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一度ハマると病みつきになってしまうランニング。運動不足解消目的で始めたつもりが、今では大会出場を目指すまでになってしまったという男性も多いことだろう。
ここまでのレベルに達すれば、気にしてほしいのが自分のランニングフォーム。適切な姿勢で走れていないと、記録が伸びないばかりでなくケガのリスクも高まってしまうため、一度は自分のフォームをチェックしておきたいところだ。
そこで役立つのが、ひとりでも簡単に自分のランニングフォームがチェックできるスマートフットウェア「ORPHE TRACK(オルフェ・トラック)」(2万9800円[税抜])。その性能や使い勝手をレポートしよう。
デザインが◎。ランニングシューズとしても、なかなか魅力的
従来は、ランニングギアの専門店やプロによるセミナーなどに行かなければ、詳しい分析をしてもらえなかったランニングフォームのチェック。それを手軽に実現できるのが、今回紹介するオルフェ・トラックである。

使い方はとても簡単で、“ORPHE CORE”と呼ばれるモジュールを装着した専用シューズを履いて、いつものように走るだけ。これで「ピッチ」や「ストライド」などの測定や、「着地法(フォア、ミドル、ヒールストライク)」の判定を行ってくれる。
専用シューズの見た目は、なかなかスタイリッシュ。しかも、“ORPHE CORE”を装着することで、足元が光るギミックまで用意されている。

シューズの重量は片足325g(27.0cmの場合)で、“ORPHE CORE”(約30g)を装着しても特に重たいとは感じない程度。
走るだけで、かなり専門的な分析結果を得ることが可能
ランニングフォームの分析結果は、専用アプリ(iOS版のみ)から確認することができる。

距離、タイム、ペースといったランニングウォッチでも計測できる項目はもちろん、ストライドやプロネーション(着地時の足の傾き)といったフォームの構成要素を、左右別々に計測できるのが、オルフェ・トラック最大の魅力だ。
例えば「着地法」の分析では左右の着地状態を計測することで、ユーザーの走りが「フォアフット(前足部から着地)」、「ミッドフット(足裏全体で着地)」、「ヒールストライク(踵から着地)」のいずれに当てはまるのかを教えてくれる。

個人的に、もっとも参考になったのはプロネーションと着地衝撃の計測結果だ。

姿勢が右傾ぎみなのは実感していたが、こうして可視化されてみると、あらためて改善すべき課題であることを痛感してしまった。
NEXT PAGE /専門家の指導との併用がオススメ。フォーム改善にかなり役立ちそう
専門店やセミナーなどでフォームのチェックを受けるのにかかる費用を考えれば、かなりお買い得と考えられるオルフェ・トラックだが、注意点がないわけではない。特に気をつけてほしいのが、オルフェ・トラックはあくまでもフォーム分析を行うだけの製品で、改善法までは教えてくれないことだ。
例えば、分析によって自分の走りがヒールストライクであることはわかっても、そこからミッドフットに変えるための方法については、やはり専門家の指導を仰ぐ必要があるだろう。自分流で着地を変えてもうまくいかないばかりか、ケガをしてしまう恐れだってあるからだ。逆に言えば、適切な指導と併用することで、最大限の効果を発揮する製品ともいえる。
なお、オルフェ・トラックの購入者特典として、記録データを基にしたトレーナーによる指導が受けられるプログラムが提供されている。開催地は都内がメインなので、近隣住まいであれば利用するのもひとつの手だろう。

また、計測をするためには走行時にスマートフォンを携帯する必要がある点は、なるべく身軽に走りたい人にとって気になるところだろう。対応機種も現状ではiPhone(6以上推奨)のみとなっているため、Android端末を使っている人は注意してほしい。
と、気になった点をいくつが挙げてみたものの、全体的な感想としては「超ほしい!」と思えたオルフェ・トラック。継続して利用すれば、効率よく理想的なフォームに近づいていくことができるだろう。より早く、より体に負担が少ない走りを追求したい人は、ぜひチェックすべきだ。
【取材協力】
no new folk studio
https://orphe.shoes/track/

石井敏郎=文