスマ声優とイヤホンズのパフォーマンスをバック演奏で支えていたのだ。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

全員が作詞・作曲・編曲家であり、アーティストでもある前代未聞の音楽クリエイターギルドバンド・月蝕會議は、ヒプノシスマイクをはじめとしたELR所属アーティストの楽曲を多く手がけていることで有名。

七人のカリスマとイヤホンズも例外ではなく、実は開幕前に延々と流れていた「セクシー野球拳」も、彼らが作曲を担当している。

人気ゲームの主題歌でもある「Over my DEAD copy」と「Caligula syndrome」を、エモーショナルな歌声と迫力ある演奏で披露すると、会場からは大きな歓声が上がった。

「もう一曲良いですか?」という言葉を合図に登場したのは、七人のカリスマ声優とシンガーソングライターの小林 私。白スーツのカリスマ達の再登場に、またもや会場は興奮の渦に巻き込まれる。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

七人のカリスマ声優 × 月蝕會議 × 小林 私の3組が披露したのは、コラボ曲「14人のオトナ」。

ステージが始まると、童謡「こいのぼり」をオマージュしたメロディーに懐かしさを覚える一方で、<大志を抱けオトナたち 向かい風に乗り羽ばたいて>という力強い歌詞に心を揺さぶられる。

偶然か必然か、ライブが行われたのはこどもの日の前日。幼少期の記憶とオトナになった今の自分の感情がクロスするステージだった。

「実は僕、ヒプマイです」予想外なMCで起こる爆笑の渦

続く小林 私のソロステージでは、「信じてもらえないかもしれないですけど、僕、実はヒプマイなんです。ヒプマイをギュッとすると僕なんです……嘘です」という自己紹介で早々に笑いを誘うと、「加速」「花も咲かない束の間に」の2曲を歌唱。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

アコースティックギターとマイク、そして声のわずか3つだけで観客の心を鷲掴みにする姿は、まさに「ヒプマイをギュッとした」魅力があると言っても、嘘ではないかもしれない。

ジョーク満載なMCとは一転、歌への情熱をひしひしと感じるステージに彼の二面性が光る。

続いて2022年デビューのダンス&ボーカルグループ「ODDLORE」、ヒップホップバンド、「SANABAGUN.」のフロントマンとしても活動する高岩遼がそれぞれパフォーマンスを披露。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

ODDLORE

力強い楽曲に心を揺さぶられていると、畳み掛けるかのように「Bimi」のステージへ。

赤を基調とした着物風の羽織にジャージパンツを合わせた個性的なスタイルで登場したBimiは、ロックサウンドと高速ラップが見事な「怒鈍器」を披露。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

首を45度に傾け、静かに目を瞑ったと思ったらぐるりと瞳を一周させて不敵に笑うその姿は、まさに“憑依型”アーティストそのもの。

彼が放つ圧倒的なエネルギーに誰もが圧倒されていると、「あの、嘘みたいな話なんですけど……」と、つい先ほどと似たような出だしでMCがスタート。

会場が束の間の静寂に包まれると、「俺、ヒプマイでした」という本日2度目の“ヒプマイネタ”に、ドッと笑いが起こった。

“Bimiワールド”全開のMCはまだまだ終わらない。

続いて、直近パチスロで20万円ほどの損失を出してしまったことを明かし「その台作ってんの、後で調べたらキングレコードだったんスよ。俺、キングレコードから金もらって、キングレコードにまた金あげてたんスよ!」と熱のある声で叫ぶ。

再び会場に笑いが起きると、「みんなにお願いしたいことがあって。俺が『キングレコード』って言ったら、『金返せ!』って言ってもらっていいスか?」と前代未聞のコーレスを要求するBimi。

8000人ほどを収容できる東京ガーデンシアターには、多くのキングレコード関係者も観覧していただろう。

そんなこともお構いなしだという彼の鋼メンタルっぷりに感心していると、「金返せー!」という声が3回鳴り響く。こんなコーレスは、どんなに過去を遡ってもこの日が最初で最後だろう。彼が醸し出す個性的な世界観に、圧倒される。

続く「輪 -味変-」で赤い羽織を脱ぎ捨てると、会場からは悲鳴にも似た黄色い声が。上半身裸にさらしを巻いたヤンキースタイルは、破天荒な彼だからこそ映える唯一無二の衣装だ。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

「以上、イヤホンズでした」とのジョーク混じりの挨拶でステージを終えると、サイプレス上野とロベルト吉野、ODDLOREのメンバー・KOYAとJOSHがステージに上がる。

