「時短ケアのススメ」とは……
リモートワークの増加など、生活スタイルが変わったことで今まで無縁だった腰まわりの重さやダルさを感じることが多くなった人、少なくないのでは?
腰は痛みの症状が現れてからでは、完治するのにとても時間がかかるもの。だからこそ、予防策が重要なのだ。
高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。
「腰まわりがダルい……」。腰からのSOSを見逃すな!
「腰痛って何の前兆もなく、突然やってくるような疾患じゃないんです。最初は腰まわりの筋肉のコリや腰のダルさなどの症状が現れ、知らぬうちに悪化して、腰痛が発生するのが一般的。40代になれば、ぎっくり腰を経験したことがある人も多いと思いますが、あれだって実は突然来るものではなく、その前から軽微な異変があったはず。それを無視してケアしていなかったから、急性の症状となってあらわれただけのことなんです」。
腰という字が表す通り、体の要なので、本来は頑丈にできている部位なのだが、そのぶん疲労の蓄積が限界に達すると、激しい症状としてあらわれやすいという。
「体を追い込むほど毎日ハードなトレーニングをしているアスリートは別ですが、ランニングなどスポーツを定期的に行っている人で腰痛に悩んでいる人は意外と少ないんです。こういったことからも、腰痛は運動不足が大きな原因と考えられます」。
運動不足が問題なのは、特に上半身の筋肉が硬くなりやすいから。猫背のまま座りっぱなしでデスクワーク、みたいな状態が続くと背中や肩甲骨まわりの筋肉が硬くなる。
「背中や肩甲骨まわりの筋肉は背骨につながっていますが、硬くなると背骨が引っぱられてアライメントがゆがんできます。その影響をダイレクトに受けるのが、背骨の土台となる腰椎や骨盤です。すると腰まわりの筋肉に大きな負荷がかかって硬くなり、骨盤がゆがんだりしてしまう。これが腰痛発生のメカニズムのひとつです」。
今現在、腰痛を感じていない人でも、背中と肩甲骨まわりの筋肉の柔軟性を維持しておかなければ、常に腰痛予備軍ってわけだ。
腰につながる筋肉を伸ばして柔軟性をキープ
そこで今回は、肩甲骨、背中、腰まわりの筋肉を一気にほぐせる時短ストレッチをやってみよう。その名も「こうもりストレッチ」だ。
「ポイントは反動をつけずに、できる限り速く動かすこと。ちなみに、これに限らず、ストレッチは基本的には反動をつけて行ってはいけません。反動をつけて体を動かすとしっかり伸ばすことができないう、筋損傷を招く恐れもあるので注意しましょう」。
【こうもりストレッチ バージョン1】



【こうもりストレッチ バージョン2】


「ともに背骨と肩甲骨まわりを動かすことで、肩甲骨~背中~腰をしっかりストレッチできます。バージョン2は少し難易度が高いので、体が硬い人はまずはバージョン1だけでも構いません。最初はゆっくりと行い、徐々にスピードアップしましょう。体が硬い人が無理に行うと、腰や背中の筋肉を痛めることがあるので注意してください。また、すでに腰に強い痛みがある場合、痛みが軽くなってからやりましょう。さらに、通院をしているような人はお医者さんに相談のうえ、行ってください」。
40を過ぎてから特に注意したい腰まわりのトラブル。それを回避すべく、習慣的にケアしておきたい。だからこその時短ストレッチだ。
「時短ケアのススメ」
トップアスリートだってしきりに言っている。「長く現役生活を続けるためには練習と同じくらい体のケアが必要だ」って。毎日せっせと働き、休日は家族サービスに勤しむ40代男性諸君、無理は良くない。
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【取材協力】ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/
空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。
楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真