三浦由貴●G.H.バスやトリッカーズ、アイランドスリッパなどの国内代理店を担うGMTの名物プレス。また、“ミウラシュラン”として日常を綴っているブログやYouTubeチャンネルも必見。
「業界のパタゴニアン・パパラッチ」とは……▶︎すべての画像を見る世界の名だたるシューズブランドを扱うGMTのプレス、三浦由貴さん。彼のファッション原体験は’90年代にまで遡る。以降、ワードローブに欠かせない存在となってきたのが「パタゴニア」で、主に古着が中心だった。しかし、今は……。
パタゴニアが雲の上の存在だった少年時代
今でこそいつでもどこでも我々の生活に寄り添ってくれているパタゴニア。ただ、三浦さんの若かりし頃はまだ憧れの存在で、「俺もいつかは」と思わせるブランドだったという。「初めて手にしたのは20代前半だったと思います。パタゴニアのことは雑誌『Boon』で知って、憧れました。当時はサーファーでも『サーフブランドではなく、あえてパタゴニアを選んでいる人がイケてる』という風潮があって、僕も買いに行ったんですけど、やはり田舎の中高校生にはちょっとハードルが高かったです(笑)」。
ファッションの入り口がアメカジだった三浦さんにとって、パタゴニアはいわば
アウトドアブランドというよりもアメリカブランド。以後、ことあるごとに古着屋で買い漁り、今でもワードローブの中に収まっているものは多いとか。「別にアウトドア好きってわけではないんですけどね。ただ、ザ・ノース・フェイスしかり、コロンビアしかり、山が出自のアイテムは割と買ってきました。
ただ、今もなお多くワードローブに残っているのはパタゴニアぐらい。今着ても便利さは感じます。それは、機能面はもちろん、ファッション面においてもそう。“最新のものが正義”といわれる分野でこれはすごいことですよ」。--{}--
幅広い古着コレクションからその奥深さを知る
軍資金が潤沢ではなかったゆえに古着へと手を出したものの、逆にそれがブランドの幅や深さを知るきっかけに。「新品でパタゴニアを買ったことはほとんどないかも……(笑)。昨年の秋冬も、スナップTのカメ柄を探していたんですけど、値段がエラいことになっていて、もう5、6万円もしますから。そんなときは古着屋の知り合いになんとかしてもらいますよね(笑)。それって、きっと根本は’90年代にパタゴニアの新品を『Boon』で見かけてはいたけれど買うことができなかった、その反動からだと思います。そのイメージを強く残したまま大人になっているので、やはり当時のモノには目がいきますね」。年に1、2着はパタゴニアの古着が増え続けている気がする、と三浦さん。ただ、ここ最近はちょっとした変化も。
「これまでも、実はマウンパやらライトシェルやら、新作のライトアウターには手を伸ばしてきました。
ただ、ちょっと変わった系が多いですね。それこそカヌーのカンガルーポケットがメッシュ地になったやつだったり、SSTのフライジャケットだったり、割とコレクション的な意味合いのほうが強かった。ただ、やっぱり最近の新作は往年のデザインというか、パタゴニアらしいデザインがラインナップに復活してきた気がするんですよ」。--{}--
着こなしもまた‘90年代を彷彿させる合わせで
最近手に入れたアイテムは、クラシカルなデザインのバギーズ・ジャケット。耐久性に優れ、撥水コーティングが施されているため小雨やライトキャンプなどでも重宝する。しかも、リサイクルされた漁網を使ったメッシュライナーやナイロンを採用。そこへ合わせたのは、黒の古着のTシャツにまばゆいばかりのネオンカラーのパンツだ。
「着こなしにおいても、無意識のうちにやっぱり心の奥底で’90年代がくすぶっているかもしれない。パタゴニアはデザインをガラリと変えることが少ないので、ちょうどいいんですよね。機能性もあるしデザイン性もグッとくる。雨の日に何を着るかと考えたら、最新のアウトドアウェアはいつも着ている古着とはどうもフィーリングが合いにくい。だったら、往時のデザインを感じさせるパタゴニアがいいなと」。
また、昨今のパタゴニアのスタンスにも独自の見解を述べる。「最近では店内にアウトレットのブースを設けて販売していたりもするじゃないですか。新品を売りたいブランドとしてはなかなか古着は扱いにくいけど、洋服を循環させるという点では大事だと思うんですよ。それをパタゴニアがやってくれたことで、周りのハードルも一気に下がったんじゃないですかね」。時代が移り変わろうとも、シーンへ与える影響は絶大。それがパタゴニアの偉大さだ。数多の古着のパタゴニアを見続けてきた男の目にも、その功績はひときわ大きく見えるようだ。