3組のコラボ曲「Chimera」を鮮やかなラップで披露すると、MC中でのユーモラスな雰囲気から一変、会場が緊張感に包まれた。

「ELRは、キツめな人ばかり集まっているレーベルです」

続いて登場したのは、ELR立ち上げ当初から所属しているドレスコーズ。音楽活動だけでなく俳優として『溺れるナイフ』に出演するなど、マルチに活動している志磨遼平の“ソロプロジェクト”だ。

1曲目の「ビューティフル」ではしっとりとした歌い出しから一転、ロックなサウンドが印象的。

続けて「キラー・タンゴ」「愛に気をつけてね」を披露すると、ステージの端から端までを全速力で駆け抜け、「ペンライトは人気のバロメーターだと聞いております。もっと振っておくれ~!」と煽る。

ライブハウスでの活動が主な彼にとって“ペンライトの海は珍しい光景だったようだ。期待に応えようとした観客が、力いっぱいそれを振り回すと「ありがとう~!」とわずかに笑顔を見せる。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

わずか10分弱のステージで、さまざまな表情を見せたドレスコーズ。『ヒプノシスマイク』などにも楽曲提供を行っていることから、その名を知る人は多いが、生パフォーマンスを見たことがある人は多くなかったのだろう。

楽曲のイメージとは正反対の、キュートな一面に観客からは「かわいい……」「何この人、すごい……」という感嘆の声が聞こえてきた。

まるでそれを察したかのように、MCで「ELRは、あらゆるジャンルから“キツめ”な人ばかり集めているレーベルなんです」とつぶやくドレスコーズ。

確かに、これまでパフォーマンスを披露してきたアーティストは皆個性がギラギラと光っている。あまりにも的確な表現に、会場からはドッと笑いが湧き上がった。

前半8組のステージが終了し、いよいよ後半戦へ。「ELRフェス2024」はまだまだ終わらない。

サイプレス上野とロベルト吉野がステージに登場すると、華麗なるスクラッチと力強いラップで会場を盛り上げる。

「もっと騒いでいいんだぜ!」という言葉で観客を煽ると、開幕から2時間ほどが経過したとは思えないほどの盛り上がりを見せる。

その興奮を残したまま、大槻ケンヂを中心に結成した「特撮」のステージへ。スピーカーが割れそうなほど迫力ある演奏とともに、御年58歳とは思えないほどの大槻のシャウトが鳴り響く。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

アニメ『さよなら絶望先生』の主題歌としても有名な「人として軸がぶれている」含む3曲を披露すると、会場のボルテージは最高潮に。

15年以上前、当時『絶望先生』をリアルタイム観ていた人でもそうでない人でも、この曲を初めて聴いたという人も。<ブレブレブレブレ>という個性的なフレーズを口ずさむ声が、あちこちで聞こえてきた。

ベテラン集団・特撮が繰り広げる圧巻のパフォーマンスに心を奪われていると、ステージ袖からドレスコーズとイヤホンズが登場。

楽曲のテイストが全く異なる3組による、異例のコラボ曲「雲雀の舌のゼリー寄せ」を披露した。

心臓の奥深くまで響くドラム音に、ドレスコーズの個性的な歌声。そして時折、イヤホンズによるキュートな合いの手が入る。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

「一体どうしてこの3組が?」とツッコミたくなるような不思議な組み合わせだが、これこそがELRの強みの一つ。

さまざまなジャンルのアーティストが所属しているからこそ実現できた、異例のコラボに胸を打たれた。

「ヒプカリバトル」勃発で、大興奮会場のボルテージはMAXに!

残るアーティストは2組。ももクロと『ヒプマイ』だ。

客席をぐるりと見渡すと、“彼ら”の登場を予期したのか、カラフルな指輪型のライトを急いで指に装着する人の姿が目に入る。

登場の瞬間を今か今かと待ち望んでいると、6ディビジョンのリーダー達の姿が映る。ついに『ヒプマイ』のステージが始まった。

木村昴(山田一郎役)をセンターに、浅沼晋太郎(碧棺左馬刻役)、白井悠介(飴村乱数役)、速水奨(神宮寺寂雷役)、岩崎諒太(白膠木 簓役)、そして葉山翔太(波羅夷空却役)が一列に並ぶ。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

