オキニのメンテナンス塾●好きだけど洗い方がわからない。そんな服や靴、ありますよね? 洗濯の専門家にメンテナンスのハウツーを伝授いただこう。
冬にヘビロテしまくった「ダウン」や「中綿」アウター。シーズンを通しての大活躍と引き換えに、ちょっとヘタレてきたな……と感じる人も多いはず。ここはひとつ、衣替えをする前にキレイしておきたい。「クリーニングに出す」というのもひとつの手だが、本当の正解は「コインランドリーでクオリティ高く仕上げる」らしい。ふむ、手間もコストも節約できるなら最高。
そんなわけで向かったのは、「バルコ ランドリー プレイス 代々木上原」。ここでは、洗濯物を洗う前に問診し、最適な洗い上がりになるようアドバイスしてくれる専門家がいるとか。さっそく見てもらおう。
まずは問診スタート
竹下みづきさん●「バルコ ランドリー プレイス 代々木上原」のストアマネージャー。持ち込まれた衣類の状態に応じて、最適な洗濯プランをアドバイスしてくれる。
「ワンシーズン着たダウンや中綿のアウターは、知らない間に溜まった油分や水分のせいでクタッとしています。それらをしっかり落とすことで、本来のふっくらとした質感を復元することができるんです」と、ストアマネージャーの竹下さん。この日持ち込んだのはコレ。
ヴィンテージ界でも人気のミリタリーアウターをベースにした一着。中綿は「プリマロフト」で、表地は2種のナイロンが使われている。これまでは毎シーズン、衣替えの際にはクリーニングに出し、一応メンテナンスは行ってきたつもりだが、ボリューム感はすっかりなくなり、表地のシワも目立つ。かなりお疲れの様子だ。
中綿がヘタレているのが一目瞭然。
これをどうするのか? 「ランドリーマシンに入れる前に、やっておくべきことがいくつかあります」と竹下さん。
事前に毛玉を取り除くべし
例えば、脇の下や肩まわり。つまり、着用時に否応なく擦れが生じてしまう箇所だ。生地が薄くなるほどダメージを受けている部分はさらに劣化するリスクがある。
「素材によりますが、毛玉ができていたら事前に取っておくのがいいでしょう。これは一般的な食器用スポンジなどの裏側(固い方)を使って、優しく擦れば簡単に取れるんです」。
よくよくチェックすると、冬の間は気にも留めなかったダメージがあちこちに。
持ち込んだアイテムの場合、バッグを背負っていた肩部分にも毛玉が。
ここもしっかり除去しておく。
ジップや面ファスナーは全部止めておく
洗濯では、生地の擦れは多少なりとも起こり得るし、汚れを落とすためにマシンによる振動も加わる。ジップや面ファスナーといった便利なギミックも、ランドリーマシンの中で擦れれば生地を傷つけかねない。諸刃の剣となる可能性があるのだ。
「面ファスナーの特に硬い方はダメージを与えるリスクがあるので、しっかり止めておきましょう。インナーフードは基本、出して洗うのが望ましいのですが、ジップや面ファスナーなど、収納の仕様によってはしまって洗うほうが良いと思います」。
今回の場合、インナーフードを取り出すことで面ファスナーが生地を擦ってしまうリスクがあるので収納したまま洗濯へ。また、洗濯による表地の劣化を防ぐには生地を裏返して洗うのが有効だが、裏地にメッシュのようなデリケートな素材が使われていたら要注意だ。ランドリーマシンの中で擦れて傷つくことがあるので、裏返さずに洗うほうがリスクが少なくて済む。
ちなみに、機能性アウターによく見られるドローコードは、リセットして生地をフラットにしておくと汚れが落ちやすい。--{}--
いざ、ランドリーマシンへ!
今回は中綿アウターに適しているという「低温乾燥コース」(1100円)を選択。一定温度まで上がりきったらガス乾燥が止まり、温度が下がったら再び一定温度まで上昇するという温度の自動管理で、乾燥によるダメージを防げる。いよいよランドリーマシンへ。と思ったら竹下さん、何やら中綿アウターをキレイに畳んで入れている。
「羽毛と違い、中綿は洗濯することで綿がよってしまいます。畳むことで、それを防ぐことができるんです」。
柔軟剤を入れると生地が傷む可能性があるので、今回は「柔軟剤なし」を選択。
では、スイッチオン。
そして待つことおよそ70分……。洗い上がりはこんな感じ。
うおぉ! 見るからにふんわり、しかもカラッとした仕上がりに! 畳んだ状態を見比べてみるとこうだ。
ボリューム感が洗濯前とはだいぶ違う。襟まわりをはじめ、細部の汚れもしっかり落ちているのがわかる。
今回は100%ポリエステル素材の中綿アウターだったが、基本的にダウンでも手順は同じ。ただし中に封入されている素材によっては、洗濯の方法を変える必要もあるとか。ちなみに、キャンプに必須のこんなものも洗えるらしい。
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【番外編】春キャンプに備えてシュラフも洗濯を!
キャンプのあとにササっと外干しするだけで、正直洗ったことは一度もない。シュラフに関してはそんな人、少なくないのでは?
土や埃で結構汚れているし、寝ている間にかく汗の水分のせいでボリューム感もなくなっている。
面ファスナーに絡まった糸クズは安全ピンで取り除いておく。
「もちろんシュラフも洗えます! 基本的にはアウターと同様、生地を傷めないように細部をチェックして洗いましょう。ただし、こうした大判のものは乾きにくいので、カビないよう確実に乾燥させることがポイントです。このシュラフは70分の洗濯・乾燥のあと、低温で20分追加乾燥させるのが良いと思います」。ということで、こちらは待つこと90分。すると……
「低温乾燥コース」(1100円)+追加乾燥(200円)で仕上がったのがこちら。
洗濯前のクタっとした感じはすっかりなくなり、めちゃめちゃキレイでしょ?
何よりこのふっくら感、寝心地が良さそうだ。コイツはキャンプで使うのが楽しみだなぁ。
「ダウンや中綿アウターなら、最低ワンシーズンに1回洗濯するのがおすすめです。一度このふっくら感を体感してしまうと、もう月イチで洗濯しないと満足できない、という方も多いんですよ。
清潔に保つことで、お気に入りの一着をより長く着ていただけると思います」。ということで冬服の衣替え前に、コインランドリーでお手軽メンテナンスしておいてはいかが?
[店舗情報]バルコ ランドリー プレイス 代々木上原住所:東京都渋谷区上原3-29-2電話番号:03-6407-8415営業:【クリーニング・洗濯代行】9:00~20:00【カフェ】9:00~21:00※感染拡大防止のため当面の間、20:00まで営業定休日なし、年末年始・夏季休業あり