連載「偏愛さんいらっしゃい!」とは……

「スキット」本店のある吉祥寺には、ファッション業界人が足繁く通う隠れた名店がいくつかある。セレクトショップ「ジ・アパートメント(the Apartment)」もそのひとつ。


今回鎌本さんが選んだのは、ジ・アパートメントが手掛けた二足の「ニューバランス」だ。

▶︎吉祥寺生まれのニューバランスを動画で見る

話を聞いたのは……
「スキット」オーナー・鎌本勝茂さん

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち

鎌本勝茂●現在は吉祥寺、大阪、仙台、福岡に店を構える「スキット」の大黒柱。18歳でスニーカー業界に足を踏み入れ、販売やバイイングを経験。そのキャリアは20年以上にも及ぶ。オリジンへの愛着はひとしおで、さらには眠れる名品を掘り当てる嗅覚と目利きにも秀でる。


コラボで注目度急上昇の「801」

ジ・アパートメントは、2009年にザ・ノース・フェイスの世界的なヴィンテージコレクターとしても知られる大橋高歩さんが吉祥寺にオープンさせたセレクトショップ。

コラボスニーカーはそれほど多くないものの、「そのひとつひとつが秀逸なんです」と鎌本さんはいう。中でも特に鎌本さんの食指を動かした一足が、2020年に発売となったこちら。

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち

1998年にリリースされ、その後2014年、2018年とアメリカで復刻されたものの日本では未発売だった「801」がベース。コンセプトは“履くヴィンテージギア”で、頻繁に天候が変化する熱帯雨林の森でたくましく生きる鳥をイメージしている。


こちらはアッパー全面にゴアテックスを採用したアウトドア仕立て。

ベースは、1998年にオールテレインモデル(あらゆる地形を想定したモデル)として登場したトレイルランニングシューズの「801」である。

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち



実は鎌本さん、ジ・アパートメントがオープンする以前からオーナーとは面識があったという。


「当時はお客さんとしてスキットにも来てくれていたみたいですね。面と向かってお話をしたのは知人を通じてお会いしたときで、まだ大橋さんがお店をやる前でした。高円寺か吉祥寺あたりでお店をやりたいと話されていましたね」。

同じ吉祥寺からスタートしたショップが、グローバルブランドのニューバランスとコラボするまでになったのを見ると感慨深いという。

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち



そして、ジ・アパートメントがニューバランスとのコラボで801というモデルを選んだのにも理由がある。

「これは大橋さんにとっては大事なモデルで、以前から彼は801をよく履いていたらしいんですよ。ほかのニューバランスに比べるとワゴンで売られているような、そこまで認知度の高いモデルではないんですよ。当時から『よくまぁこれを選んだな』とは思っていました」。

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち



「自分が好きで履いていたものを、『どうでしょう!』と提案して世界中に知らしめた結果、即ソールドアウト。もとの801自体も売れだしていると聞きます。これは本当に凄いこと。801を見つけたら今のうちに買っておいたほうがいいかもしれませんね」。


鎌本さんがジ・アパートメントのコラボに惹かれる理由は、骨太なバックボーンにある。

「彼らは自分が持っているカルチャー的なバックボーンを乗せて表現しています。801のチョイスは衝撃でしたね。ずっと日陰にいたモデルへとスポットライトが当たる様子を目にすることができました。これぞコラボの真骨頂とも言えるかもしません」。
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定番だけど、遊び心満載な「574」

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち

昨夏にリリースされた「マスタードディップ」は、マスタードにそのままシューズをディップしたような遊び心溢れる配色が特徴。トゥにはジ・アパートメントのモットーである“WE ARE DIFFERENT”の文字をエンボス加工で入れ、シューレースを緩めても履けるようタンに厚みをもたせながらゴムベルトも加えている。


続いては一風変わったこちら。鎌本さんがまず驚いたのは、グレーというベースカラーだとか。

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち



「こちらは昨年出たばかりなんですけど、びっくりしましたね。ニューバランスにとってグレーって大事な色ですから、それを使えるということは認められている証拠。しかも、ジ・アパートメントのアイコンカラーである黄色を大胆に載せてくるとは、さすがだなと思いました」。

ベースとなっているのはニューバランスでのなかでも人気の「574」。


もともとはトレイルランニングのための靴として開発され、クッション性の高いミッドソールや悪路をものともしないグリップ力がウリのアウトソールが魅力だ。

手が届きやすい価格帯ということもあり、幅広い層に支持される定番モデルである。

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち



「アパレルショップのコラボは、ベースモデルのチョイスから色使いに至るまでスニーカーショップがやるのとはちょっと違う。こちらは日本限定発売なので、今後、価値が高まる素養は大いにあると思います。

「ジ・アパートメントが他のスニーカーブランドとコラボするのも見てみたいですね」と鎌本さん。

今後どんな名作が生まれるのか、期待して待ちたいところだ。


ニューバランス二足を動画でもチェック



今回訪れたのは……
「スニーカーショップ スキット東京・吉祥寺店」

なんだこのニューバランスは!? スニーカーマニアが絶賛する“吉祥寺生まれ”の銘品たち

色褪せない大定番から名作、さらには珍品まで多彩なスニーカーが揃う。中には国内未発表の貴重なモデルも。また、買い取りも随時行っている。


住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-18−1 D-ASSET吉祥寺 1F
電話番号:0422-47-6671
営業:11:00~19:00
Instagram:sneaker_skit
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