▶︎この記事の画像ギャラリーを見る今見ると新鮮で、故障の不安も少なく、ちょっと時間が経った分“いい味”が出ている。そんな2000年代(’00年~’10年式)の車の魅力は、メルセデス・ベンツであっても同様。
現行車と比べると「ちょっと変化球?」と思える車たちが、経年によってさらに味わいを増している。
今よりちょっと小さく、ちょっと武骨なSUV「GLK」
メルセデス ・ベンツ 「GLKクラス」(2008年10月~2016年2月)
今のGLCに当たる、同社初のコンパクトプレミアムSUVがGLKクラスだ。プラットフォームは当時のCクラスのものを使用。迫力あるフロントグリルや直線基調のボディラインなどひと目でGクラスの弟分だとわかる。
前45:後55で駆動力を配分し、走行状況に応じて駆動力を制御してくれるフルタイム4WDを搭載。3Lエンジン×7速ATは当時のCクラスのC300と同じで、街乗りから高速道路、ワインディングまでそつなくこなしてくれる。
サイズは現行型のGLCよりコンパクトで、GLBと比べても全長はGLKのほうが110mmも短い。そんな日本で乗るにはピッタリなメルセデス・ベンツのSUVだったから、もっと人気が出てもよかったが、左ハンドルのみというのがネックとなったかもしれない。けれど今振り返れば、このサイズ感で武骨なスクエアボディは、SUV好き垂涎の一台じゃないか。
ベストサイズなラグジュアリーSUV「Mクラス」
メルセデス ・ベンツ 「Mクラス」(2005年10月~2012年5月)
北米市場向けに開発されたSUV、Mクラスの2代目。ゆるっとした初代と比べ、メルセデス・ベンツらしいシャープな乗り味に変わったのが特徴のひとつだ。そして今振り返ってみても、このサイズ感に詰め込まれた豪華仕様は魅力的だろう。なにしろ当時の同社ラグジュアリーSUVとしては最上級モデルで、実際Mクラスは現在のGLSへ移行していくのだが、そのサイズは現行型GLCとほぼ同じ。全幅に至ってはこのMクラスのほうが狭い(約1800mm)のだ。
つまり最上級の機能や仕様を備えた(今の基準だと)小さな高級SUVってこと。
3.5Lと5Lエンジンが用意され、いずれも7速ATが組み合わされる。フルタイム4WDには悪路を走りやすくするオフロードスイッチが備わり、インテリアの高級感と快適性を高めるラグジュアリーパッケージなんていうセットオプションもあった。
Mクラスサイズの日本で乗りやすいメルセデス・ベンツ製のラグジュアリーSUVなんて、現在ではそうは望めない。今こそありがたく使わせてもらいましょう。--{}--
今こそ評価されるべき多目的車「バネオ」
メルセデス・ベンツ 「バネオ」(2003年10月~2007年8月)
初代Aクラスをベースに、より荷物を載せられるようにした、いわゆるマルチパーパスビークルがバネオだ。Aクラスの全高を高くして室内高を上げ、ホイールベースも伸ばして荷室容量と安定性が確保されている。また後席ドアはAクラスのヒンジタイプではなく、人も荷物も載せやすい両側スライドドアが与えられた。後席が脱着可能なのはAクラス同様だ。おかげで当時のマルチパーパスビークルの代表格、初代ルノー・カングーと同等のボディサイズとなり、ガチライバルに。カングーが1.4L×4速ATだったのに対し、バネオは1.9L×5速ATと動力スペック的には上に立った。
さらに内装はメルセデス・ベンツ品質で、当時のこのクラスでエアバッグも標準装備と、一つひとつ見ていけば高クオリティな車だった。しかし品質の高さ=価格の高さで、カングーの車両本体価格が175万円のところ、バネオは320万円(価格はともに当時)。
それもあってか約4年で販売は中止に……。手頃な価格で買える今であれば、十分再評価されておかしくないだろう。
実質初めてのメルセデス品質ミニバン「ビアノ」
メルセデス・ベンツ 「ビアノ」(2003年10月~2006年10月)
1990年代後半の日本はミニバン天国。ただし国産車が中心で、輸入車ミニバンはなかったのだが、1998年にメルセデス・ベンツが初代Vクラスを投入。ただし様子見だったのか、ベースのモデルは商用車のヴィトー。品質的にもラグジュアリーなメルセデス品質というより、商用車然としていた。それでもスマッシュヒットを記録。
そこで手応えを得たのか、同社は2003年にこのビアノを送り込んできた。初代VクラスはFF車だったが、ビアノはほかの同社サルーンと同じくFR。また日本仕様は初代Vクラスの6人乗り(2+2+2)から7人乗り(2+2+3)となった。
写真は欧州仕様。日本仕様は3列目に2脚ではなく3脚並ぶ。
2列目と3列目は取り外し可能で、2列目を後ろに向けることもできる(走行時はNG)。また3列目シートの後ろを伸ばしてより荷物を載せられるロングバージョンも用意されていた。結局2006年11月に名称がVクラスに戻ったが、セールスとしては成功だったようで、今日のVクラスの活躍に繋がっている。