(左から順に)速水奨、白井悠介、葉山翔太、木村昴、浅沼晋太郎、岩崎諒太

上下を赤い衣装で決めた木村に、担当キャラの髪色と同じメッシュスタイルがおしゃれな白井と葉山。速水は“天才医師”らしい白衣のようなコートを羽織り、岩崎は“天才漫才師”とよく似たジャケットを着用している。

1曲目「UNITED EMCEEZ -Enter the HEXAGON-」のイントロが流れると、観客からはさらに歓声が上がり、会場全体が6色のペンライトで灯される。

一部のファンからは「訓示」とも評される低音ラップの速水に、ぴょんぴょんと飛び跳ねて愛嬌を振りまく“リアル乱数”な白井。

ステージのあちこちで“ヒプマイらしさ”が炸裂する中、あっという間に曲が終了。6人が各ディビジョンのハンドサインを決めると、木村をトップバッターに自己紹介がスタート。

白井が「Fling posseの飴村らむ“む”役※×◻︎~~です!」と勢い余ると、すかさず木村が「皆さん、名前と顔だけでも覚えて帰ってくださいね」と、からかいながらフォローする和やかな一幕も。ディビジョンを超え、一つのチームとして支え合うリーダー6人の姿に尊さにも似た感情が溢れる。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

木村の合図とともに始まったのは、「ヒプノシスマイクスペシャルメドレー」。「CROSS A LINE」「Hoodstar +」などの人気曲を続けて披露し、「まだまだいくぜー!」という木村の煽りに観客が必死で応える。

そう、『ヒプマイ』が魅せるステージはまだまだこれからだ。

スクリーンに「VS」の文字が浮かび、登場したのはなんと七人のカリスマ声優。

4月のライブでも予告されており、YouTubeで限定公開されたMV動画も大きな反響があった「ヒプマイvsカリスマ Battle Anthem -EVIL A LIVE 2024-」。それが目の前で繰り広げられている光景に、これ以上ないほどの歓声が沸き起こった。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

木村が「俺たちが本物のラップってもんを教えてやるよ!」と威勢よくバトルを仕掛けると、小野が不適な笑みを浮かべながら「なあお前ら、存分に暴れてやろうぜ」と答えてカリスマの攻撃がスタート。

“ELRの末っ子”が披露する見事なラップに、すかさず反撃する先輩・ヒプマイメンバー。お互いに一歩も譲らない、熱いバトルが繰り広げられる。

ヤクザと「反発のカリスマ」を中心に、バチバチと睨みを利かせる両者。

その圧力に少しだけ緊張を覚えていると、ステージ上をスキップで駆け回り、相手にイタズラを仕掛ける白井の姿が目に入った。またまた乱数らしい行動に、会場の“オネーさん達”はハートを射抜かれたに違いない。

バトルが終わり、「やるじゃん、カリスマ」と木村の一言に「ヒプノシスマイク……、美味いスイーツだったぜ」と答える小野。

自身が演じるキャラクター・伊藤ふみやが甘党なことになぞらえての発言だったが、「あの激しいラップバトルが、美味しいスイーツ……?」と頭に「?」マークが浮かんだ人も多かっただろう。

最初から最後までトンチキな魅力が光るカリスマに、“ELRの遺伝子”を受け継いでいると感じた。

速水の「さあ帰りましょう」という合図とともに一同が退散すると、割れんばかりの拍手が起きる。「ヒプカリ」の更なるバトルを期待させるような、熱いステージだった。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

合言葉は「C」「Z」! 4時間超の熱狂ライブが終幕

ELRフェス2024でトリを飾ったのは、もちろんももいろクローバーZ。

スクリーンに映し出される女神のような4人の姿が、壮絶なラップバトルを目の前にしてエネルギーを消耗した観客に癒しを与えてくれる。

ELR所属後初の楽曲である「ピンキージョーンズ」を披露すると、先ほどからの黄色い歓声から一変、男性を中心とした「モノノフ」(ももクロのファンの総称)の雄叫びが上がる。

そんな彼らを気に掛けて「『(観客が女性ばかりで)ちょっとアウェーかも』って噂聞いたんだけど、大丈夫?」と百田夏菜子。「お馴染みの方も初めましての方も、(同じレーベルのアーティストを応援しているということは)家族みたいなものですから!」と玉井詩織もフォローを入れると、会場が和やかな雰囲気に包まれた。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

(左から順に)佐々木彩夏、百田夏菜子、玉井詩織、高城れに

続いて「Heroes」「走れ! -ZZ ver.-」の2曲を披露。鮮やかでパワーを感じる4人の歌声は、長時間にわたってペンライトを振り、叫び声をあげてきた観客にさらなるエネルギーを与えてくれた。

