体型による服選びの悩み。これは誰もが抱えるもので、“いい体”のアスリートだって例外ではない。
先発は、元プロ野球投手の斉藤和巳さん。身長192cmのノッポさん代表だ。
背が高いのはイイコトばかりじゃないんです
身長192cmの高い位置から放り込む150キロオーバーのストレートで、あらゆるバッターを攻略してきた元プロ野球投手、斉藤和巳さん。その長身を活かした投球はできてもファッションはなかなかうまくいかないようで……。
「ジャストフィットのスタイルは身長が際立ってしまう気がして、少しゆとりを持たせた格好が理想なんです。でも、服のサイズバランスってすっごく難しい……。いつも迷いに迷って結局買えず……ここ4~5年は服を買ってないんです」。
えっ! そこまでお悩みとは。でもご安心を。そんなノッポな斉藤さんにとって今は、すごくいい時代なのだ。今回訪れたユナイテッドアローズの岡本一宏さんは、
「トレンドのビッグサイジングな服は、ゆとりがあるうえに着丈が短めに設定されているものが多いんです。だから、斉藤さんのような線の細い長身の方は着丈でサイズを選ぶだけで、ツンツルテンにもブカブカにもならない、ちょうどいいフィッティングが手に入るんですよ」。

なるほど、ではお悩み一発解決ですね、と思ったら斉藤さんから……
「夏は基本、白Tがメインなので、その延長で悩みを解決したいっす」という追加リクエストが。それでは、と立ち上がったのがオーシャンズの連載企画「パパ改造計画」で腕を振るうスタイリスト、柴山陽平さんだ。彼と一緒に、お悩み解決コーディネイトを考えていこう。
NEXT PAGE /Tシャツがメインなのにシャツを選ぶ禁じ手?
上のリクエストを経て、柴山さんが提案したのが……なんと、シャツスタイル。って、斉藤さんのリクエストは白Tスタイルの延長ですよ!?
「わかってます(笑)。だから、白Tの上に羽織るだけでいいんです」と手にとったのは、黒の開襟シャツだ。

これは、素材の特性を活かし、ルーズになりすぎないシルエットで、レイヤードしても暑苦しくなく、シワにもなりにくい。しかもフロントボタンを排した“羽織り前提”のシャツなのだ。
「これはいいですね!大きめなのに丈が短いからサイズが合ってない感じもない。肩の位置も……落ちてますけど違和感がないですね」。

「そうなんです。通常、肩線はきっちり合わせるものですが、これはドロップショルダー・タイプで、落ちていても着丈が長くならないようにデザインされています」と柴山さん。

ちなみに着用したシャツは、ユナイテッドアローズ&サンズとN.ハリウッドの尾花大輔さんとのコラボアイテム。
デニムに頼る毎日からの脱却の一手
つづいてはボトムス選び。斉藤さんのお悩みはここでも“太さと長さ”のアンバランスさである。「レングスでサイズを合わせると太腿が余ってしまいますし、太腿に合わせると短くなる。結果、裾がたまっても大丈夫なデニムばっかりになってしまうんです」。
それではと柴山さんがセレクトするのはリブパンツ。適度にゆとりがあるものでも裾がたまる心配がなく、同時に斉藤さんの理想である“ゆとりある装い”が簡単に手に入る。ただ、長身の人にとって注意すべきは色使いだという。

「上半身と下半身で色味をパキッとわけてしまうと、身長がすごく強調されるんです。なるべく境界を曖昧にすることで、全身の一体感を演出するといいと思います」と柴山さん。

リブパンも昨今人気のアイテムでスポーティな明るい色の展開も多いが、ここはあえて黒を選択。白Tが主軸ということで、モノトーンに徹するスタイルに。
ここで選んだボトムスも、シャツと同様に尾花大輔さんとのコラボラインのもの。ルーズになりすぎない細身シルエットゆえにキレイな脚線を描く。ゴムウエストにドローコード付きのイージー仕様ではき心地も快適だ。
こうして完成した白Tスタイルの延長にある、ノッポさんのお悩み解決コーデがこちらである。
NEXT PAGE /長身を馴染ませるモノトーン・シャツコーデ

なるほど、192cmの長身も適度なゆとりで確かに馴染んで見える。リブパンから覗くくるぶしも軽快な印象だ。
「こういったアイテムは今まで着たことがなかったのですごく新鮮!着こなしも簡単ですし、満足ですね。夏は万年Tシャツ×デニムでしたが、ついに卒業しようと思います(笑)」。
といって、斉藤さんは実際に今回着たアイテムをすべてお買い上げに!4~5年ぶりの洋服のお買い物は、どうやら満足いくものになったようだ。
ユナイテッドアローズ 原宿本店
03-3479-8180
東京都渋谷区神宮前3-28-1 B1F-3F
鈴木泰之=写真 柴山陽平=スタイリング