オーシャンズが恒例特集「街角パパラッチ」を開始したのは2010年2月号(2009年12月発売)。そのなかに、プレス女性たちが放談する「デニム男子にモノ申す!」なる座談会企画があった。
こんなデニムおじさんはイヤだ! 2019【後編】
白熱したトークを繰り広げた座談会前半。「ひとりアーカイブおじさん」「足元あしゅら・おじさん」など、女性陣がイヤだと語るデニムおじさんが続出したが、中盤戦はどんな展開になるのやら。それでは引き続き、自由にモノ申してくださいな。
登壇いただいたのはこちらの3名!熊倉麻美さんリエート代表。当時お勤めの大手PR会社より独立して、ブランドコンサルティングやPR業務などを行う会社を経営。デニムを含む海外の有名ブランドを多数扱う。

ファションを中心に、旅、飲食などライフスタイルに関連するブランド&企業のPRをサポート。デニム商社に10年勤めていた経験から、豊富なデニム知識を持っている。

フリーランスのマーケティングプランナー。ファッションからスキンケアまで幅広いジャンルのPRやブランディングを担当。
前編(FILE1~5)を読む。
FILE 6:
膝下ぺこぺこ「ストローおじさん」
ーーかつてのパパラッチ特集を見返してみましょうか。
富瀬 10年経つと、さすがにシルエットやフィッティングは全然違いますね。
熊倉 ピーコートとか、トップスも昔はタイトだったよね。
岡泉 ていうか、10年前の人は、デニムの丈がヘン?

ーーシルエットが今ほど多様化していないし、裾もたるませています。
富瀬 なんかストローみたい。ペコペコって伸びる。
熊倉 ストローおじさん!(笑)
岡泉 当時は、裾や膝裏にもヒゲやハチノス加工ががっつり入っているデニムが多かったから、なるべくしてストロー状態。
熊倉 ストロー全盛期だ。

岡泉 今でも見かけますよね、ストローおじさん。ブーツの人に多いかも。
ーーブーツの再燃が予想されている今、見逃せない問題ですね。
富瀬 今だと、デニムの裾をタックインするか、裾をブーツのシャフトに軽く乗せるくらいがいいのかな。
熊倉 アンクル丈のブーツなら、デニムの裾を軽くひと折りするっていうのもアリかも。
岡泉 それ、私だけが苦手な「あしゅら裾」だよ!
一同 全然問題なし(笑)。
NEXT PAGE /FILE 7:
サイズ間違いの「浮き輪おじさん」
岡泉 昔よりも今のほうが、ストローを解消すべくロールアップする人が増えましたよね。
ーーロールアップはプロでも難しいんですけどね、実際は。

熊倉 ロールアップしすぎて裾が浮き輪みたいになってる人、いますもんね。

ーーまさに、そこが懸念のポイント。ぐるぐる加減が難しいんです。
富瀬 前半でも言いましたが、やっぱりリアルショップに行って、店員さんと相談しながら自分のジャストサイズをきちんと把握することが大事ですよね。浮き輪は、サイズ感を理解していない人のバロメーター。
ーーいっぽうで、鬼ロールアップみたいなのはどうですか?
熊倉 キャラクターが立っている人のモードなスタイリングならわかるけど。
富瀬 それでも、なかなか似合う人はいない気がする。
岡泉 細ロールよりはいいかな。
FILE 8:
個性をはき違えた「デニム部屋着化おじさん」

ーー今増えている太めのデニム。みなさんはどう思われますか?
岡泉 誰でも似合う万能アイテムとは思えないですけど……。
熊倉 さんざんデニムをはき尽くしてきた40代の男性なら、むしろデニム見えしてないほうが格好よく見えるかなぁ。トラウザータイプとか。シルエットや質感にこだわったら、選んだのが、たまたまデニム。くらいのさりげなさ。
富瀬 私の好きなクリーンな感じね。わかるわかる。
岡泉 ワイドなデニムの場合、そこに素足&サンダルみたいなのはイヤ。ズルズルすぎると子供っぽいし、だらしなく見える。
熊倉 家じゃないんだから、ってね。
富瀬 自分の隣にいる人には、はいてほしくないな。
ーーワイドデニムも工夫が必要なんですね。
NEXT PAGE /FILE 9:
どっかにしまいなさいよ「鍵ジャラおじさん」
ーーデニムに合わせるアクセサリー問題が昔からありますね。
富瀬 鍵をジャラジャラ腰から下げてる人がいますけど、これ、格好いいのかな?
熊倉 男性はアクセサリー感覚なんですよね?
ーーそうです。荷物と装飾兼用なんです。鍵は必需品だし、「なくさないように」みたいなエクスキューズでぶら下げている、という人もいます。って自分ですが(苦笑)。

熊倉 確か10年前の座談会では、財布や携帯をなんでもポケットにしまう「ポケットパンパン問題」がありましたよね。
岡泉 まさかそれを鍵じゃらで解消、ってわけではないわよね(笑)。
富瀬 鍵自体が少なくなっている時代なんですよ。なんでそんなに増えるかな。
ーー耳が痛い!
FILE 10:
いつまでも「男クサすぎるおじさん」
熊倉 10年を眺めて感じたけど、ダメージデニムが減った気がする。ボロボロデニムが今は皆無。
岡泉 西海岸のテイストが全開! というのが、時代の潮流だった。

富瀬 こういう両膝がパックリ、みたいなのは今ほとんど見ないけど。改めて言いたい。不潔感MAXと。
一同 さすがポリス。
熊倉 膝がスースーしそうだよね(笑)。
岡泉 時代、ってことですね。
富瀬 10年前のダメージデニムは、白い部分が茶ばんでいるのが多いんですよ。
ーーなんでですか?
富瀬 リアル感を追求して汚しの加工を入れている、という理由のほかに、当時は生産の過程でその土地の水の色が残っているものがあったみたいで。
熊倉 デニム業界長かっただけのことはあるね。説得力あるわ。
富瀬 あえての黄ばんだ加工もあった。
ーーボロボロなのが格好いいという感覚、今でも残っているかもしれません……。
岡泉 白糸の色みがクリーンな白か茶ばんでいるかで、時代がわかっちゃうこともあるのね。
熊倉 自分でつけた汚れ、という可能性も否定できないけどね。
ーー確実に言えるのは、男クサい=格好いいではなくなってきていると。

10年ひと昔。デニムについては時とともに「変わったこと」、そして「変わらないこと」があった。デニムおじさんが踏んでしまいそうな地雷てんこ盛りの10項目。みなさんはどれだけ当てはまっただろうか?
恩田拓治=写真 髙村将司=取材・文