最後の1曲「黒い週末」を歌い上げると、「ヒプマイさ~ん!」という合図とともに、ヒプマイメンバー6人が再びステージ上へ。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

コラボ曲である「Cross Dimension」をライブ初披露し、力強いラップにももクロの軽やかなボーカルが見事にマッチし、会場を感動を与えた。

曲が終わると、4時間強にもわたって開催されたライブがまもなく閉幕の時を迎える。

最後は、『ヒプマイ』のライブ恒例の「ラップって楽し『C』」、ももクロの「ももいろクローバー『Z』」というお互いのハンドサインで締めくくることに。

ステージ上の10人は、観客とともに「C!Z!」と右手を力強く伸ばすと、「ありがとう!」「ばいばーい!」という別れの挨拶を口にしてステージから去っていった。

ヒプマイ×カリスマ、Bimi他「クセの強いヤツらが集まったレーベル」EVIL LINE RECORDS10周年ライブは“個性山盛り”な4時間だった【EVIL A LIVE 2024レポート】

発足から10周年。ヒプマイやカリスマなどの人気タイトルを連続で生み出し、ますます勢いを増すELR。

ドレスコーズがMC中に「クセが強いアーティストを集めたレーベル」と発言していたが、まさにそれが最大の魅力で、他にはない武器と言えるだろう。

11年目以降も、ELRなら群雄割拠な音楽業界を逞しく生きていくに違いない。

文:柴田捺美、写真:江藤はんな(SHERPA+)、大庭 元

“EVIL A LIVE” 2024公演概要

公演名:EVIL LINE RECORDS 10th Anniversary FES.“EVIL A LIVE” 2024
開催日時:2024年5月4日(土)OPEN 16:00 / START 17:00
場所:東京ガーデンシアター
〒135-0063 東京都江東区有明2−1−6

■セットリスト
<七人のカリスマ声優>
M1. カリスマピクニック
M2. カリスマジャンボリー

<イヤホンズ>
M1. 耳の中へ!!!
M2. リクエスト

<月蝕會議>
M1.Over my DEAD copy
M2. Caligula syndrome

<七人のカリスマ声優×月蝕會議×小林私>
M1. 14人のオトナ

<小林私>
M1. 加速
M2. 花も咲かない束の間に

<ODDLORE>
M1. STRUGGLE
M2. Coming Dawn

<高岩遼>
M1. I’m Prince
M2. MIX JUICE feat. Nagan Server
M3. スターダスト

<Bimi>
M1. 怒鈍器
M2. 輪 -味変-

<Bimi × ODDLORE × サイプレス上野とロベルト吉野>
M1. Chimera

<ドレスコーズ>
M1. ビューティフル
M2. キラー・タンゴ
M3. 愛に気をつけてね

<サイプレス上野とロベルト吉野>
M1. Intro
M2. ぶっかます
M3. RAW LIFE feat. 鎮座DOPENESS
M4. おもしろおかしく

<特撮>
M1. オーバーザレインボー~僕らは日常を取り戻す
M2. 人として軸がぶれている
M3. 綿いっぱいの愛を!

<特撮×ドレスコーズ×イヤホンズ>
雲雀の舌のゼリー寄せ

<Division Leaders fromヒプノシスマイク -Division Rap Battle->
M1. UNITED EMCEEZ -Enter the HEXAGON-
M2. ヒプノシスマイク SPメドレー

<Division Leaders VS 七人のカリスマ声優>
M1. ヒプマイvsカリスマ Battle Anthem -EVIL A LIVE 2024-

<ももいろクローバーZ>
SE: overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
M1. ピンキージョーンズ
M2. Heroes
M3. 走れ! -ZZ ver.-
M4. 黒い週末

<ももいろクローバーZ × Division Leaders>
M1.Cross Dimension

出演者:
イヤホンズ、ODDLORE、月蝕會議、小林私、サイプレス上野とロベルト吉野、七人のカリスマ声優、高岩遼、Division Leaders from ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-、特撮、ドレスコーズ、Bimi、ももいろクローバーZ(五十音順)

主催・企画・制作:KING RECORDS / EVIL LINE RECORDS
後援:TOKYO FM

■「“EVIL A LIVE” 2024」特設サイト
https://evilline.com/evilalive2024/

■「EVIL LINE RECORDS」公式X
https://twitter.com/EVILLINERECORDS