連載「ジタンコウフカのススメ」
「忙しくて時間がない」「ジムトレもそろそろダレてきた」という男性諸君、ちょっぴりキツいけどサクッと終わるトレーニングはいかがだろう。キーワードは「ジタンコウフカ(時短高負荷)」。
超時短でボディシェイプが叶う、いま注目のトレーニングメソッドである「高地(低酸素)トレーニング」。それを街中でできてしまうトレーニングスタジオ「ハイアルチ」のプロデューサー兼フィジカルコーチの新田幸一さんに、時短高負荷メニューをレクチャーしてもらう連載の第5回目。
今回のテーマは、溜まりに溜まった体脂肪を一気に燃やし尽くす体になれるトレーニングだ。忘・新年会シーズンで気になるのが、暴飲暴食による体脂肪の蓄積。その罪悪感も低酸素下での高負荷トレーニングなら一気に払拭できる。
高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。

有酸素運動域ギリギリで効率よく鍛える
体脂肪を燃やすことにフォーカスした場合、ランニングやウォーキングのような有酸素運動をするに越したことはないものの、寒い冬は外で走ったり、歩いたりするのはツラい。そんなときにおすすめしたいのが、「タバタプロトコル」という時短高負荷なトレーニングメソッドだ。
「前回の『バーピー』と同様、シンプルな動きをリズミカルに、できるだけ速く繰り返すトレーニングが『タバタプロトコル』です。
AT (Anaerobic Threshold)とは、運動強度をベースに算出される値で、日本語では「無酸素性作業閾値」と表記される。簡単に言うと、運動中に大量の酸素が体内に循環している「有酸素状態」から、酸素の体内循環量が少なくなる「無酸素状態」に切り替わる境界域のことだ。

「ATポイントを超えた時点で筋肉内の乳酸の量が激増します。階段をダッシュで上り始めると、ハアハアと息があがるのを通り越して、後半急に脚が動かなくなる経験って、ほとんどの人にあると思うんですけど、あれが『ATポイントを超えましたよ』というサインです。筋肉に猛烈に乳酸が溜まって、急激に筋肉の動きが悪くなってしまう状態ですね。ただ一方で、これを続けることで筋肉はデカくなるんです」。
では、ATポイントと体脂肪を燃やし尽くすことには、どんな関係性があるのだろうか?
「体脂肪を消費する量が多いのは、有酸素運動域ギリギリ、つまりATポイントを超える手前くらいを保てる運動強度。有酸素運動域が長く続くということは、それだけ体脂肪が運動エネルギーとして使われる時間も長くできるということです。
そう考えると、運動をしてもATポイントを超えにくい体になることが、体脂肪を燃やせる体づくりのポイントと言える。有酸素運動域ギリギリのポイントでどれだけ効率よくトレーニングできるかがカギとなります。そのポイントまで一気に到達できる『タバタプロトコル』は、そういう意味で時短高負荷な体脂肪燃焼メソッドなんです」。
体脂肪を燃やす巨大な筋肉を追い込め!
シンプルな動きをリズミカルに、できるだけ速く。そんな「タバタプロトコル」の中でも、筋トレと同時に体脂肪燃焼が特に期待できるもののひとつが「スプリットランジ」だ。尻まわりや太モモまわりなど、下半身の“巨大な筋肉”に負荷をかけることで乳酸濃度も一気に上がる。
「体脂肪を燃やす場所は筋肉なので、その量が多いほどバンバン燃やせることになります。ならば、より大きな筋肉を鍛えたほうが高効率なんです。体でもっとも大きな筋肉は太モモから尻まわり。『スプリットランジ』は下半身をいじめるのにうってつけのメニューなので、これを限界スピードで行えばさらに“ジタンコウフカ”なトレーニングになります」。
【スプリットランジ】




【ポイント】
この動きを素早く20秒間(10秒レスト)、6~8セット行うのが基本。つま先はまっすぐ前を向くように意識する。外や内側に開くと負荷が分散してしまう。また、カカトを軽く浮かせることで、素早く動くことが可能に。踏み出す脚は、前に出せば出すほど負荷が高まる。
次回も年末年始に暴飲暴食をしてしまった男性必見。体脂肪を燃やすだけではなく、尻にエクボがつくれる、超ハードなスケーティングジャンプを紹介する。1セットクリアしたら、下半身ガクガクになること必至!
【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/
空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。
【Other Training Menu】
低酸素スクワット/低酸素プッシュアップ/低酸素シットアップ/バーピー
楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真