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糖質オフ男とは……
カラダの曲がり角といわれる「37.5歳」。もう若い頃のような生活では健康を保てないので、そろそろ年齢に合った生活改善に取り組まなければ。そんな中、一風変わった“健康生活”を送る男がいた。
エレベーターやエスカレーターを使わずになるべく階段を使おう。というのは、健康主義の定番メソッドだ。しかし、その「階段」という言葉でイメージしがちなのは「上り」。下りはなんとなく筋トレ効果がなさそう、と思っている人が多いだろう。
しかし、オフ男は知っている。下り階段のほうが、より細やかな筋肉を鍛えられるトレ―ニングであるということを!
筋肉の運動には、立ち上がる、持ち上げるといったときに筋肉を収縮する「コンセントリック運動」と、逆に座る、下ろすといったときに筋肉が伸びながら収縮する「エキセントリック運動」がある。「コンセントリック運動」は、しっかり筋肉を動かすことが多い動作であるため、意識せずとも日常的な動作で筋肉を頻繁に使っている。
一方で「エキセントリック運動」の動作は、筋肉にあまり力を入れなくても「ドスンッ」と座ったり荷物を降ろしたりしがちであるため、筋肉を使う機会が少ない場合がある。しかしこの運動は、じっくり取り組みさえすれば、使い方がわからず鍛えきれていなかった筋肉までしっかりと鍛えることができる。そして階段を下りるという行為はこの「エキセントリック運動」にあたり、まさに筋肉を細やかに鍛えたい人にとっては絶好のトレーニング機会なのだ。
では、どのように階段下りを行えばいいのかという話になるが、多くの人は階段を下りる際、つま先ステップで「トトト……」と素早く下りることが多いだろう。これではダメだ。なぜなら下半身の大きな筋肉を使わないばかりか、膝など特定の関節に負荷が集中し、痛みをともなうこともあり得るから。ただ何気なく階段を下りるだけでは、その十分な効果は得られない。そこで、オフ男の「階段下りスタイル」はこんな感じだ!
・1段飛びで下りる。
・かかとから着地し、振り上げる足は高く。
・じっくりゆっくり時間をかけて下りていく。
難しいことはない、意外とシンプルな動きだろう。この動作を時間をかけて行うことで、使い方がわかっていなかったお尻や太もも付近の筋肉を有効に使った階段下りトレーニングができるのだ。
というわけでオフ男は、上りはエレベーター、下りは階段というルーティンをこなす。5階のオフィスから、最低10分かけて、じっくりゆっくり下りていくのだ。下りきった頃には、お尻と太ももあたりに心地良い疲労感が漂う。
ただし、周囲の人々は気をつけなくてはならない。じっくり階段下りトレーニングに勤しむオフ男と行動を共にする場合は、10分前行動を心がけよう。
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教えてくれるのは……

東京プロポーションラボのチーフ・トレーニング・オフィサー。国立スポーツ科学センターで、トップアスリートに対するトレーニング指導に携わった経験も持つ。現在はメディカルとトレーニングの医科学的なエビデンスと独自のノウハウを駆使して、パーソナルトレーニングを指導している。
「階段を下りるときこそ筋肉を意識してトレーニング。オフ男がこの有効さを知っているとは、さすがのひと言ですね!
オフ男が言うとおり、階段トレーニングは上る運動をイメージしがちですが、臀部や大腿部をうまく使って階段を上がる場合、やはり強度が高くなってしまいます。また、心肺機能の問題や筋持久力の問題で身体がついていかないということがあるんです。
しかし階段を下りる際には、重力に逆らって身体を持ち上げていく動作がないぶん、身体の負担もやや軽い状態で行えます。運動不足の40代男性にとっては非常に取り組みやすいトレーニングなんです。
また、下り階段によるエキセントリック運動の筋肉の伸びは、筋肉に対するアプローチ・筋意識を持ちやすいので、効いている感覚も得られやすいと思います。
ではここで、正しい『階段下りスタイル』の姿勢をお教えしますので、ぜひ参考にしてください」。

「姿勢は、ややお辞儀しているような格好をキープ」。

「その状態から、ゆっくりと足を着地させるイメージです」。

「足元は、つま先からではなく足裏全体で着地することを心がけましょう。つま先とかかとの間の部分を意識して踏み込んでいくと、お尻に効く感覚を持ちやすいですよ」。

「棒立ちの状態で、つま先重心で下りるのはNG。太ももの前ばかりに負担がかかるのに伴い、膝への負担も大きくなってしまいます。なるべく股関節やお尻をしっかりと意識して使っていくことがポイントです!」。
【取材協力】
東京プロポーションラボ
住所:東京都渋谷区猿楽町7-1
電話:03-6455-3666
www.tpl.tokyo
島崎昭光=文 波打ベロ子=イラスト