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妻が離婚を考える原因。浮気は少数派、では多数派が訴える要因と...の画像はこちら >>

妻が夫に言えない本音を聞き出す連載の第9回。今回は、ずばり「離婚を考えたことがあるか」について聞いてみました。

まず、今回アンケートをとった200人の妻たちの中で、53%が離婚を考えたことがあると答えています。中には「毎日考えている」という声も。

では、どんなときに離婚を考えたのでしょうか。離婚というと、浮気や不倫でもしない限り、そこまで考えないのではないかと思ってしまいますが、大多数の人が、浮気や不倫以外をその理由に挙げていました。


Q.離婚を考えたことがある理由を教えてください。

「育児に積極的じゃなく、あまり話もしない人なので楽しくない」(愛知県・38歳)

「家族のこと、子供のことを全然かえりみないで自分のことばかりなので」(大阪府・41歳)

「子供に興味が無いのか、子供に対する態度に腹が立つ」(兵庫県・37歳)

「結婚前より明らかに自己中になり、私への口調がきついから」(香川県・41歳)

「思春期の子供への対応がうまくいかず辛いときに責められて、一緒にいたくないと思った」(大阪府・41歳)

「自分の親ばかり大切にするから」(埼玉県・45歳)

「明らかに姑が悪いのに、取り合ってくれず、姑をかばうため」(徳島県・35歳)

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価値観や考え方の違いを理由に挙げた妻が多数

離婚と言えば、浮気などが原因になるのかな、と考えてしまいますが、今回のアンケートを見てみると、それを理由に挙げた人はごく少数。多くは、価値観や考え方、性格の違いから来る不満を理由に挙げていました。

特に多かったのは、子育てに関する不満と、妻とのコミュニケーションに関する不満です。例えば次のようなコメント。

「結婚したときに夫の希望で専業主婦になるかわりに、育児は完全に半々で責任もってやりましょうと取り決めた。けれど、いつの間にか育児に関することすべてをわたしにやらせて涼しい顔をしているときがある。また、悪気なくわたしを精神的に追い詰めていることにまったく気づかないことがあるので」(東京都・37歳)

高圧的な態度をとられたり、精神的に追い詰めるようなことを言われた、あるいは、結婚前と態度が違うという声もちらほらありました。やはり男性は結婚した相手には興味を無くすということなのでしょうか。

「釣った魚に餌はやらない」という言葉を思い出しました。

こういった夫婦間のすれ違いで妻から怒られたという方も少なくないと思いますが、「特に悪気はなかった」という声を男性側から聞くことがあります。子育てに関して言えば、夫は妻が何も言わないから手伝わなくてもいいと思っていて、妻は、言わなくても気づいてやってほしいと思っていたというケース。また、男性側は特に高圧的な態度を取ったつもりはないのに、妻にはそう感じられてしまっていて、妻から指摘されない限り気づかないケース。

今回寄せられたコメントの中には「不満を言ったら軌道修正できたので、離婚には至らなかった」という声や、「不満点を訴えたら多少は改善してくれた」という声もありました。やはり、お互いにきちんと向き合ってコミュニケーションを取ることが大事なのでしょう。

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義両親との関係も妻の心が離れる原因のひとつに

もうひとつ、離婚を考えた理由として挙がったのは義両親、特に義母との関係。

嫁と姑との揉め事に対して、夫が姑の肩を持つというは、かなりリスキーです。万が一、妻に非があったとしても、フラットな立場でジャッジなどしてしまうと関係性が悪化します。なぜなら、妻は、冷静に考えれば自分も悪いことはわかっていても、夫があからさまに母親の味方をしたと思った瞬間に、冷静ではいられなくなったりするからです。

こういう場合には、どっちが悪いかはいったん置いておいて、母親に対しては母親の味方をし、妻に対しては妻の味方をすればいいのではないかと思います。「そっかー。確かにそれは大変だったね」と、ただただ、妻が言っていることを、肯定も否定もせず受け止めるだけで、妻の怒りは徐々に収まるはず。

女性にとっては、何よりも話を聞いてもらうことが大事なんです。


今は我慢、でも子供が成人したら離婚したい

また、離婚を思いとどまっている理由も聞いてみたところ、いちばん多かったのは、子供には父親が必要だからとか、教育費にはお金がかかるから、といった理由。もしこのままの関係性が続き、十数年後に子供が巣立ってしまったら、離婚もあり得るということです。

別の設問で、将来的に離婚することはあり得るかを聞いてみたところ「子供が独立したら」と答えた方が1割程度いました。その詳細を見てみると「子供が将来結婚や独立して家を出たとき、夫と2人の生活に耐えられるか不安」(大阪府・40歳)とか、「今は子供のために一緒にいるけど、子供が自立したら私も自立する」(広島県・41歳)、「子供が自立してしまったら、夫のためだけに家事をできるかな、2人で暮らして楽しいだろうか……と思ってしまう」(大阪府・41歳)などの声がありました。

また、嫁の立場としてもうひとつ気になるのが、義両親の介護です。中には義両親と顔をあわせるたびに「介護が必要になったら頼むぞ」と言われることに対して、「冗談じゃない。受け入れられない」と思ってしまっている人も。嫁の立場としては、介護をすべて押し付けられるのではないか……と不安に思ってしまうのもわかります。この点については、両方の親が元気なうちに、なるべく話し合っておきたいものです。

シニア世代になってから1人になった場合、特に家のことを何もしないで過ごしてきた男性ほど、大変になることは目に見えています。「お金さえあればどうにかなる」と思っている方もいるかもしれませんが、仕事だけに邁進してきた人が、仕事もない、妻もいないとなったらどうなるか……。

熟年離婚とならないように、今からきちんと夫婦間の会話を大事にして、すれ違いをなくしておくことが、平和な老後を迎えるために大事なことと言えるでしょう。

相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と小1の娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。

石井あかね=イラスト

ネオ・マーケティング=アンケート協力
※調査対象:既婚子持ちの35~45歳の女性200人

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