ランドクルーザーは60系、80系、100系、200系
・「これぞランクル」スタイルの60系
ランドクルーザー60系。写真の後期型は角目4灯。前期型は丸目2灯だ。
北米をはじめ海外では、高機能な4WD車で長距離を走ることが多く、荷物をたくさん載せられて乗り心地もいいステーションワゴンタイプのニーズが高かった。そこでヘビーデューティ系の40系から派生して生まれたのが50系で、その後継車が1980年に登場した60系だ。

ランドクルーザー80系。
60系の後継が1989年登場の80系で、日本でもステーションワゴン仕様(≒ガソリンエンジンの8人乗り)が設定されるようになった。 「ランクル好きの間でも名車として名高いのが80系です。
ランクル80にはオーバーフェンダーなしのボディバリエーションも存在する。
「ステーションワゴン仕様は当初4Lガソリンエンジンです。バン(≒ディーゼルエンジンの5人乗り)には4.2Lディーゼルターボもありました。またサスペンションのスプリングがリーフからコイルに変わり、乗り心地が大きく改善されています」。 1992年にはガソリンエンジンが新開発の4.5Lエンジンに変更された。 ・高級路線へ向かった100系
ランドクルーザー100系。
1998年に登場した100系はステーションワゴンが4.7L V8ガソリンエンジン、バンが4.2L直6ディーゼルターボを採用。「フロントサスペンションがついにリジット式から独立懸架方式サスペンションになり、乗り心地が向上しました。快適度は80系がクラウンクラスだとすれば、100系はセルシオクラスです」。
こちらがシグナスモデル。
全グレード2WD/4WDの切り替えが不要なフルタイム4WDとなったことや、車高調整が可能なアクティブサスペンションの設定が加わったこと、現在ならレクサスモデルに位置づけられるような高級車モデル・シグナスも追加されたのも、高級車志向の強まった100系を現していると言える。・現代的ハイテクを纏った200系
ランドクルーザー200系。
100系の後継が2007年に登場したのが200系だ。「極低速を自動で維持する世界初のクロールコントロールなど悪路走破性が高められるとともに、ラグジュアリー性も磨きがかけられました。ジャケパンスタイルでも似合うランクルです」。国内販売では全グレードガソリンエンジンのみで、搭載されたV8エンジンは当初4.7Lからマイナーチェンジにより4.6Lに。後期モデルには衝突被害軽減ブレーキを含むトヨタ・セーフティ・センスPが標準装備された。 ・現在4年待ち!?の現行型300系
ランドクルーザー300系。
2021年8月に登場した現行型である300系。「エンジンは3.5Lガソリンツインターボと、3.3Lディーゼルツインターボが用意されています」。足回りは形式こそ200系を踏襲するものの大幅にリファインされ、上級グレードのGRスポーツには電子制御式スタビライザー(E-KDSS)が採用されるなど、悪路走破性と乗り心地の向上が図られている。ランドクルーザー・プラドは70系、90系、120系、150系
・プラドの“紀元前”的70系(ランドクルーザー・ワゴン)
ランドクルーザー・ワゴン70系(1985年)。
1985年、バン(商用車)の70系から派生した乗用車仕様が「ランドクルーザー・ワゴン」。これがランドクルーザー・プラドの祖となる。「70シリーズ初となるワゴン仕様は3ドアのショートボディでした。エンジンは2.4Lディーゼルターボ。もととなる商用の70系や60系とは異なり、乗用車仕様としてサスペンションは前後リジットとしながらもリーフスプリングではなく、乗り心地の良いコイルスプリングが採用されました」。 ・初めてのプラド70系(ランドクルーザー・プラド)
ランドクルーザー・プラド70系(1990年)。
さらに1985年には3ドアのみだったランドクルーザー・ワゴンに5ドアモデルが追加され、同時にサブネームの「プラド」が付けられた。「ショートの選択肢もあり、伝統のラダーフレーム。クロカン4WDとしての性能はそのままに乗用車としてのパッケージされたランクルです」。
ランドクルーザー・プラド90系5ドア。3ドアは丸目2灯となる。
1996年に登場した90系から乗用車志向が鮮明に。3ドアと5ドアではフロント周りのデザインが異なる。「デビュー時の搭載エンジンは3.4Lガソリンと3Lディーゼルターボ。80系や100系と比べて排気量が小さいですが、ボディも小さいので扱いやすい一台です」。1997年に2.7Lガソリンが追加された。「シャシーが当時のハイラックスサーフと共有化されたため、フロントが独立懸架式、リアがリジット式になりました」。また従来のパートタイム4WDではなく、フルタイム4WDとなっている。 ・21世紀最初のランクル120系
ランドクルーザー・プラド120系。
2002年に120系へとモデルチェンジ。
ランドクルーザー・プラド150系。
2009年に登場した150系から、国内では5ドアモデルのみの販売となった。「デビュー時の搭載エンジンは4Lと2.7Lのガソリンエンジン。極低速を自動で維持するクロールコントロールや、首位の路面状況を確認できるマルチテレインモニターなどが用意されました」。「後期モデルは迫力のあるフロントマスクに変わり、人気がかなり高まっています」。2015年には2.8Lディーゼルターボが追加され、2017年に衝突被害軽減ブレーキを含むトヨタ・セーフティ・センスPが標準装備された。海外で生き続ける70系のバン(商用車)
2014年に再販された70系。
60系などのランドクルーザーと、90系などのランドクルーザー・プラドとは別に、ランドクルーザーの祖であるBJ型の正統後継車の「ヘビーデューティ」系もある。1984年に登場した70系バン(商用車)がそれだ。プラド70系はこの70系バンの乗用車仕様で、そこからプラドへと独自進化していったというわけだ。「さまざまなバリエーションのある仕様はとても語り切れませんが、あくまでも“ギア(道具)”に徹しており、いずれもシンプルなパッケージで余計な装備は設定されていないのが特徴です」。日本では2004年に販売が終了しているが、今でも海外では70系バンは販売されている。「この“復刻版”は、AT(オートマ)が設定されていなかったにも関わらず、想定以上の販売台数だったようで高値で取引されています」。◇このように、ランクルにはひと口では語りきれない多くのバリエーションが存在する、スタイルやスペック、装備、乗り心地など、ランクルの中でも自分は何が欲しいのか? を冷静に見定めることがまずは重要なのだ。次回はそれぞれの系統ごとの現在の市場動向を深掘りする。 [取材協力]フレックス・ドリームwww.flexdream.jp