船乗りに愛される安心と信頼の結び方

構造は案外シンプル。引っ張っても大きさの変わらない輪っかができることも特徴。
もやい結びは本来、船を係留するための結び方としてよく使われてきた。名称は、船を繋ぐことを示す言葉「舫う(もやう)」に由来する。波止場のボラード(ついつい足を乗せて遠くを眺めたくなる鉄の杭)に、船のロープを巻くときのやり方である。あれって適当に巻いてあるようだけれど、実は船乗りは皆、この「もやい結び」を使って結んでいる。なぜなら、船を係留できるほど引っ張られる力に強く、素早く結べるうえに、大きな荷重がかかった後も解きやすいからだ。そんな特徴を活かし、海だけでなく、重たいものを吊るす作業現場などにも多用されている。
ロープの付いていないタープやテントの設営前には必須のスキル。
そんなもやい結びは、キャンプでもさまざまなシーンで応用できる。例えば、タープやテントの本体に細引き(ロープ)を結ぶ場面。
ロープワークを駆使すれば、タープ1枚でいろいろな張り方ができるようになる。
固結びでは解きづらいし、蝶結びでは輪が縮んでしまったり、解けやすかったりする。

ただのロープがギアハンガーに早変り!
また、ひとつのロープに輪をいくつか作って張れば、ギアハンガーにもなるなど、アイデア次第でいろいろと応用できる。--{}--手順を追って結び方をマスターしよう
結び方は、それほど複雑ではない。お手元に何か紐をご用意いただき、一緒に手を動かしながら順を追ってみよう。まず初めに、輪ができるようにロープを置く。このときの輪の先の長さが、完成時の輪っかの大きさになる。大きな輪を作りたければ、輪の先を長くとっておこう。
先の長さはある程度、余裕を持たせておくとやりやすい。
続いて輪の中に、ロープの先端を通す。結び目ができるよう、写真の置き方の場合は下から輪に入れて上に抜く。
輪が崩れないように注意。
今度は輪に通したロープの先端を元のロープに半周巻く。元のロープを棒のようなものと考えて、そこにぐるりと巻いて折り返すイメージで。
もう一度、輪の中へ。
ぐるりと巻いたら、もう一度、先端を輪の中に通す。先ほどとは逆に上から入れて下から抜く。
この形になっているか確認。

引き方次第で輪の大きさを調整できる。
穴に通ったら、右手で先端と輪の一部を持ち、左手でロープの元を持って左右に引き、結び目を絞める。輪の大きさは、この時に調整できる。

左くらい余裕があると解けにくい。
上達のコツは繰り返し実践で使うこと
ロープワークは、通す順番に具体的なイメージを持つと覚えやすい。

手順は同じなので、最初は細いロープで練習してみよう。
なんでもいいのだが、自分が覚えやすく、いざってときにパッとビジュアルが出てくるイメージを持っておくといいだろう。
輪が解けないように、最後はギュッと。
シチュエーションによって便利な結び方が多数存在するのが、ロープワークの面白いところ。まずはもやい結びをマスターし、その先にあるいろいろなバリエーションにも挑戦していただきたい。