特集「37.5歳はカラダのまがりかど」
飲み会の翌日がきつい、暴飲暴食がすぐカラダに出る……。37.5歳を過ぎると、着実に老いを感じはじめるもの。
ある日突然、お気に入りのパンツのボタンが締まらなくなった。中年化の第一段階として避けては通れない“あるある”だ。姿見を覗けば、ぽっこりお腹や太い脚など、年相応に仕方がない変化とはいえ、気にならないと言えば嘘になる。
そんな心のしこりを解消すべく、出てきた腹が目立たなくなる着こなしについて、広告や雑誌を中心に活躍するスタイリスト・中島貴大さんに伝授してもらった。まずは、アウター選びについて!
Point1 : シルエットはIラインを意識。肉厚なアウターには細めのパンツを

「全体に言える話ですが、少しでもカラダを細く見せるために、Iラインシルエットを意識した着こなしを心がけましょう。Iラインには落ち着いた大人っぽい雰囲気を演出するほかに、体型をスマートに見せる効果があります。『私服はダサいけどスーツ姿がカッコいい人』っていますよね。それは、スーツの形状がキレイなIラインを形づくっているから。僕自身もシルエットを意識しただけで『痩せた?』なんて言われることがあります。
ただ、寒い時期に厚着は避けられない。ダウンジャケットなど、大ぶりで肉厚なアウターについては、どんな組み合わせが正解なのか?
「これらはむやみにIラインを意識してもアンバランスなシルエットになり、コーディネイトとしても美しくはありません。こうした肉厚なアイテムを選ぶ場合は、上から下にかけて徐々に細くなるVラインが正解でしょう」。

要するに、正三角形よりも逆三角形。肉厚や大ぶりのアウターには細めのパンツを合わせたほうが、ポッチャリお腹は目立たなくなるという。
「ちなみに、首の太さが気になるという場合は、マフラーやストールであえて首元にボリュームをつくり、足もとにかけて細くなるようにシルエットをつくることで、Vラインと同様の効果が得られます」。
Point2 : お腹が目立つトップスは、柄と色でカバー!
「シルエットだけでなく、色の組み合わせでも上半身を着痩せしてみせることができます。ポイントは、アウターを濃い色やダークな色、インナーに明るい色を選ぶことです。暗い色はシルエットをごまかして見せられるので、おのずとインナーの明るい色に目がいき、結果として全体の印象が細く見えるというもの。ちょっとした工夫ですが、意外と効果的なテクニックです」。

逆に、アウターに明るい色、インナーにネイビーや黒などの濃い色を持ってくると、役割が反転してしまうのでご注意を。
さらに中島さん、色の組み合わせ以外にも、カラダのシルエットを隠すアイテム選びについても教えてくれた。
「一般的に着痩せに効果的な柄としてストライプ柄(縦縞)、反対に太って見える柄としてボーダー柄(横縞)が挙げられますが、実はボーダー柄でもピッチによってはそれなりの着痩せ効果が期待できるんですよ。ポイントはできるだけ細いピッチで、かつダークトーンのものを選ぶことです。またニットでいえば、ローゲージよりハイゲージのものを選ぶとよりシャープに見えます。デザインについてはクルーネックなどの被りタイプより、前開きタイプのカーディガンを選ぶとIラインが強調されてベターです。いずれもサイズ選びは少し大きめが良いですね。ちなみにアウターのところでも触れたマフラーやストールなどの巻き物ですが、巻かずに首にかけて垂らすと先端がちょうどお腹あたりに来るので、物理的にお腹が隠せるというメリットもあります」。

Point3 : パンツは5ポケットタイプよりもスラックスタイプを
最後に、パンツ選びのポイントについても聞いてみた。少しでも細くみせようとスキニータイプのジーンズに手が伸びそうだけど、そこには大きな落とし穴が!?
「パンツはアウターに合わせて選んでほしいところですが、注意すべきはスキニータイプです。確かに脚を細く見せてくれるのですが、ものによってはヒップ周りのシルエットが露骨に出てしまい、ボディラインの見せたくない部分が浮き彫りになってしまうことも。そこでオススメなのが、ジーンズに代表される5ポケットタイプではなく、チノやウールパンツなどのトラウザーです。

スタイリングにおける着痩せ効果を十分に発揮するためにも「まずは己の体型を知ること」と話す中島さん。これまでのポイントを踏まえたうえで、今シーズン取り入れるべきスタイリングのポイントについても聞いてみた。

「セットアップコーディネイトの人気が続いていることもあり、ワントーンのスタイリングは安定の支持率を得そうですね。コーディネイトを単調にしたくないのであれば、異素材の組み合わせにも挑戦してみてはいかがでしょうか。レザージャケットにコーデュロイパンツを合わせたり、ナイロンアウターにウールパンツを組み合わせてみたり。ワントーンにも表情が付きますよ」。
日々のスタイリングにこれらのテクニックを取り入れつつも、あまり気負わずにやることがある意味“コツ”といえるかも。だってせっかくのファッション、楽しくないと意味がありませんから!
取材・文/石川優太(EditReal)
【取材協力】
中島貴大(なかじま・たかひろ)
1973年秋田県生まれ。メンズファッション誌を中心に広告やWEBなどで活躍中。ファッションのほか、アウトドアシーンやインテリアのスタイリングまで幅広く手掛けている。
特集「37.5歳はカラダのまがりかど」過去記事一覧
第1回 同年代はどうしてる? 37.5歳、“老い”のリアリティ調査
第2回 「デブが長生き」は本当か。“中身”で勝負する男のダイエット論
第3回 太った自分も悪くない。隠れた魅力に気づく「自己肯定感」の高め方
第4回 いきなり筋トレ!が無理なら、デブを肯定できないかイメトレしてみる
第5回 写真が一変!プロカメラマンがこっそり教える痩せ見えポージング