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「俺流!Supreme」とは……

‘90年代のストリートブームを経験しながらも、あえて「シュプリーム(Supreme)」を通らなかったというアーバンリサーチの三浦良介さん。そんな彼が今になってシュプリームを手にする理由とは?

大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT

三浦良介●長きにわたりアーバンリサーチのプレスとして活躍。

現在はマーケティングを担当。好きなファッションは、今も昔も古着をベースとしたアメカジ。



食わず嫌いを矯正したプレス時代

三浦さんのファッション原体験は’90年代後半、まさにストリート全盛の時代である。ただ、関心の大半は古着で、ストリートムーブメントは俯瞰した目で見ていたという。

大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT



「僕がファッションに目覚めた当時は、とにかくあらゆるジャンルが錯綜していました。

ストリートがあって、モードがあって、DCもまだまだ元気だった。でも、そのあたりはまったく通らなかったんです。別段スケーターでもなかったし、裏原に通っていたわけでもありません。

とにかく、古着ばかりを買い漁っていましたね。デッドストックのリーバイス501にコンバースを合わせる、みたいな着こなしが主流でした」。

確かにアメカジブームの余熱はまだうっすら感じさせ、ヴィンテージ人気も健在。そんな嗜好性は、業界に足を踏み入れたあとも根強く残っていた。それは、業界ならではのちょっとした刷り込みも影響していたからではないか、と回想する。


大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT



「ファッション業界にちょっとした暗黙の了解みたいなものがあったんですよ。『聞いたことのないミュージシャンのアイテムは着るべきではない』『さほど知らない業界に関するデザインやブランドには手を出すべきでない』……みたいな(笑)。

ルールを知ったうえで着こなしに遊びを取り入れるのは“ハズし”になりますけど、知らないのに遊び始めると“ハズれ”。先輩たちにはよくそう言われました。だからこそ不慣れなストリートと一線を引いてきたところもあります」。

ターニングポイントとなったのは、それもまた業界の諸先輩方の着こなしだった。

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「プレスをやっていて感じたのは、見方が変に偏るのは良くないということ。知らないジャンルが多いのはマズイと思い、ストリートも学ぶようになったんです。

当時は、ファッション業界の方々がクラブでよくイベントをされていて、そこはいわゆる業界人の社交場的な空間にもなっていたのですが、そこにいた方々の着こなしがすごくカッコよかったんです」。

曰く、彼らは決して”根っからのストリート”といった出で立ちではなかった。古着を着ている人も目立ったという。しかし、一点主義的にシュプリームを取り入れており、その着こなしが三浦さんには印象深かったそうだ。


「要は”ハズし”として使っていたんですね。そうやって着るのもアリだなって勉強になりました。うまく合わせている人たちが多かったんで、僕も影響を受けて買い始めるようになったんです」。
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「シュプリームを着ても、ストリート寄りにしない」

ミックススタイルに感化され、徐々にシュプリームに興味を持ち始めた三浦さん。

ただ、ボックスロゴアイテムやレア物などよりは、常時店頭に並んでいる定番物を手にすることが多かったという。それは今も変わらない。
   
大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT



「分かりやすい例でいうと、ボーダーアイテムですね。これは、5~6年前にショップで購入した、いわゆる定番モノ。いつでもすんなり買えるアイテムです。個人的に、シュプリームのボーダーTってセンスがいいと思っていて、多色使いなどがすごく凝ってるんですよ。ボーダーものは毎回チェックしちゃいますね」。

こちらのロゴTは一見シンプルな細ボーダーデザイン。ただ、よく見ると下地にカラフルな色をさりげなく落とし込んでいる。

   
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「これを買ったのは4年前ぐらいですかねリブが黒で、ピッチ幅もちょうどいい。下に敷いた配色もセンスがあるなと思います。大胆なロゴ使いもストリートならではですよね。ただ、年齢的に主張し過ぎるのもどうかと思うので、着用する際は上から何かを羽織るようにしています」。

今回はインナーにボーダーを挿しつつ、シャツを羽織り、古着のボトムスと合わせた。
   
大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT


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「シュプリームを着ても、全体的にストリート寄りにしないというのがミソ。シャツは2012年にこの世を去った現代芸術家、マイク・ケリーにオマージュを捧げたシュプリームコレクションの一着ですが、パンツは大昔のプラダで、足元はビルケンシュトックです」。

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大事なのは話題性よりもフィーリング

着るものにおいても、着こなしにおいても、さりげなく自分らしいこだわりを見せる三浦さん。それは、小物選びにおいても同様である。
  
大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT


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「シュプリームのキャップと聞けばジェットキャップを想像する人は多いと思うんですけど、自分のフィーリングに忠実に選びたかった。だからこそ、アノニマスなこれを選んだんです。シンプルでスタイリッシュだからどんなスタイルにも合わせやすいし、便利なんですよ」。


話題性に反射的に飛びつく人も多い中、三浦さんはアイテムの良さのみをじっくり吟味する。モノ作りにかける本気度こそ、ストリート畑出身ではない三浦さんを振り向かせた要因かもしれない。
   
大人の「Supreme」スタイルは“あえてストリート寄りにしない”のが正解。オススメアイテムはボーダーT


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「実は、今でもシュプリームはスーツも展開していて、しかも作りが本当にちゃんとしているんです。ストリートブランドのアイテムは割とラフなイメージがありますが、しっかりモノを作っているその熱量もまた、長く世界的人気を得ているポイントだと思います」。
 
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若かりし頃の自分と、アラフォーとなった自分。不惑を目前にシュプリームとの向き合い方にも変化はあるのだろうか。

「変化はそれほどありませんね。もともとフラットな目線で見ていたというのもありますし。たしかにストリートカルチャーは勉強していく中で面白味は感じますけど、40歳を目前にした今でもブランドとの距離感は変わりません。

世界中にいるファンの方々の熱量に比べればドライかもしれませんけど、だからこそ見えてくる良さもあると思います」。


着こなしについては、「今も古着は好きなので、そこへさりげなく落とし込むぐらいがちょうどいい」と語る三浦さん。そのアプローチの仕方は、年を重ねた大人がシュプリームと向き合うためのいい指針となるかもしれない。
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