冬の自宅トレをサポートする最新ガジェット●北風吹きすさぶ寒い季節は、ジムへ出かけるのもおっくうになりがち。そこで揃えておきたいのが、自宅トレーニングのモチベーションを高めるフィットネス系ガジェットだ。
振動などを検知するセンサー内蔵の「スマート」な新型ダンベル
自宅で手軽にできるトレーニングを支援する器具として、多くの男性がイメージするに違いないダンベル。100円ショップでも販売されていることもあるので、すでに所持している人も意外と多いのではないだろうか。
とはいえ、ダンベルを使ったトレーニングを自宅で実践するとなると、これが結構難しいもの。シンプルな器具だけに、正しいフォームを意識しなければ効果が発揮されないのはもちろん、トレーニング手順も単調だったりするため、よほど根気のある人でない限りすぐに飽きてしまう。勢い込んで始めたものの、気づけばダンベルがドアストッパー替わりに、なんてケースも多いはずだ。
そんなダンベルのジレンマを、IoTによって解消してくれそうなガジェットを見つけた。それが、今回体験したスマートダンベル「MOVE IT(ムーヴィット)」である。

ムーヴィットの心臓部は、振動などを感知するセンサーユニット。ウェイト部は交換可能となっており、購入時に0.5kg、0.75kg、1.0kgの3種類から選ぶことができる。
ウェイトの数値を見て、「ちょっと物足りないのでは?」と思うかもしれない。確かに、通常のダンベル・トレーニングの場合、このウェイトだと男性にはちょっと軽めだが、実はこの「軽さ」には意味があることが後に判明する。
トレーニング動画にあわせ体を動かすことでポイントアップ!
ムーヴィットは、スマートフォンやタブレット端末と接続して使うのが基本だ(iOSとAndroidに対応)。事前に専用アプリをインストールし、Bluetoothで機器の登録を行えば準備完了となる。

センサーを内蔵したダンベルがスマートフォンと連携するということだったので、画面や音声の指示により、一般的なダンベル・トレーニングを指導してくれるものと思っていたのだが……。
実際にアプリを操作してみると予想外、というか予想の斜め上をいく画面が表示された。なんとムーヴィットで行うダンベル・トレーニングは、ダンベルを持って行うダンス系のエクササイズだったのである。だから、敢えて軽めのウェイトがラインナップされていた、というわけだ。

ともあれ、ダンベルを手にトレーニングを開始。メニュー画面をタップするとトレーニング動画が表示された。

映像にあわせて、ダンベルを持ちながら体を動かすということのようだが、当然ながらスマートフォンを手にしたまま、というわけにはいかない。そこで、こんな感じで地面に置いたスマートフォンを見ながら運動をすることに。

当然ながら、これでは正しいフォームで体を使うことができないので、ちゃんと運動したいなら、スタンドなどでスマートフォンの位置を調整するか、キャスト機能を使いテレビやPCにスマートフォンの画面を映しておいたほうがよさそうだ。
とはいえ、ただ映像を見ながら体を動かすだけなら、ダンベルが「スマート」である意味がないよなぁ、と思っているとスマートフォンから軽快なアラート音が鳴り響いた。

画面をよく見ると、トレーニング風景の下に人型のアイコンが流れている。どうやら、この流れるアイコンが、動作のタイミングを指示しているらしい。アイコンがセンターにくるタイミングと、映像のように体を動かすタイミングが一致すれば、アラート音とともにポイントが加算されるようだ。

ピンと来た人も多いだろうが、ムーヴィットは要するにゲーセンで人気の「ダンスダンスレボリューション(DDR)」のダンベル・トレーニング版、というわけだったのだ。ダンベル・トレーニングというよりは、ダンベル・エクササイズといったほうが適切かもしれない。
NEXT PAGE /運動強度は意外と高め! 筋トレというよりシェイプアップ向けかも
通常のダンベル・トレーニングをイメージしていた人には、いささか拍子抜けかもしれないが、実際に試してみれば、全身を使うエクササイズなので、運動強度はなかなかのもの。素手で行っても、かなり疲れるようなタイプの運動にダンベルが加わることで、1kg未満のウェイトでも、かなりの手ごたえを感じる。

加えて、正しいタイミングで体を動かせばDDRよろしくポイントが加算されるシステムなので、ゲーム感覚でエクササイズを楽しむことができるのも、結構魅力的。パートナーと一緒に、ポイントを競いながら運動するのも楽しそうだ。
ただし動作のタイミングはチェックしてくれるものの、ダンベルの握り方や動かし方といった細かなフォームチェックをしてくれるわけではなかった、というのはちょっと残念なところかもしれない。
そうした点を総合するとムーヴィットは、腕や背中、というようにポイントを絞った筋トレを行うというよりも、全身をくまなく動かしながら、ついでに腕回りも引き締めておきたいというような、シェイプアップ+アルファの目的に適しているトレーニング器具といえそうだ。
ゲーム感覚でひとりでも退屈せずに運動できるので、年末年始の会食続きでたまった脂肪や、運動不足でたるんできた二の腕を、冬の間になんとかしておきたい人には、結構オススメのガジェットではないだろうか。
石井敏郎=文 小島マサヒロ=撮影