[左上]ブラッド・ピット © Alamy/amanaimages [右上]スティーブ・ジョブズ © ロイター/AFLO [左下]ジョン・ジョン・フローレンス © Getty Images [右下]デビッド・ベッカム © Alamy/amanaimages
▶︎すべての画像を見る知っているようで意外と知らない髪と頭皮の基礎知識。ちゃんと知っておけば、未来に向けてできることが見えてくる。髪と頭皮の基礎知識
[あ行]
育毛注射クリニックなどで受けられる育毛注射は、発毛効果が認められたミノキシジルや細胞の分化を促す成長因子などを頭皮へと届けることができる施術のこと。ただ定期的に続ける必要があるほか、費用は週に2~4回の通院で、ひと月数万円~とややハードル高め。遺伝薄毛には遺伝が影響していると言う説が有効である。しかしその割合は2~3割にすぎず、約7割は環境に起因する。生活習慣の乱れは髪と頭皮にとって悪い遺伝子を動員する恐れがあるが、反対に規則正しい生活を心がければ髪にいい遺伝子が使われるようになり、薄毛を防ぐこともできる。医薬品ドラッグストアで売られている育毛剤や育毛シャンプーには、医薬品、医薬部外品、化粧品の3つの分類がある。医薬品は有効成分の効果が公的に認められたもので、医薬部外品は効果・効能が認められた有効成分を含みつつ、作用が穏やかなもの。化粧品の効果は医薬部外品よりもさらに穏やか。飲酒飲みすぎが肝臓に負担をかけてしまうのはご存じのとおり。そして肝臓は髪の成長に大きな影響を持つ成長ホルモンの働きを支える臓器でもある。酒好きな人は休肝日を設けるなどして肝臓を休ませよう。運動筋トレは新しい髪を作り出す成長ホルモンの筋肉からの分泌を促す。テストステロン(4段目、男性ホルモンの項参照)も同時に増えるが、発毛に関しては成長ホルモンのほうが優位になるため心配は無用。[か行]
海藻髪にいい食べ物として知られる海藻。確かに海藻には髪を補修する働きはあるものの、食べることで直接髪が生えたり、黒くなったりするわけではない。ただ、海藻には体調を整えるミネラルや食物繊維が豊富に含まれているため、やはり食べたほうがいいのだ。[さ行]
紫外線頭皮が紫外線によるダメージを受けると活性酸素が発生する。これが頭皮の代謝や血流を支えているコラーゲン繊維を破壊してしまう。毛母細胞や毛包幹細胞にダメージが加えられると、髪の毛の成長が妨げられ薄毛になりやすい。白髪髪が黒いのはメラノサイトで作られるメラニン色素の影響。加齢や遺伝、ストレス、高熱などによってメラノサイトの働きが低下すると、毛母細胞にメラニン色素が受け渡されなくなり髪が白くなる。シャンプーシャンプー剤は直接髪につけるのではなく、手のひらで軽く泡立ててから髪になじませ、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗う。必要な皮脂まで取ってしまわないよう流すときの温度は37~40度くらいのぬるめがいい。
[た行]
男性ホルモンAGAにはテストステロンという男性ホルモンが関わっている。このテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されると、このDHTが毛根を攻撃する。さらにこの5αリダクターゼ酵素のうちⅡ型は前頭部や頭頂部に存在する。ここで作られたDHTは毛乳頭に作用し毛の成長期を短くしてしまう。[な行]
内服薬AGA治療で使用される内服薬はおもにふたつ。血行と発毛を促進するミノキシジルとAGAの進行を止めるプロペシア(成分名フィナステリド)はその効果が認められている。ただプロペシアはEDや精子減少などの副作用もあることから、EDの治療中には注意が必要。納豆腸内環境を整えることが薄毛を防ぐことにつながる。そのために積極的に摂りたいのが発酵食品。納豆や味噌、ヨーグルトなどが代表的だが、特に納豆には血流を促進し組織を若く保つイソフラボンが含まれており、おすすめの食品といえる。夏バテ秋になると抜け毛が多くなる理由は夏バテ。夏場、屋外では頭皮が紫外線ダメージを受け、屋内では冷房で頭皮が乾燥したり自律神経の働きが低下したりする。そのため栄養がカラダの修復に使われ、毛髪の栄養が不足して秋にいっせいに抜け落ちる原因のひとつとなる。
[は行]
ビタミンC、B群・亜鉛髪にとって重要な栄養はたんぱく質だけではない。ビタミンC、B群・亜鉛もまた毛母細胞の中で髪を作っている酵素の生成に不可欠な栄養素だ。体内で酵素が減ってくると、髪に栄養が届かなくなり成長が妨げられる。そのためバランスの良い食事でしっかり摂取して、酵素を活性化させる必要がある。皮脂量男性の頭皮は皮脂腺や皮脂量が女性よりも多い。その影響で汗やホコリと混じって頭皮が汚れやすく、かゆみやフケの原因になりやすい。シャンプーでしっかり頭皮の汚れを取り除くことが薄毛対策の基本。日焼け止めスプレー紫外線が強い季節はサンスクリーンのスプレーを使い、髪と頭皮に降り注ぐ紫外線を予防するのが大切。また帽子も紫外線対策の有効な手段となる。ブラシマッサージブラシを使ったマッサージには頭皮の血行を促進し、発毛を促す効果が期待できる。やり方は、まずクッションブラシで耳の上から頭頂部に向かって圧をかけながらジグザグに10回ほど動かす。[ま行]
毛周期(もうしゅうき)毛が生まれてから抜け落ちるまでのサイクルのこと。大人の頭髪は大体2~6年周期で、新しい毛が作られる成長期、毛の成長が徐々に止まっていく退行期、完全にストップする休止期の3段階がある。このサイクルが乱れ成長期が短くなると、そのまま退行期、休止期を迎えてしまい薄毛が進行していく。毛母細胞(もうぼさいぼう)髪の毛のうち、頭皮から出ている部分を毛幹、頭皮の内部にある部分を毛根という。この毛根のいちばん奥、毛乳頭周辺にあるのが毛母細胞。毛乳頭から栄養や酸素を受け取り、細胞分裂を行うことにより髪の毛を作り出している。メラトニン体内時計を調整し、覚醒と睡眠を切り替えて眠りへと誘うホルモン。この分泌量が低下すると睡眠の質が下がり、成長ホルモンの放出も悪くなるため薄毛が進んでしまう。夜に強い光を浴びるとメラトニン分泌量が減少するため、就寝前のスマートフォンやパソコン作業には特に注意が必要。[や行]
湯シャン最近シャンプー剤を使わず、お湯だけで洗う湯シャン派の人が増えている。ただ、皮脂と水は混じりにくいため、皮脂と混じった汚れが取れずに頭皮に残り、負担になる恐れが。さらにワックスやポマードなどのスタイリング剤もお湯だけではなかなか落とし切れない。頭皮や髪に優しい成分のシャンプー剤を使って、なるべくダメージを与えないように洗うのが安心だ。今回教えてくれたのは松倉クリニック 表参道 医師 田路めぐみ先生●数々の臨床病院で形成外科チーフ職を歴任。日本抗加齢医学会専門医。日本形成外科学会専門医。育毛のエキスパートでもあり、著書『東大医師が教える 最強の育毛革命』(集英社)など。