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保温性と速乾性に優れ、水に濡れても短時間で軽さが蘇るフリースは冬服の代表格。その元祖がパタゴニアの「シンチラ」であることを知る人は意外に少ない。


2022年秋冬のラインナップには、1985年の初代シンチラに原点回帰する懐かしいデザインも復活。日本支社が本国アメリカに提案し、ようやく実現したという「シンチラ・カーディガン」にも大注目だ。


パタゴニア「シンチラ」の誕生秘話

「シンチラが登場するまでは、山登りなどのアクティビティには吸水性や保温性、放熱性の高い天然ウールのウェアが重宝されてきました。

でも、羊毛は雨に濡れると重くなるデメリットがあり、洗濯するのも乾かすのも大変ということで、パタゴニアが開発に乗り出しました」(パタゴニア日本支社のマーチャンダイジング担当・細野雅子さん)。

パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!



ウールの強みを再現しつつ、ウールの弱点もカバーするポリエステル素材でできたのがパタゴニアの名作フリース「レトロX」の原型で、1985年に発売されるとアウトドアやアパレル業界をあっと驚かせたという。

「その後、パタゴニアがレトロXの原型を改良してシンチラを開発すると、いろいろなメーカーさんが真似をしてくれて、業界で“フリース”と呼ばれるようになったんです。

ちなみにレトロXの原型は、パタゴニアの創始者イヴォンの妻がトイレの便座カバーの暖かさや薄さをヒントにしたのがきっかけだと聞いています」。

かくしてフリースは世界で確固たる地位を確立していくわけだが、まさかフリースのオリジンが、トイレの便座カバーがだったとは!
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シンチラはリサイクル・ポリエステル100%。その実力は?

パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!

ポケットやトリムにはパタゴニアの大定番「バギーズ」の端切れ生地が使用されている。


パタゴニアのシンチラは、リサイクル・ポリエステル100%。ゴミになったペットボトルが原料になっているという。

「パタゴニアのミッションは“環境に配慮する”というものから、“故郷である地球を救う”に変わりました。どんな素材が使えるのか使えないのか、製品を製造する過程でカーボンニュートラルはどれだけ実現できているかなど、かなり細かい計算をしています」。


環境を直す製品開発。さすがパタゴニアといった着眼点だが、もちろん機能性も担保されている。

シンチラは吸湿発散性と速乾性に優れ、重さも300~500gと超軽量。保温性があるうえに薄手で軽いということは、インナーにもアウターにもなり、汎用性はかなり高い。

パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!

  2022年秋冬の製品開発ではコロナにおけるアジア人差別やジョージ・フロイドさんの暴行事件をめぐるコミュニティの分断も問題視され、「UNIFY」や「COMMUNITY」がシーズンのテーマとして取り入れられた。

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薄くて暖かいからレイヤリングにも最適

パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!

 (左から)「シンチラ・ベスト」1万6500円、「シンチラ・カーディガン」1万8150円、「シンチラ・ジャケット」1万9800円/すべてパタゴニア 0800-8887-447


袖のない「シンチラ・ベスト」はTシャツやロンTに合わせられるため、季節を超えて使える大人気アイテム。「シンチラ・ジャケット」はこれ1枚で十分に暖かく、日本の冬ならダウンジャケット変わりになることも。

左胸にはジッパー付きのポケットが、フロントには2つのポケットが付いているため、手ぶらで出かけたい人にはおすすめ。襟やジッパー、裾の部分は形が崩れないよう、ナイロン製の縁取りが施され、耐久性もお墨付きだ。

「シンチラについては、1980年代に出た初期のものを今もまだ着ているという方もいます。1枚あればずっと長く着ていただける耐久性も強みですね。デザインも普遍的なので、37年間もずっとロングセラーで人気なんだと思います」。
 
パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!

寒い日はジッパーを上に。

スタンドアップカラーで首周りもポカポカで安心。

パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!

裏地もフリースで暖かい。フロントに付いている2つのポケットはジッパー開閉で落ちることがなく、スマホもすっぽり入る大きさ。



日本待望の新デザイン「シンチラ・カーディガン」

パタゴニア「シンチラ」が原点回帰。“フリースの元祖”から日本発の新デザインも登場!

色は「セコイアレッド」「オートミールヘザー」「ブラック」の3色。


「シンチラ・ジャケット」「シンチラ・ベスト」と並ぶ「シンチラ・カーディガン」だけは、今までなかった新作のシンチラで、日本待望のデザインだという。

「シンチラ・カーディガンは、アメリカや南米、韓国のスタッフが参加するグローバルミーティングで私たち日本のスタッフが提案したデザインです」。

日本では男女問わず、ファッションにマフラーやスカーフを取り入れるスタイルが多い。襟のないデザインがきっと好まれるはずだと細野さんたちは他国のスタッフを説得し、今回ようやくその願いが実ったという。


1枚あれば重宝するパタゴニアのシンチラ。本格的な冬を前に購入した方が良さそうだが、とにかく人気のアイテムなのでぜひ早めの購入を。
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