「Camp Gear Note」とは……

ペグ打ち(ペグダウン)は、テントやタープを張るために必須の作業。これが単純なようで、実は意外に奥深い。


なんとなく打ち込んでいた角度やペグの種類をちょっと変えるだけで、安定感が大きく変わってくるのだ。

前回の「タープの正しい張り方」に続いて、今回も講師役として「アウトドアの何でも屋」こと、牛田さんに登場していただき、ペグの正しい使いこなし方を伝授してもらおう。

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打ち方のコツを教えてくれた人
「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」。今さら聞けない6つの基礎知識をおさらい!

牛田浩一さん●株式会社B.O.W代表取締役。化石掘りが趣味だった父親の影響でアウトドアを始める。アウトドア用品の輸入卸会社勤務を経て、アウトドア専門のアタッシュドプレスとして独立。現在は「アウトドアの何でも屋」として、年間の1/3をフィールドで過ごす。季節に合わせてフライフィッシング、サーフィン、スノーボードと、嗜むアウトドアアクティビティは多岐に渡る。著書に『キャンプ雑学大全2020実用版』(三才ブックス刊)。年間に張るタープ、テントの数は、なんと数百張り! 当然ペグも打ちまくってます。


ポイント1:正しい角度は「ガイラインに対して90°」

「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」。今さら聞けない6つの基礎知識をおさらい!

地面に対して90°でも止まらなくはないが……。

まずは、ペグを打つ角度からおさらいしてみよう。

打ち込む角度は地面を基準に考えがちだが、基準とすべきは地面ではなく、テントやタープ本体から伸びているガイライン(ロープ)。ガイラインに対して90°になる角度に打ち込むのが、もっとも抜けづらい角度だ。


「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」。今さら聞けない6つの基礎知識をおさらい!

ガイラインに対して60~90°が最も安定する打ち込み角度。

「斜めに打つのは、抜けづらい以外にも理由があります。地面の下に硬い石などがある場合は、ペグを真っ直ぐ打ち込むと刺さりづらいのですが、斜めに打ち込むことで上手く石を避けることができて、刺さってくれるんですよ」。



ポイント2:叩く角度は「ペグに対して真っ直ぐ」

「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」。今さら聞けない6つの基礎知識をおさらい!

地面に対して真っ直ぐ打つとペグが曲がってしまう。


ペグを打ち込む際に、もっともやりがちな間違いが叩き方である。

ヘッド部分をペグが地面に刺さ去っていく向きに打つのが正解。上から真っ直ぐに打つと、ペグが曲がる原因になってしまう。

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ペグに対して真っ直ぐ、が正解。


「上から打っても刺さるのですが、力が無駄に伝わって、打ち込んだ穴も広がってしまいます。結果、ペグは曲がるし、抜けやすくなるしで、いいことはありません」。

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ヘッドの重さ、バランスの良さで選ぼう。


ハンマー選びも大切。付属のペグハンマーでもいいが、良いハンマーを選ぶとさらに打ちやすくなる。
ヘッドにある程度重さがあってバランスの良いタイプなら、その重さを利用して余計な力を入れずに打ち込める。

また、大型テントやタープを立てる際に、たくさんペグを打つのも楽になるはずだ。
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ポイント3:ペグの頭は打ち込み過ぎない

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これくらいがちょうどいい目安。


続いて、どこまでペグを打ち込むかについて考えてみよう。

「ペグのヘッド部分までしっかりと地面に打ち込むと、ペグの効きは良くなりますが、撤収の際に抜きづらくなってしまいますね。ガイラインを掛け直せるくらいの打ち込み具合が、ちょうどいいでしょう」。

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埋め込むまで打つのは、ペグを効かせたいときの選択肢のひとつとして覚えておこう。



ポイント4:風が強いときは2本使い

「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」。今さら聞けない6つの基礎知識をおさらい!

補強したいときは2本目を追加するのもあり。


風が強いときや、ペグが効きづらい地面が柔らかいサイトなど、ペグの固定力を高めたいときにはペグを2本使いするのもあり。

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地面の中はこんなイメージ。


「1本刺さっているペグにクロスさせるようなイメージで、もう1本のペグを追加します。

1本目のすぐ隣に、沿うように打っている方を見ることがありますが、それでは太いペグを1本打っているのと同じ。もちろん細いペグ1本よりは強いのですが、クロスさせるように打ち込んだ方が、より固定力が高まります」。

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少し間を離して2本打つのも効果的。


また、間を開けて2本のペグを打ち、ガイラインにかかる張力を分散させるも効果的な打ち方。風が強くなってきたタイミングで、ささっと追加できるよう、ペグは必要な本数+α余分に持っておいたほうがスマートだろう。
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ポイント5:抜きづらいペグはペグで抜く

撤収時にペグが抜きづらい場合は、ペグハンマーやペグを利用すると簡単に抜ける。

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これを覚えておけば、何人かで同時に撤収作業が進められて効率的。


「ヘッド部分にペグを差し込んで、両手で引き抜きます。打ち込む時と同様に、ペグが刺さっている角度をイメージして引っ張ると、するっと抜けます。それでも抜けない場合は、ヘッドを左右に回してあげると抜けやすくなります」。

くれぐれもガイラインを引っ張って抜かないこと。ラインが傷む原因となってしまうので気をつけよう。



ポイント6:種類の異なるペグを使い分ける

最後にペグの種類について。

付属のペグでも、使い方次第でさまざまな場面に対応できるが、特徴の異なるペグをいくつか買い足して混ぜておくと、対応できる場面が増えて便利だ。

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付属のペグ(左から2本目)以外にも、種類違いのペグをいくつか揃えておくと対応できる場面が増える。黒いものが鍛造ペグ。

オレンジがプラスチックペグ。


「付属のペグは、ピンペグと呼ばれるタイプ。強度が十分なスチール製は問題ないのですが、アルミ製のものは軽くて扱いやすい反面、耐久性は高くないので硬い地面には不向き。曲がってしまうこともあります。そうした場面では、頑丈な鍛造ペグを持っていると、ガンガン打ち込めて便利です。

反対に芝生や砂地など、地面が柔らかいところでは、接地面の多いプラスチックペグなどが有効です」。

「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」。今さら聞けない6つの基礎知識をおさらい!



かつて、適当にテントのペグを打っていると、先輩に「ペグ打ちを笑うやつは、ペグ打ちに泣く」と言われた経験がある。

その場は笑って流したのだが、後日、雨風が強い日に適当に打ったペグがすべて抜けてしまい、大変痛い目に遭った。以来、ペグ打ちの重要さは身に染みている。

 ここに紹介したのはペグ打ちのごく一部の知識だが、これだけ覚えておけば痛い目に遭わずとも、正しい方法でしっかりペグを打ち込めるようになるだろう。

あとは実践で繰り返し使っていくうちに、なぜこうするべきなのか、身をもって理解できるようになるはずだ。


[取材協力]
「ogawa GRAND lodge FIELD」
千葉県柏市手賀1618
04-7170-4486
Instagram:@ogawa_grand_lodge_field
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