間もなく来る、車の近未来●近代自動車産業の始まりと言われるT型フォードが生まれて100年と少し。自動車の在り方は大きな変革期を迎えている。


これからの自分と車との付き合い方を考えるために知っておきたい、間もなくやって来る「近未来の車」のお話。

これまで生まれてきた数々の名車。例えばワーゲンバスや、フィアット パンダと聞けば、誰でもなんとなく形が思い浮かぶはず。フォルクスワーゲンのバギーなんかも、西海岸カルチャーにハマった40代の男なら知っているであろう伝説的な名車だ。

「でも、それってどれも、もう何十年も前の車だよなぁ~」なんて、感慨に浸ってる場合じゃない。実はこの名車たちが、電気になって生まれ変わろうとしているのだ!

ほら、旧車好きもさすがにピクッと、反応しちゃうでしょ?


スマート スマート EQ

20年以上前に時計メーカーのスウォッチとメルセデス・ベンツ(当時はダイムラー・ベンツ)という異業種タッグから生まれたシティコミューターの名車、スマート。

新たなカルチャーをつくるワーゲンバス、パンダ、スマートetc...の画像はこちら >>

現在スウォッチは手を引いたが、今もメルセデス・ベンツによって第三世代のスマートが販売されている。

が、実はもうガソリン車の生産中止がアナウンスされているのだ。そう、次は電気自動車のスマート EQとして2020年に再デビューを果たす。

2人乗りのフォーツーモデルの航続可能距離は160kmと、シティコミューターとしてのキャラクターはそのまま。むしろ電気自動車になることで、スマートのキャラによりしっくり来る気さえする。これでスーパーへ買い物って、カッコ良くない!?


メルセデス・ベンツ EQV

今年販売されたメルセデス・ベンツ初の電気自動車はSUVのEQC。で、それに続く第2弾はミニバンのVクラスベースの電気自動車が、EQVとして登場するようだ。

新たなカルチャーをつくるワーゲンバス、パンダ、スマートetc. あの名車の未来の姿

今春のジュネーブモーターショーで発表されたコンセプトカーは、ほぼ市販車の状態で仕上げられていたから、発売も遠くはなさそう。

モーターはフロントに1基のみとし、前輪駆動。航続可能距離はEQCと同じく400kmとした。装備はまだ公表されていないが、大容量電池を搭載するだけに、その電気をキャンプなどでも使えるようにしてくれると、キャンパーたちやファミリーにも選ばれる名車になりそうだ。


フォルクスワーゲン ID.バギー

西海岸カルチャーに傾倒した人ならきっと知っている、デューンバギー。先日紹介したビーチカーのように、1960年代にフォルクスワーゲンのビートルのエンジンやシャシーを使ってカスタム専門メーカーが作成し、カルフォルニアの砂浜を縦横無尽に走り回ったキャルルック・バギーだ。

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それをなんと、本家のフォルクスワーゲンが電気自動車で再現しようとしている。

ボディは取り外し可能で、コンセプトカーは2名乗車だが、例えば2+2にすることも可能だという。つまり50年前と同様、第三者が自由にカスタマイズして楽しめるあのカルチャーまで再現しているのだ。第二次キャルルックブームが来るのか? どうカスタマイズするかを考えると、今からちょっとワクワクしてくる。

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フォルクスワーゲン ID.BUZZ

もう1台、キャルルックの代表格といえば、やはりワーゲンバスだろう。正式車名はフォルクスワーゲン タイプ2。ちなみにタイプ1はご存知、ビートルのことだ。

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残念ながら1979年に生産が終了したが、2000年代になると、時折各地のモーターショーでコンセプトカーが披露され、ついに2022年にID.BUZZとして電気自動車として復活すると発表された。

最大600km走行可能で、最大8人まで乗れるという。

もちろんボードも載せられる。発売まであと3年、今からBUZZ貯金、始めておこうか。


フィアット チェントヴェンティ

チェントヴェンティとは120の意味。フィアットの120周年を記念したチェントヴェンティが披露されたのは今春のジュネーブモーターショーだ。

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で、グリルをよく見ると初代パンダにあったラインが!(FIATの文字の向かって右側)そう、イタリアじゃ庶民の足として人気の高かった初代パンダをモチーフとした電気自動車なのだ

パンダ同様手頃な価格帯で、がコンセプト。パッケージ化されたバッテリーを予算に応じた数を選んで(レンタルも可能)積むことができ、それに応じて航続距離が100km~500kmになる。まだコンセプトレベルだけれど、未来の庶民派パンダ、これが日常の足なら毎日が楽しくなりそうだ。


シトロエン アミワン

シトロエン好きはピンとくる知る人ぞ知る名車、アミ。有名な2CVの上級版としてかつて生産された小型車だ。

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そんなアミ(フランス語で「友達」の意味)の未来形は、電気自動車であるだけでなく16歳以上なら運転免許不要で乗れるという、まったく新しい移動手段として提案されている。

全長わずか2500mm、全幅1500mmという超コンパクトなキューブボディ。2人乗りで航続距離は100km、免許不要ということで最高速度は45km/hに制限されている。ドライバーは自身のスマートフォンにダウンロードした専用アプリを通して車とやりとりするという。

こんなかわいい車なら、16歳を大きく過ぎた大人も乗りたくなるよね。

かつて憧れ、今もずっと好きなあの名車の新たな姿。いつかまたこの車たちが新たなカルチャーを作ると思うと、先物買いしておけば、子供や孫への自慢話になるかもね。

籠島康弘=文

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