連載「脳が悦ぶ、アナログゲーム」
梅雨シーズン到来。アウトドア派にとっては憂鬱な季節だが、時間に余裕ができるだけに新しい愉しみを発見するいい機会。
前回は、子供と一緒に遊べるアナログゲームの中でも、言葉を使った「ワード系アナログゲーム」を紹介した。けれど、言葉遊びが苦手な子も少なくないし、どんな作品を選べばよいか迷ってしまう場合もあるだろう。
「小さなお子さん向けのアナログゲームは、対象年齢を確認するほか、見た目の面白さをチョイスの基準とすることも大切。ひと目で興味を持ってもらえるような、いわばオモチャっぽいキャッチーなデザインや、触って楽しめる要素があるか、といったポイントを押さえておけば、食いつきもよくなると思います」。
とアドバイスしてくれたのは、自身も一児の父であるボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFÉ(ジェリー ジェリー カフェ)」のオーナー・白坂翔さんだ。
株式会社ピチカートデザイン代表取締役社長。アナログゲーム好きがきっかけで、2011年にボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFÉ(ジェリー ジェリー カフェ)」をオープン。現在、全国に店舗を展開。メディアを通じ、その魅力を伝える活動も盛んに行っている。
さらに知育や情操教育に役立つ要素を持つアナログゲームなら、楽しみながら子供の成長にも役立ってくれるという。白坂さんがオススメする、小さな子供向けアナログゲームのファーストチョイスに最適な作品を4つ教えてもらった。
【息子と一緒なら、こんなアナログゲームがオススメ!】
ルール説明ほぼ不要! 大人も思わず熱くなる
「ピッチカー」

https://shop.jellyjellycafe.com/)※対象年齢:6歳以上
【ココがポイント】
・「指先の器用さ、慎重さ」を養える!
・とにかくルールが簡単。小さい子供と一緒に遊べる!
【どんなゲーム?】

おはじきのような形状をしている「レースカー」を順番に指ではじき、コース上を先に3周したプレイヤーが勝ちとなる、アクション系のアナログゲーム。
プラレールのようなパーツを組み合わせ、自由にコースを設計できる点が特徴。「レースカー」やコースのパーツ類は大きく頑丈なつくりになっているので、小さな子供でも比較的安全に楽しめることも魅力といえる。
コースアウトした場合は、ひとつ前の場所まで「レースカー」を戻す、といった程度のルールはあるものの、基本的には単純なおはじき遊びなので誰でもすぐに遊べるが、プレイしてみると意外な奥深さに気が付くはず。親子で遊ぶのはもちろん、大人同士でも思わず夢中になってしまうこと請け合いだ。
【親子で遊んでもらいました!】オトーチャンと一緒に作ったレースコースに、早くも興奮気味な露木新大(アラタ)くん(5歳)。色とりどりのレースカー(コマ)をかわるがわるテストしながら「緑色はスピードがあるけど、赤は力が強いよ!」と、自分なりの判断(本当はコマごとの差はありません)でマシンを選び、早くも臨戦態勢に。



【娘と一緒なら、こんなアナログゲームがオススメ!】
優しい気持ちを育むのにも最適!
「雲の上のユニコーン」

https://shop.jellyjellycafe.com/) ※対象年齢:3歳以上
【ココがポイント】
・宝石集めにプレゼントの要素を加味し「社交性」も身につく
・3歳以上対象で、かなり小さな子供でも一緒に楽しめる
【どんなゲーム?】
サイコロの目にあわせてコマを進めゴールを目指す、すごろくタイプのアナログゲーム。盤面やユニコーンのコマがとにかく可愛いので、小さな女の子ならきっと大喜びしてくれるだろう。
このゲームの大きな特徴となっているのが「クリスタル」の存在。特定のコマに止まると、ピンクのサイコロを振って出た数だけクリスタルをもらえるほか、1位になると4つのクリスタルをご褒美としてもらえることなる。つまり順位のほか、集めたクリスタルの数も勝敗の対象となるわけだ。
ここで面白いのが「プレゼント」というマスの存在。
【ほかにもあるぞ! 息子、娘と夢中になれる名作ボドゲ】
床屋嫌いも解消できちゃう?
「レオ」

https://shop.jellyjellycafe.com/) ※対象年齢:6歳以上
【ココがポイント】
・神経衰弱的な要素があり、「記憶力」を高める効果も期待できる!
・協力型ゲームで勝ち負けを気にせず和気藹々と楽しめる!
【どんなゲーム?】
ライオンのレオ君を、床屋に連れていくことが目的となる、すごろくゲーム。すごろくといっても順位はなく、プレイヤー全員で協力してゴールを目指す「協力型」のゲームだ。
床屋までの道のりは、カードを組み合わせて自由に設計することが可能。カードの裏にはレオ君の友人の動物が潜んでいる場合があり、友達に出くわすとお喋りに時間を費やされてしまう。
1日分の時間を使っても床屋にたどり着けない場合はチャレンジ失敗。最初からやり直しになるのだが、ここでポイントとなるのが、ここまでのチャレンジで判明した友達のいる場所を記憶しておくこと。
プレイヤー同士で相談しながら、友達のいる場所をスルーしたり、おしゃべりせずに済む方法を選んだりしながら床屋を目指す協力プレイが、いちばんの魅力となる。
ルールが簡単なほか、カードやアイテム類も可愛いので年齢や性別を問わず楽しめる。カードをおぼえる記憶力や、時計の読みかたを学ぶこともできそうだ。
NEXT PAGE /見えない迷路を進み紋章を集めよう!
「魔法のラビリンス」

https://shop.jellyjellycafe.com/) ※対象年齢:6歳以上
【ココがポイント】
・見えない迷路を攻略する際に「記憶力」と「観察力」が要求される!
・磁石の性質を利用したルールとギミックが子供心をくすぐる!
【どんなゲーム?】
盤面を挟み磁石が付いた地上のコマと、地下の鉄球がつながっている。地下の鉄球を落とさないようにコマを移動させながら盤面に置かれた紋章を集める、ユニークな立体構造のアナログアナログゲーム。
ポイントとなるのは、事前に盤面の裏へ取り付ける、木の板の組み合わせで生まれる迷路。木の板をまたぐようにコマを動かすと、鉄球がコマから離れてしまい、振出しまで転がっていってしまうのだ。
最初は闇雲にコマを動かすしかないが、何回も失敗するうちに迷路の構造がだんだん明らかになっていく、というのがこのゲームの醍醐味。
記憶力が試されるほか、他のプレイヤーの動きにも注目しておく必要があるため、集中力も養うことができる。磁石の仕掛けの面白さには、年齢や性別を問わず誰もが夢中になれるはず。親子でペアを組んでプレイするのも楽しそうだ。
子供にオモチャとして買い与える、ということではなく、一緒に遊べるコミュニケーション・ツールとして選べるアナログゲーム。この子とどんなゲームで楽しもうか、そんな選ぶ愉しみもあるのがアナログゲームの良さと言えるだろう。
【取材協力】
ボードゲームカフェ「ジェリー ジェリー カフェ」
https://jellyjellycafe.com/
山本恭平=写真 石井敏郎=取材・文